前職に不満があったわけではありません。ただ、経理として7年が過ぎ、充実しつつも、一方で落ち着いてしまっている感覚があり、自然に“他の会社も見てみたい”という想いが芽生え、まるで新卒の就活のように色々な会社の門を叩きました。また、経理の立場で事業部の方々と将来に向けての議論をする機会がある度に、事業の現場で躍動する人々が羨ましい…そんな気持ちも芽生える中で、“私も事業の最前線で活躍できる環境に飛び込みたい”という欲求が強くなっているのも事実でした。前職では生涯経理キャリアというのが既定路線で、ここに居たら、その欲求も満たされない。それでも転職への強い決意があったわけではありません。
製薬、メーカー、総合商社などをめぐる中で、たまたま商船三井と出会い、そこで「今までのキャリアを活かしつつ、将来的にはジョブローテーションでいろんな営業部で活躍できる」という話を聞いたとき、現状の私の想いをすくいとられたような感覚になり、私の次なる道はここだ!と直感したんです。縁というか、運命の導きというか、そんなものだったのかもしれません。転職希望を上司に相談した際には「もう決めたことなんでしょ。自分の人生なんだから。しっかりと切り換えて、新天地で頑張って」と言われ、心は決まりました。実は今でも前職の同僚とは交流を続けています。そういう意味で、私の新たな挑戦を温かく見守ってくれる仲間には感謝しています。そして、ここ商船三井で成長して、活躍することが、彼らへの恩返しになる!と思いながら、ずっと今まで頑張ってきました。
最初の配属は経理部。商船三井およびグループ企業の連結決算を担当。前職のメーカー経理は、ひと言で表現するなら“超真面目”。原則に忠実で、会計基準通りか、それ以上の厳密さが求められ、教科書通りの業務が求められました。一方、商船三井の経理では海運業という特殊性からか世の中一般に「こうするべき」という教科書はあまりありません。そのため、新しい案件が起こるごとに基準書を読み、自分で考え、解釈しアレンジすることが求められ、それが面白さにもなっています。3年に渡る連結決算の仕事は、会社の全体像を理解するには十分な機会と時間だったと思います。
続いて配属されたのは経営企画部予算グループ(現・経理部主計第一グループ)。営業部への異動を期待していただけに少々驚きましたが、予算の仕事ならではの醍醐味を感じる中で、ここでまた違った観点から商船三井への理解を深めよう!そう考え、自分なりのアプローチを行っています。予算の作成は、経営に近い仕事のため、会社の方針決めに関われることが多く、それがやりがいとなっています。また、各事業の現状や先行きを見極めたり、他社動向の情報収集や分析をしたり…等々、経営判断資料を作成する仕事にも手応えを感じています。さらには各営業部からの問い合わせや相談に応じる案件を通じて、経営コンサルとしてのスキルも磨かれていると感じます。
決算に続いて予算に関わる中で、最近になって経理としての適性を自覚しつつあります。経理的な思考やセンスを活かすことが自分の性にあっているし、前職のキャリアで得たものを、ここで活かすことも結果的には商船三井のためになると考えるようになっています。しかしながら、そのためには事業の最前線の経験が不可欠であるはず。だからこそ、できるだけ多くの営業部をまわって、現場のビジネス感覚も身につけたいと思っています。
入社後の研修の一貫で、わずか2週間でしたが、乗船研修に参加したことが強烈に印象に残っています。コンテナ船に乗り込み、機関室や操舵室をはじめ、船上の業務のすべてをリアルに感じる濃密な時間。この体験を境に、業務への取り組み姿勢が変わりました。でも、事業の現場の躍動感を直に感じる経験値がまだまだ圧倒的に足りません。だから私の今の欲求は、現場の最前線で、考え、悩み、試行錯誤する苦労を買って出ること。そこで経理キャリアを活かして、独特な発想や実践で、今までにない変化を生みだせたら、と考えています。
そして将来的には再び経理部や経営企画部で、予算・決算・財務の仕事に挑みたい。私がイメージするのは“攻めの経理”。現状は、経理部が営業部に対して進言したり、議論を仕掛けたりすることはありませんが、個人的にはもっともっと経理スタッフが営業部に対して積極的に働きかけるべきだと思っています。議論をしなければ本当の課題は見えてきません。ぶつかり合わなければ、戦略の深みも備わりません。私が考えるに“攻めの経理”の役割は、社内に化学反応を起こすこと。劇的な変化を生む触媒となったり、あるいは大胆な事業改革を進める起爆剤になったり、新たなビジネスモデルを創るヒントを与えたり…等々、やり方次第で、経理が商船三井の未来を切り拓く起点になることは十分に可能だと私は考えます。ぜひトライしたいですね。
最後に、転職を考える皆さんにアドバイスをひとつ。特に異業種への転職の場合は不安も多いと思います。でも、その反面、この会社にはない自分の経験を最大限に活かすチャンスもあるわけで、ここにフォーカスすれば、転職への勇気も湧いてくるはず。私の場合は“攻めの経理”というミッションを自らに課して挑戦中です。皆さんもきっと、“自分らしさ”が生きる場は、どこかにあるはずです。その場との運命の出会いのタイミングを常に意識しながら働く…そんなスタンスを持てば、もっともっと自分の未来に対してワクワクできるのではないでしょうか。その点、商船三井は、海運業を自らのチカラで何とか盛り上げたい!そのためには自らのさらなる成長に期待しなければ!という社員それぞれの“未来へのワクワク”に満ちている会社です。ぜひ一度、当社の門を叩き、その一端に触れてみてください。