はいはい、朽木白哉の弟が通りますよっと


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作:スターリー
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ところで何でいつも屋根の上に居るんでせうか?


 多くの死神が利用する大衆浴場がある。

 日夜厳しい訓練と実戦、そして山のような書類仕事に追われ、肩と腰がバッキバキとなった死神たちの憩いの場である。

 

 ピーク時は人が押し寄せ、とても賑やかになる。

 そこで気の合った連中と裸の付き合いをしながら、愚痴と汚れを洗い流すのだ。

 

 そんな時間も悪くないが、ひとりで楽しみたい死神だっている。

 そういうときは早くか遅くか、少し時間を外せば疎らになる。その時を狙えばいい。静かに入る組が各々に癒しを堪能している。

 

 そして、さらにズラせば人が全く居なくなり、まるで貸切のような気分で楽しめる。自由に広々使えるのはなかなか気分がいいものだ。中には人が居なくて怖いと思う人も居るみたいだが。

 

 今日は五番隊との合同訓練があったのだった。そして早めに終わったのでお風呂に直行した次第である。

 いやぁ! 楽しかったな! 合同訓練。藍染隊長とか気前よく始解披露してくれるし、やっぱりただ刀を振るだけの訓練より面白さがダンチだよね! 

 

 カポーン、と桶の音がなる。

 

 さっさと身体を洗って、あっつうお風呂に浸かれば今日も頑張った甲斐があるというもの。

 

「あ゛あ゛ぁ、良き哉、良き哉」

 

 と、静かに目を瞑って浸っていると、カラカラカラッと誰かが入ってくる音が聞こえてくる。

 

 貸切も終わりかと、思いながら端っこに移動する。

 

 そしてまた目を瞑っていると、身体を洗い終えた御仁が風呂に入ってきた。

 なかなかの体躯をしているのだろう。小さなお湯の津波に襲われる。

 

「失礼、すまないな」

「いえいえ、お気になさらず」

 

 一声かけてくれる心遣い、沁みるぜぇと、横目で見るとイッヌがおる。そしてまた目を閉じた。

 

 はいはい。わんわんおね、わんわんお。あれ、わんわんおってなんだっけ。語感よくて頭に残るんだよね。でも詳しくはあんまり覚えてなく…て。

 

 …………。

 

 

 ファ!?!?!? 

 

 思わず二度見するとそこにはワオーンと聞こえてきそうな大っきなお犬様がお風呂に入ってらっしゃる!? 

 

 おん? なんだ白昼夢か? もしかして、これが明晰夢ってやつか! お風呂で寝ちゃったんかな? それにしてもリアルやなぁ。

 

 あっ、目が合った。

 

「貴公、あまり見ぬ顔だな」

 

 キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!! って、さっきも喋ってたか。

 

「え? ええ。最近六番隊に入隊しました。朽木灰世です。どうぞ宜しくお願いします」

「六番隊、朽木。なるほど、貴公が」

「もし宜しければ、お名前を伺っても?」

「そうか、まだ名乗ってなかったな。儂の名は狛村左陣。七番隊隊長を務めておる。よろしく頼む」

 

「し、失礼しましたぁ!!」

 

 ザバァンと思わず立ち上がってお辞儀する。

 うんわっ! そういや、七番隊の隊長って笠で顔見えてなかったけど! こういうこと!? 

 

 一瞬で目が覚めました。はい。

 

「気にするな。今は互いに裸の付き合い。上も下も何もあるまい。そのままでは風邪を引くだろう。早く湯船に浸かると良い」

 

 何この人格者!? 

 見習え…………あれ? 護廷隊の隊長達みんな良い人なのでは? 

 

「そ、それじゃあ、お言葉に甘えまして。狛村隊長はいつもこの時間に入ってるんですか?」

「いや、いつもは七番隊にある風呂に入っているのだが、今朝から給湯器の調子が悪くてな。ここを利用させてもらうことにした」

「なるほど。それは朝から大変でしたねぇ」

 

 それからずっと世間話で盛り上がった。サウナとかも楽しみました。この人、物凄く良い人やでぇ。

 

「そうだ。背中乾かすの手伝いますよ!」

「おお、助かる」

 

 右手に破道の五十八、闐嵐(弱)、左手に破道の三十一、赤火砲(弱)。合わせてメドローア! じゃなくて、現世のドライヤー!! 

