はいはい、朽木白哉の弟が通りますよっと


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作:スターリー
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全て無駄だバァカめ!


 

 目の前で十番隊隊長の日番谷冬獅郎様が寝ている。どうやら、この時間はいつも昼寝をしてるらしい。

 

「あら、灰世じゃない!」

「こんにちは! 松本副隊長。すみません、少し聞きたいことがありまして」

「そうなの! とりあえず、入って入って!」

「あ、失礼しまーす。それで」

「そうだ! 私、用事があったの思い出したわ! ちょっと出かけるわね! それじゃ!」 

「えっ! まだ用件も! ちょっ!」

 

 あーあ。行っちゃったよ。

 

 飲み仲間の松本副隊長は俺が来たことを良いことに十番隊の隊首室の留守番を任されてしまった。

 きっと、いや間違いなくサボりである。

 日番谷隊長の苦労が見えるなぁ……。俺、六番隊なんだけど応接とかしていいの? 駄目だと思うんだけど。

 

 長椅子でスヤスヤと寝ている姿はまんま愛らしい子供だ。

 

 日番谷冬獅郎様。

 護廷十三隊に入隊した時点で既に卍解を習得していた天才。

 

 そう、天才だ。

 

 正直な話、彼は藍染隊長の協力者ではないかと睨んでいたがそんなことは無さそうだった。

 酒を酌み交わせないからあまり接点を持てない。だから難航はしたけれど一応出来る範囲で調べてはみた。

 

 でも名前通りシロだろう。

 

 彼は必死だ。

 天才たる余裕は何処にもない。日々一生懸命に、責務を果たそうと追い抜き去った者達に追いつこうと努力をしている。

 

 今もおばあちゃんから教わった昼寝を守るくらいだ。根が本当に真面目で律儀で優しい子なのだろう。

 

 この子、これで雛森副隊長より年上なんだよなぁ。うむ、ぜんっぜん見えねぇ! 

 

「……ん」

 

 おっと、どうやら起きるらしい。

 さて自慢の美味い茶でも出したろ! 

 

「お目覚めですか? 今お茶をご用意しますね」

「ん? ああ、すまねぇな。よろしく頼む」

 

 コトっとお茶を置くと、まだ意識がおぼろげでポケポケしたまま、探るように湯飲みに手を伸ばして一口飲んだ。おお、いつもパキッとしてる日番谷隊長には珍しい姿だ。

 

「美味いな……って誰だお前!?!?」

「どーも! 松本副隊長から留守番を頼まれました! 朽木灰世でぇす☆」

 

「松本ぉおおお!!!」

 

 はい頂きました! いつもの雄叫び! 

 

「それで用件はなんだ?」

「もう少しで妹が、ルキア殿が現世へ行くんです。そこで現世絡みの事件を洗っておこうと思いまして」

「心配性だな。いや、無理もないか」

 

 流石は日番谷隊長。察しがいい。

 十番隊で現世絡みの事件といえば……。

 

「ええ、俺が聞きたいのは十数年前の志波一心元十番隊隊長が失踪した件です」

 

 もしも、藍染隊長が狙うなら隊長格。或いはそれに匹敵する人物。そこら辺を全部調べる。アリバイが全て信用ならなくなった今、新しい見方が出来るかもしれない。

 

「構わねぇが、大した情報はねぇぞ。それでも良いなら」

「ええ、それでも構いません。少しでも情報を貰えれば」

 

 何か証拠を残すようなヘマをするとは到底思えない。

 重要なのは隊長格に関わる事件に共通点はあるか。何を利用しているのか。どのレベルの話なのか。その一端でも掴めればそれでいい。

 

「資料と今話したことが全部だ」

「……ありがとうございます」

 

 日番谷隊長は快く協力してくれた。

 資料は綺麗に整理されてるし、些細なことまで手書きで書き込まれてる。きっと自分たちでも散々調べたのだろう。その痕跡がある。ありがたい限りだ。

 

「助かりました。それでは失礼しますね」

「ああ。だが、一つ聞きてぇ。お前の目的は本当に朽木ルキアの為だけか?」

「ええ。それだけですよ。何か疑問でも?」

「……いや、何でもない。引き留めて悪かったな」

「いえ、何かありましたらぜひ相談させてください」

「わかった」

 

 種は蒔いて置こう。

 もしものときの為に。

 

 

 

 その帰り道のことだった。

 

「こんにちは、朽木十席。調子はどうかな?」

「お疲れ様です。藍染隊長! バッチリですよ」

 

 ぎにゃあああ! 振り返ったら奴がいた!! 

 

 五番隊隊長、藍染惣右介。

 優しく語りかけるような口調。穏和な雰囲気。包み込むような包容感。その中身は藍染隊長への忠誠で満ちている。

 

 ハイ! セーフ!!!! 

 

 軽く挨拶を済ませて当たり障りのない雑談をする。

 

 あービックリした。だから、誰だよお前ぇ。

 なんで毎回声かけてくんの!? 圧掛けて来てます? そういう命令されてるんですか!? 

