現在の仕事内容
安全運航支援センター(SOSC:Safety Operation Supporting Center)は、24時間365日体制でMOLが運航する約800隻の安全運航を陸上から支援しています。東京の本社にあるSOSCでは、すべての運航船舶の位置や、荒天や氷山、港の凍結など気象や海象の情報、世界情勢に伴う保安など航海に関するさまざまなリスク情報をリアルタイムで把握しています。その情報を運航船舶の船長や陸上関係部署に配信し、それらのリスクを適切にコントロールするための正しい判断ができるようにサポート。そして情報の配信に留まらず、船舶が安全に運航できているかを継続的に確認しています。さらに、ヘルプデスクとしての機能も持っており、船長や陸上関連部署からの問い合わせや相談にも対応しています。
01
冷静に状況を把握し、
適切な情報を提供する。
SOSCには10名ほどの当直員が在籍し、そのほとんどが船長や航海士として海上職を経験してきたメンバーです。私自身も航海士として約7年にわたりさまざまな種類の船舶で海上勤務を経験してきました。その経験を活かしながら、船舶の安全運航の支援にあたっています。船舶の運航をサポートしているのは、SOSCだけではありません。次の目的地を定め、運航をコントロールし、コスト的な面も管理しているのが、オペレーターと呼ばれる事務系の陸上職です。時には、オペレーターと本船、私たちSOSCの見解が異なることもあります。オペレーターや船長は経済面と安全面を天秤にかけて判断を下しますが、私たちは安全面からサポートする立場に徹しています。求められているのは、第三者の視点で冷静に状況を把握し、事故や危険を回避するために必要な情報を提供することで関係者への注意喚起を行うこと。船の最終責任者である船長が正しい判断をするためにはどんな情報を提供すればいいのか。安全性を損なう可能性があると「気づき」を与えるにはどう対応すればいいのか。それがSOSCにおける業務の難しさです。海上勤務で身につけた冷静な状況判断と問題解決能力を活かしながら、船舶やオペレーターに有益な情報を提供し続けることに尽力しています。
02
現場の船長と陸上をつなぐ。
そこに海上勤務の経験が役立つ。
国際航海に従事したいと考えていた私がMOLへの入社を決めた理由は、MOLがさまざまな船舶を運航している「総合海運会社」であるということが大きかったですね。自動車船、LNG船、コンテナ船など多彩な船舶で航海士としての経験を積んできました。海上、陸上、それぞれ魅力が異なる仕事をどちらも経験できることは、海上職の特徴であり、やりがいでもあります。海上勤務経験のおかげで、荒天時の船の中の状況や、リスクの高い海域に入港するときの対応など船員の目線で判断することができます。船上での経験がない陸上関係者に説得力のある説明ができるのも、現場経験があるからこそだと思っています。以前、台風に遭遇しそうな船舶を対応したことがありました。船長は台風を迂回して安全なルートを取りたい、陸上のオペレーターは早くお客様のもとへ荷物を届けたい。そのせめぎあいの中で、本船はオペレーター案に従い台風にかなり接近するルートをとろうとしていました。しかし、SOSCは荒天に巻き込まれる危険があると判断しました。必要な情報を提供しながら、ルートの見直しを両者に提案。結果、迂回して安全なルートで航行することとなりました。私たちがモットーとしているのは、船長を孤独にしないということ。第三者の視点を持ちつつも、船長に寄り添いながらサポートすることも使命だと考えています。本船と陸上を安全面からつなぐ役割を担っている。その責任は大きいですが、800隻の安全を守っているということが誇りにもなっています。
03
ゆるぎない海技力を身につけ、
その知見を陸上勤務でも発揮したい。
SOSCは陸上での仕事ではありますが、船の安全運航を支援するという、より現場に近い仕事だと思っています。近年は世界的な異常気象に加え、海上テロ行為や紛争といった地政学リスクの懸念も高まっています。グローバルなリスク情報を収集し、船長や陸上関係者に適切な情報を提供する重要性はますます増していると実感。気象会社やセキュリティコンサルタント会社など専門家の知見も取り入れて、日々の情報提供に活かしています。また、システムの不具合対応の業務も担っていますが、重大な不具合が起きないよう、システム会社と連携しながら早めの対応を心がけています。ありがたいことに、乗船前打ち合わせなどで本社を訪れた船長から「SOSCからの情報が非常に役立っている」とポジティブなフィードバックをもらえることも多く、それが大きな励みとなっていますね。「船の事故ゼロ」をめざして、システムを改良し、監視体制をさらに充実させていきたい。そして船の安全運航をしっかりと支援していきたいです。今後の目標のひとつが海上勤務に戻ってキャリアを積み、船長となること。ゆるぎない海技力を身につけ、次の陸上勤務でその知見を発揮できればうれしいですね。
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