国の基準満たさない牛レバー販売か 大分の業者逮捕 京都府警

牛のレバーを「生レバーの風味」とうたって販売していた大分県中津市にある食肉加工会社の社長など2人が、国の基準を満たす加熱処理をしていなかったとして食品衛生法違反の疑いで京都府警に逮捕されました。
このレバーはふるさと納税の返礼品にもなっていて、警察は全国に出荷されていたとみて実態を調べています。
調べに対し、2人は容疑を否認しているということです。

逮捕されたのは、大分県中津市の食肉加工会社、「Meフードシステム」の社長、桝田治基容疑者(66)と社員の濱田豊市容疑者(66)の2人です。
牛のレバーは、生で食べると食中毒を引き起こすおそれがあり、食品衛生法は生食用としての販売を禁止し、提供する際は中心部まで十分加熱するよう求めています。
警察によりますと、2人は国の基準を満たす加熱処理をしていない牛のレバーを「生レバーの風味を再現した画期的なハム」などと宣伝してことし1月ごろ、京都市伏見区で飲食店を運営する会社に卸したほか、ことし6月にもインターネット上で販売したとして食品衛生法違反の疑いがもたれています。
このレバーについて、会社は「63度で30分間の加熱処理をしている」として食品衛生法の基準を満たしていると説明していましたが、警察が専門機関に鑑定を依頼するなどして調べた結果、大幅に下回る温度で加熱していたとみられることが分かったということです。
このレバーは中津市のふるさと納税の返礼品になっているほか、インターネット上でも販売され、昨年度(2023年度)は全国でおよそ1億円を売り上げていたとみられるということで、警察が実態を詳しく調べています。
調べに対し、2人はいずれも容疑を否認しているということです。

【大分 中津市が取り扱い中止】
食肉加工会社の社長などが逮捕されたことを受けて、この会社の商品を2020年からふるさと納税の返礼品にしていた大分県中津市は20日、会社のすべての商品の取り扱いを中止しました。
ふるさと納税を担当している中津市商業・ブランド推進課の澁谷正芳 課長は「逮捕されたことを報道で知り、驚いている。事実関係を確認したうえで適切に対処したい」と話しています。

【生レバー食中毒に注意】
牛のレバーを生食用として販売したり提供したりすることは、2012年から法律で禁止されています。
腸管出血性大腸菌、O157による食中毒を引き起こすおそれがあるためです。
厚生労働省によりますと、新鮮なものでもレバーの内部にO157がいることがあり、重い病気や死亡の原因になるということです。
京都市内では、規制される前の2010年と2012年、焼き肉店と鉄板焼きの店で提供された牛の生レバーが原因とみられる食中毒が2件発生し、合わせて13人が腹痛などを訴えました。
厚生労働省によりますと、今のところ生で食べないことが唯一の予防法で、食べる際には中心部の温度が63度で30分以上、または75度で1分以上加熱する必要があるということです。

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