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【ハリエグ】without you 1/Novel by inutiyo

【ハリエグ】without you 1

1,802 character(s)3 mins

カッとなってやりました。
キングスマン初投稿です。

エグジーちゃん可愛すぎます。
次はエロを書きたい!

twitterでも萌を吐き出していますのでよかったら…
→@jyuurant_IBZ

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しくじった、とエグジーは思った。

首筋にわずかな痛み、その後急速に意識が混濁し、体に力が入らない。投与された薬剤は、自白剤と筋弛緩剤、あとは、不運なことに・・・・おそらく媚薬のカクテルだと考えられた。今回のターゲットは、情報戦に優れていた。エグジーを罠に嵌め、洗いざらい情報を聞き出そうとしたのだろう。


なんとか敵の本拠を抜け出し、マーリンにエマージェンシーを告げてのち、路地裏に駆け込んで身を隠す。
キングスマンのスーツには発信機が仕込まれているので、数分もしないうちに、助けが来るはずだ。

縛られていた手首が痛む、そして、何より脳裏に浮かぶのはハリーのことだった。ハリーが亡くなったと告げられて半年、エグジーはハリーの死を全く信じられていなかった。あれほど完璧で、強いエージェントはいない。あれほどの情念でエグジーを守ろうとし、信じてくれた人はいない。かれは、エグジーが自分を卑下したときにこそ、烈火のように怒るのだ。嫌味で、上流階級の常ともいえる慇懃無礼な言い方だった。しかし、かれの行動と言動は、エグジーに自分の可能性を信じろ、といつも告げていたのだった。

荒い息をつきながら、ネクタイを緩める。ああ、どこもかしこも燃えるようだ。吐いた息は白いが、外気に触れた胸元の肌が心地よい。

追手らしき足音が…3…5名。安全装置を外す音がする。彼らは銃を携帯している。足音から推測すると、訓練された元軍人…訓練と、経験により裏打ちされた知識が、混濁した意識のなかでもはっきりと情報を伝えてくる。立ちあがれるだろうか。交戦は?


おれ、死ぬのかな…?


それは、ある意味では解放を意味した。
ハリー・ハートがいない世界など、自分とっては意味がない。どんなに凄いと言われることをしても、何を達成しても、腹の底から喜びが湧いてこない。かつてハリーに褒められていた頃ほどには。かれに褒められたくて、認められたくて、がむしゃらに頑張った。ヴァレンタインの事件のときも、どこかでハリーは死んでいないと思いこんでいた。
でも、ハリーはいつまで経ってもかえってこない。

…自分は捨てられたのだ。結局のところ、かれは、自分を置いて行ってしまったのだ。かつての父のように。

父を亡くし、母を守らねばならなかったエグジーにとって、自分の安寧というものは常に後回しだった。幼い手のひらで、母を悪い恋人から守ろうとして、殴り飛ばされ、重症を負ったことさえある。
愛情深いが、幾分頼りない母の次々に代わる恋人たちは、エグジーにとって決して良い手本ではなかった。自分が徐々に力を削がれ、みるみるうちに、不本意な道へ突き飛ばされた、とかれは感じていた。そこへ現れたのがハリー…輝ける紳士、新しい時代の騎士だった。

「ハリー…たすけてよ」

追手の足音。

「ハリーがいないと、生きていけない」
次々と流れ落ちる涙に気づけないまま、祈っていた。

3名…暗がりに潜んでいる。足に力を入れようとしたが、へたり込んでしまう。派手に転んでしまった。ああ、体が動かない。地面に顔が近いのか、土の匂いが鼻をつく。

早く動かないと、死んでしまう。
でも、ハリーのそばにいけるなら、そんなに悪くないかな。

真っ白に塗りつぶされる視界とともに、遠く銃声を聞いた気がした。


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まぶしい。
目を開けると、真っ白なシーツ。怪我の手当てはされていて、全裸だ。
紅茶の香ばしい匂いと、上等のルームフレグランスのかおり。調度品は華美ではないが、十分に価値のある、年代物だ。ここはキングスマンの支配下にある施設だろう。

どうにか自分は助かったらしい。

「マーリン? ロキシー?」

次々に、助けてもらったであろう人物の名前を呼んでみた。ここはどこかのセーフハウスだろう。

しかし、姿を現したのは、彼らのだれでもなかった。
エグジーは、身をこわばらせると、咄嗟にベッドを出て、近づいてきた人物の死角であるベッドの影に隠れた。

「あなたは誰?」


「きみを解放させた男だよ」

ぼろぼろと勝手に流れる涙はそのままに、かれに再会したときの言葉を聞いていた。



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