出直し選で返り咲いた兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑では、県が内部告発者を懲戒処分としたことに疑義が呈された。企業の間でも内部告発者への報復は後を絶たず、公益通報者保護法の改正に向けた議論が消費者庁の有識者検討会で進む。検討会委員の柿崎環・明治大教授(会社法)に現行制度の課題や、見直し議論の焦点を聞いた。【聞き手・垂水友里香】
公益通報者保護法の見直し議論進む
――兵庫県では告発者を特定して懲戒処分としました。
◆告発者を特定する行為は、法に基づく指針で禁止される「通報者の探索」(犯人捜し)に当たります。県の認識不足が根底にあったといえます。内部通報を理由とする報復行為を近年、非常に多く目にしますが、公益通報をさせづらくしています。
――保護法が果たしてきた役割は?
◆消費者庁の調査によると、不正が発覚した端緒は内部通報が76・8%で、内部監査の52・0%を大きく上回ります。2006年の法施行後、オリンパス巨額損失隠し(11年)や、東芝の不正会計(15年)といった多くの事件が内部通報をきっかけに明るみに出ました。会社の株価が暴落する局面もありましたが、長期的にはコーポレートガバナンス(企業統治)が改善するといった効果がありました。
――どんな課題が出ていますか。
◆制度が広く浸透し、きちんと機能しているかと言うと、十分ではありません。従業員300人超の企業には、公益通報の…
この記事は有料記事です。
残り1287文字(全文1883文字)
全ての有料記事が読み放題