ウクライナ空軍は21日朝、ロシア軍がウクライナ東部の都市ドニプロにある重要施設に対してさまざまな種類のミサイルによる攻撃を仕掛けたとした上で「ICBM1発がロシア南部アストラハン州から発射された」と発表しました。
迎撃の成果として巡航ミサイル6発を挙げていますが、ICBMは含まれていません。
地元の州知事は、産業施設や住宅が被害を受け、火災が発生するなどして、2人がけがをしたとSNSで明らかにしました。
アストラハン州からドニプロまではおよそ900キロ離れています。
ICBMは、核弾頭の搭載も可能で、ロイター通信はおととし、ウクライナ侵攻を始めたロシア軍がICBMをウクライナに対して使用したのは初めてだと伝えました。
一方、その後、アメリカの複数のメディアは欧米側の当局者の話として、「発射されたのは弾道ミサイルだが、ICBMではなかった」と伝えるなど、情報が錯そうしています。
ウクライナでは首都キーウにあるアメリカ大使館が「20日に大規模な空爆が行われる可能性があるという情報を入手した」と発表し、この日は目立った攻撃はなかったもののロシア側が大規模な攻撃を行うおそれがあると警戒感が広がっていました。
ウクライナ空軍 “ロシア軍がICBM1発を発射” 情報が錯そう
ウクライナ空軍は21日、「ロシア軍がウクライナ東部への攻撃の中でICBM=大陸間弾道ミサイル1発を発射した」と発表しました。
ゼレンスキー大統領「あらゆる特徴がICBMだったこと示す」
ウクライナ空軍がロシアがICBM=大陸間弾道ミサイルを発射したと発表したことについて、ゼレンスキー大統領は日本時間の21日午後9時前、SNSに公開した動画の中で「ロシアの新型ミサイルだ。速度や高度などあらゆる特徴がICBMだったことを示している」と述べました。
そのうえで「専門家が検証中だ」としています。
ウクライナが「ICBMが発射された」と発表したロシア南部のアストラハン州はカスピ海に面し、ロシア軍の演習場があります。
この演習場ではこれまでもロシア軍がICBMの発射実験を行ってきました。このうち、去年4月に行われた発射実験ではロシア国防省は「隣国カザフスタンにある演習場の標的に命中し、成功した」と発表しました。
一方、攻撃を受けたウクライナ東部の都市、ドニプロはドニプロペトロウシク州の州都で人口はおよそ100万。
ソビエト時代のICBMの製造拠点としても知られる工業都市で、おととし2月に始まったロシアによる侵攻後は相次ぐ攻撃によって空港や周辺のインフラが被害を受けていました。
ロシアのICBMとは
ロシアは世界で最も多くの核弾頭を保有する、アメリカとならぶ核大国で、ICBM=大陸間弾道ミサイルの開発を推し進めてきました。
イギリスのシンクタンク、IISS=国際戦略研究所が世界各国の軍事力などを分析した年次報告書「ミリタリー・バランス」などによりますと、複数の核弾頭を搭載できるICBM「ヤルス」が多く配備されているほか、極超音速弾頭を含む幅広い種類の弾頭を搭載できる新型の大型ICBM、「サルマト」が実戦配備されています。
ロシアは、去年2月、アメリカとの核軍縮条約「新START」の履行停止を表明したあと、4月にカスピ海に近い南部アストラハン州の演習場で戦略ミサイル軍の部隊が、ICBMの発射実験を行い、成功したと発表しました。
ロシア大統領府「新たなエスカレーション起きている」
ウクライナ空軍がロシア軍がウクライナ東部の都市に対してICBM1発を発射したと発表したことについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は記者団の取材に対し、「国防省に質問していただきたい。このことで、私が話すことは何もない」と述べました。
その上で「ロシアは、核ドクトリンの中で、核による紛争を防ぐために最大限努力するという点で、責任ある立場にある」と述べました。
そして「新たなエスカレーションが起きている。これは、退いていくアメリカの政権がとっている非常に無責任な姿勢だ」とバイデン政権の対応を批判しました。
