苦戦のスキー場 官民で継続への努力を
2024年11月23日 05時05分 (11月23日 05時05分更新)
地球温暖化などに伴う雪不足や物価高騰がスキー場経営を圧迫している。スキー人口も激減しており、「時代の変化」の波に洗われた形だが、農林業の衰退した地方にとっては重要な生き残り策の一つ。貴重な雇用の場、観光産業の核となっている所も多い。順調なスキー場のノウハウ共有や投資の支援策など、自治体や国もかかわって振興策を講じられないか。
長野県松本市にある「Mt.乗鞍スノーリゾート」の運営会社は10月中旬、今季の営業を断念する方針を固めた。コロナ禍や暖冬の影響で利用客が減ったためだが、スキー客を当て込む周辺の宿泊施設なども多く、衝撃が広がった。
地元の「有志の会」が営業継続のためネットで支援金を募ると2週間で3500万円超が集まり、同月末、運営会社が有志の会などでつくる地元協議会に経営を引き継ぐ方向で契約。12月下旬から営業可能になった。有志の会代表の宮下了一さんは「60年以上続くスキー場を守りたい」と話すが、地元の力だけで来季以降の継続は難しい。市への協力要請も視野に新たな運営母体を探すという。
行政主体のスキー場も苦境は同じ。人口わずか400人弱の同県平谷村の「ひらや高原スキー場」は、村の一般会計が8億円だった1985年、3億円を投じて村公社が建設した。基幹産業の林業が不振で観光立村にかじを切ったころ。現在の西川清海村長は「リスキーな決断だったが、国の過疎債を利用して乗り切った」と話す。
以来、村観光の核的存在だが、昨季はコロナ禍が一段落したのに来場客は前季比3割減の2万人。暖冬と燃料高で、スノーマシンの経費は逆に数年前の5倍近くに。今季は12月下旬オープン予定だが苦境は続く。「スキー場は村の生命線」と語る村長も思案投げ首だ。
レジャー白書によれば、スキー・スノーボード人口は1998年の1800万人から2023年の460万人へと大幅減少。帝国データバンクによると、スキー場運営会社の倒産は23年に全国で7件と過去10年で最多だった。
ただ、そんな中、比較的高温でも雪ができる人工造雪機8台を12億円かけて導入するなどして来場客数を更新し続ける滋賀県米原市の「グランスノー奥伊吹」のような事例もある。官民、場合によってはスポーツ用品メーカーも巻き込んで苦境脱出のヒントを探りたい。
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