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翼型の空力特性   低レイノルズ数効果

 ASK-18の飛行特性分析に先立ち、翼型の空力特性(揚力係数、抗力係数等)がレイノルズ数によって一般にどの程度変化するものかの知識を得たいと考えます。

翼型のレイノルズ数とは
 翼型のレイノルズ数(Re)とは、翼弦長と飛行速度の積を空気の動粘性係数で割った値です。これは空気の粘性効果を表す指標になっていて、数値が小さいほど粘性効果が大きいことを意味します。実機のレイノルズ数は優に100万(10の6乗)を超えて、その領域では空気の粘性効果は無視できるほど小さくなりますので、揚力係数CLや抵抗係数CDは速度によって変化せず、ただ迎角とマッハ数だけの関数になります。

しかし、ラジコン機では実機に較べて翼弦長も飛行速度も小さくなりますので、レイノルズ数も数万(10の4乗)~数十万(10の5乗)程度に低下して空気の粘性効果が無視できなくなると言われています。1/5 ASK-18の飛行領域でこのレイノルズ数効果がどの程度のものであるのかの知識を得るために、似たような翼型で低レイノルズ数領域で風洞試験を行った文献を探して調べました。

1/5 ASK-18のレイノルズ数
 空気の動粘性係数は凡そ1.5×10^(-5)m^2/secの値です。1/5 ASK-18の主翼のレイノルズ数を平均空力翼弦長(MAC=0.181m)で、その予想飛行速度域で計算してみると次のような値になります。

ASK18飛行レイノルズ数

やはり67,000~167,000程度の非常に小さな値になります。

低レイノルズ数での翼型の風洞試験データ
 低レイノルズ数での翼型の空力特性が実際にどの程度変化するものかの知識を得るために、実際に風洞試験を行った結果の報告書を探しました。その結果米国イリノイ大学航空宇宙学部が公表した報告書を見つけました。(Summary of Low-Speed Airfoil Data Vol 5” by Gregory A. Williamson et al 2012)

その中に、1/5 ASK-18と同じようなフラットボトムのCAL2263mと言う翼型がありました。このような翼型です。
CAL2263m.jpg
翼厚11.72%C、最大厚位置31.32%C、キャンバー高さ3.52%C、その位置42.43%Cで、ASK-18より若干薄翼で最大厚位置が後退しています。両翼型を重ねてみるとこのようになります。
翼型比較
この翼型の低レイノルズ数での詳細な風洞試験データが公表されていました。

CAL2263m翼型の低レイノルズ数での風洞試験結果
 これが、その翼型の測定された空力特性値です。
CAL2263mCLCD.jpg
左図が所謂ポーラーカーブで横軸が抵抗係数Cd、縦軸が揚力係数Clです。迎角を変化してそれらの値を計測した結果です。6本の線が示されていますが、レイノルズ数を変えて試験した結果です。その範囲は60,000~500,000に及んでおり丁度我々が知りたい範囲です。右図は揚力係数を迎角に対してプロットしたものです。

2つの図から次のことが言えます。レイノルズ数によって揚力係数にはそれ程大きな変化は生じないが、抵抗係数は大きな変化を示す。特にレイノルズ数が200,000を切るとレイノルズ数が下がるほど抵抗係数が急激に大きくなる。100,000以下では高レイノルズ数のときの2~3倍以上になる。

1/5 ASK-18の飛行レイノルズ数の範囲とこの試験データを突き合わせると、ASK-18は飛行中に大きな抵抗変化を伴っていることが推測されます。上に示した1/5 ASK-18の飛行レイノルズ数は平均空力翼弦長(MAC)での値でした。翼端の翼弦長はMACの4割ですので、当然レイノルズ数もその40%に落ち込みます。従って飛行のかなりの範囲で翼端は大きな抵抗係数になっているものと推測されます。

以上は似たようなCAL2263m翼型の空力特性です。検討に正確を期すにはASK-18翼型の低レイノルズ数での空力特性が知りたい所です。しかし、当然その翼型の風洞試験データはありませんので、計算で求めるしか方法がありません。次回以降はその過程を報告します。




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Author:RCnorm
退職後ラジコン飛行機を趣味として始めました。
中でもグライダーが性に合っています。
いろいろ作っていますが、だんだん大きなものになっています。
本ブログでは実機の1/3スケールで、スパン5.3mにもなる完全自作の三田式3型改1の設計・製作過程をアップしました。

また、RC飛行機の自動操縦挑戦記と3Dプリンターによるラジコン飛行機製作談も紹介します。