ここ数日 事態はエスカレート
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1000日あまりとなるなか、ここ数日、事態はエスカレートしていました。
アメリカの複数のメディアは17日、アメリカ政府当局者の話としてバイデン大統領がウクライナに対しすでに供与した射程の長いミサイルATACMSをロシア領内への攻撃に使用することを許可したと伝えました。
背景には、ロシア側が北朝鮮からの兵士の派遣を受けるなどこのところ攻勢を強める中、バイデン政権がウクライナへの軍事支援の成果が大きく損なわれかねないという危機感があったとみられます。
その後、ロシア国防省は19日、ウクライナ軍がATACMSを使ってウクライナと国境を接するロシア西部のブリャンスク州を攻撃したと発表しました。
これに関連し、ゼレンスキー大統領は首都キーウでのデンマークの首相との記者会見で「詳細は言えないが、われわれはATACMSなど保有している射程の長い兵器はすべて使う」と述べていました。
一方、アメリカがウクライナに対しロシア領内への攻撃に射程の長いミサイルの使用を許可したと報じられたことについてアメリカのCNNテレビは「ロシア当局は数か月に渡るタブーを撤廃されたことに激怒した」と伝えています。
同じ日、ロシアのプーチン大統領は核兵器の使用基準について従来よりも引き下げることを承認しました。
さらに欧米のメディアは20日、ウクライナ軍がイギリスから供与された射程の長いミサイル「ストームシャドー」を使って初めてロシア領を攻撃したと伝え、アメリカ製のミサイルに続く2日連続の攻撃となり、これに対し、ロシア側は欧米への対決姿勢をいっそう強めていました。
ロシア国防省「イギリス供与の巡航ミサイルを迎撃」
ロシア国防省は21日、過去24時間で、巡航ミサイル「ストームシャドー」2発を迎撃したと発表しました。
「ストームシャドー」は、イギリスがウクライナ軍に供与した射程が250キロ以上ある巡航ミサイルで、欧米のメディアがウクライナ軍が20日、このミサイルを使って初めてロシア領を攻撃したと伝えていました。
日本 外務省幹部「事実であれば認められるものではない」
外務省幹部は、記者団に対し「事実であれば侵略を続ける側による明らかな事態のエスカレーションで、認められるものではない。さらなる悪化を防ぐために最善の策をとるのが、日本の一貫した立場で、来週イタリアで開かれるG7の外相会合でも対応を協議することになるだろう」と述べました。
あわせて読みたい
-
-
-
“戦争”と言えない人たち クルスク越境攻撃の現実
ウクライナによるロシア クルスク州への越境攻撃では多くの民間人が避難を強いられている。あるロシア人家族の思いに迫った。
-
-
-
-
ロシアの戦争終わらせられる?アメリカ前駐ロ大使の考察
トランプ氏は侵攻続けるプーチン氏にどう対応するのか。日本など同盟国との関係はどうなるのか。アメリカ前駐ロ大使に聞いた。
-
-
-
-
“ウクライナ 英が供与のミサイルでロシア攻撃” 欧米メディア
-
-
-
-
【随時更新】ロシア ウクライナに軍事侵攻(11月21日の動き)
-
-
-
-
バイデン政権 ウクライナに対人地雷の供与を容認
-
-
-
-
ゼレンスキー大統領 ATACMS使用 確認避けつつ 今後の使用示唆
-
-
-
-
“北朝鮮兵士 ウクライナとの戦闘参加を把握” 韓国情報機関
-
-
-
-
北朝鮮兵は「10万人に増える可能性ある」 ゼレンスキー大統領
-
-
-
-
ウクライナ アメリカ大使館が閉館「20日大規模空爆の可能性」
-
-
-
-
プーチン大統領 北朝鮮の動物園にライオンなど寄贈 ロシア政府
-
-
-
-
中谷防衛相“緊張感高める行為反対”強調 ASEAN拡大国防相会議
-
-
-
-
株価 値下がり 円高進み輸出関連銘柄などに売り注文
-