「プリンスのパクリ」と言われて
私が、本やいろんな記事に何度も書いているエピソード。35年前=1989年夏のNHK FMでオンエアされた音楽評論家の集う番組で、当時「ザ・若手評論家」という感じだった萩原健太が、まだデビュー3年目、岡村靖幸の『Vegetable』をかけたら、周囲の評論家から非難轟々。「こんなのプリンスのパクリだろ」云々と言われたのです。
でも私は「かっこいい!」と思ったのです。いや白状すれば「かっこいい!」の前に「なんじゃこりゃー!」とも。
そして、35年前の7月にリリースされた、『Vegetable』が1曲目のアルバム『靖幸』を手に入れて、私は腰を抜かします。
まずはクレジットを見て驚く――「Produced, Composed, Arranged, Performed by 岡村靖幸」。「えっ! すべて1人でやってるのか!」。もちろんサポートメンバーはいるのですが、基本的なところはすべて1人でやっているよう。
次に、丹念に聴いても、いったい何を歌っているかさっぱり分からないこと。『Vegetable』の冒頭「♪愛犬ルーと散歩すりゃ ストロベリーパイ」からして、何度聴いても聴き取れない。
その後、冷静に考えて、日本語を英語的に歪めて歌うという意味で、矢沢永吉→桑田佳祐→佐野元春の後継にして最先端という整理が出来たのですが、『靖幸』を買ってすぐは、そんなことなど分からない。