 

 効果抜群だよぉ。

 

 偽物だとわかったなら逆に五番隊について行く。合同訓練の動きの確認、これからの為の聞き取りとか適当にでっち上げるのだ。

 

 はてさて、確かめたいことがある。

 姿が見えない隊士を探すのだ。規模の確認よ。こういう地道な調査が後々実を結ぶのだ! 

 

 そして、今日のための秘密兵器(努力)。テレレッレッテレー! 脳内五番隊隊士名簿ぉ! 思い出せよ俺。頑張れよ俺! ……護廷隊多くね? 

 

 えーと、さてさて、あの人はいる。この人もいる。そこの人は確認済み。あの人じゃなく、この人でもなく? そうなるとぉ? 

 

 あっ! ああ! あのおハゲさんか! えぇ? ウッソ、じゃあ藍染隊長(偽)ってあのおハゲさんなの? 演技すげぇ上手いじゃん! 

 

 お前ちょっと、アカデミー賞主演男優賞目指さん? 

 

 ※全て心の中のボヤキです。

 

 

 やっぱりこの謎能力は藍染隊長が行使している、で間違いないだろう。

 理由は単純明快。こんな能力、藍染惣右介しか扱えないからだ。考えるまでもなかったわ。他に適役がいない。

 

 この人、調べれば調べるほど優秀だ。

 隊長格に相応しい強さ。数々の功績を残すほどの頭脳。性格も良くて隊の内外から慕われ、外面も完璧。まるで非の打ち所がない。

 

 逆に怪しい。怪しすぎる。でも洗っても洗っても本当に何も出てこない。助けて名探偵ぇ! 

 そもそもあの京楽隊長が百年以上彼の裏を見抜けなかったのだ。俺程度が粗を探せる筈がない。

 

 じゃあ、藍染隊長って裏でコソコソ何かやってるけど、良い人だから放って置こうなんて甘さはありえない。

 

 現段階で分かっているのは、この人の隙はここだと思って安易に飛び込めばそれは即死級の罠で、こちらが悪い状況にした上で「全て無駄だバァカめ!」と言ってくるタイプだ。

 

 探れば探るほど俺の第六感が手を引けと警報を鳴らす。暗部で鍛えられた危機感がドロリと心に絡みつき、これ以上進むなと足に精神的な重石を置く。

 

 今のところ、斬魄刀の能力でしか疑う余地がない。ガチ本物の匂い。

 つまるところ、藍染惣右介という男は俺がこれまでの人生で会ってきたどんな存在よりも格上だということだ。

 

 総隊長ォ! 出番! 出番! お茶会してる場合じゃねぇ! 

 なんて言えたらどんなに良いことか。

 

 

 さて、能力の確認はあっちの加減で捏造し放題な訳だし、推理できなくもないけど確定を取れない以上調べようがない。

 

 やっぱ、一番大切なところは彼の目的だ。

 そこがさっぱり分からない。貴族や死神に対して個人的な恨みや報復、復讐なら掴みやすいものだ。彼ほどの有能で才能溢れる死神が相当な準備をしている訳だ。そうなるとより大きな計画になる可能性がある。

 

 個人の我欲の枠。そこを越えるとなると話が変わる。

 

 所謂、思想犯という奴だ。

 尸魂界に国家はない。護っているのは世界であり、霊王様だ。霊王様にとってプラスにしろマイナスにしろ、それをどうこうしようとするなら、理の話になる。

 

 霊王様。死神の間違いがそこにある。

 仮に彼の目的がそれを正そうというのなら、筋が通ってしまう気がしないでもない。

 

 間違って積み上げた組木細工を零から組み直そうとしている。

 世界の真実を知り、こんな世界にしてしまった五大貴族に属する死神として耳の痛い話だ。

 

 もしもこれが本当だったとして、このことを問われたとき、俺はちゃんと答えられるだろうか。

 まあ、そういう問答もなくサクッと殺られるかもしれんしな! 

 

 

 でも相対するその時が来たら、真摯に答えよう。俺なりの答えを。

 




藍染様は灰世くんに圧かけながら、虚圏都市経営に黒崎一護育成計画の準備とか同時並行で色々運営してる感じです。

卍解の仕様変更説得風景

「ピュピィィ!ピィィィ!(おそと!でるの!)」
「始解のときにいっぱい出てるでしょ!」
「ピッ!ピュピィッピィィィ!(それとは!ちがうのー!)」
「駄々こねないの!」アタマナデナデ
「ピィィィ、ピィィィ(おなかいっぱい、たべるのー)」シュン…
「我慢しなさい」オナカナデナデ
「ピィピィィ(やだやだぁ!)」アタマオシツケグリグリ
「もー」ナデナデ

ところで灰世くん闇落ち三界喰らう怪物ルート望んでる人、一定数いるくない……?
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