 

「おお? おおおお!!」という狛村隊長の驚きからの温風による心地よさで目を細める様子にほんわかして、もっふもふでフッサフサの狛村隊長をブラッシングすることでアニマルセラピーを感じた。

 

 最後にコーヒー牛乳をキメて、二人で風呂屋で満喫した。

 

 うん。これはまさに。

 

 ケツイがみなぎった。

 

 

 

 帰路についてるその途中、上から影が降ってくる。

 美少女だったら良いなぁと思いながらも遠い目。立ち上がる砂埃から出てきたのは、まあ予想通りの御仁だった。

 鍛え抜かれた肉体(抜群のプロポーション)。溢れ出る霊圧(色気)聞こえてくる鈴の音(きらめくアクセ)

 

「よう、灰世じゃねぇか」

 

 十一代目剣八にして十一番隊隊長、更木剣八が降ってきたのだった。

 この人、意外とフレンドリーでコミュ力が高い。顔面の凶悪さと戦闘力の異常さと戦闘狂ってところ以外はまともだ。部下も十一番隊じゃなくて更木隊って名乗るくらい慕ってるしね。

 上司が最強ってやっぱり、こう、単純に男の憧れだよね。背中の追いかけ甲斐がある男だ。

 

 ところで何でいつも屋根の上に居るんでせうか? 

 

「更木隊長じゃないですか。奇遇ですね!」

「おう、ところでてめェに聞きてぇことがある」

「……なんでしょう?」

 

「ここはどこだ?」

 

 い・つ・も・の! 

 更木隊長は屋根の上ばっか走るからそもそもの道を覚えてないのでは? 

 

「商店街近くですよ。俺、そこの風呂屋に入って来たんです。今丁度帰るところで、更木隊長も帰るところなら一緒にどうですか?」

「おう、そんじゃ行くぞ」

「そう言えば草鹿副隊長はどちらに?」

「あァ。やちるなら女性死神なんたらってのがあるんだとよ」

「あー、あれですか」

 

 それ、俺んち、というか朽木邸やんけ。

 

「ところで暇ならこの後一杯どうですか?」

「またかよ。呑むと言いてェところだが、わりぃが今持ち合わせがねェんでな」

「なるほど。ならば今から京楽隊長のところ行きましょうか!」

「そこはてめェが奢るながれじゃねぇのかよ」

「ふふふ。京楽隊長は呑む口実と更木隊長に貸しを作れて、我らは懐を気にせず呑める! うぃんうぃんですよ!」

 

 京楽隊長はそういう貸しならやっとくタイプだし、更木隊長も恩とか貸しとか律儀に返すタイプだよね。ふっ、完璧だぜぇ! 

 

「ようはてめぇがただ酒飲みてぇだけじゃねぇか!」

「てへ☆」

 

 その後白哉兄様も誘い出すことに成功し、隊長羽織よく無くす組の親睦が深まった。

 

 




さらっと催眠にかけられて、しれっと剣ちゃんと仲良くなってる。つまり、プラマイゼロ!

前回の閑話は護廷隊に就職する前のニート時代のお話でした。
艶羅鏡典の話をしたのは、綱彌代家でしか知らない話を持ち出して、もう既に綱彌代家の何人かは支配されてて色々情報が筒抜けだよって脅してました。

逆に綱彌代時灘さんはあれくらいで折れるような人間ではないので、あの後何でもない顔して侮られた怒りを悪意に変えて愉悦をもって灰世くん対策の準備に取り掛かります。

ただ灰世くんも白哉兄様同様に殲景プラス終景のような奥の手を隠しています。灰世くんは始解時、鞘も無くなってます。斬月が刀と鞘だったように、羽々音の『青』は鞘の役割です。

腹の探り合い、未来の読み合い、表裏の騙し合いが本職の二人でした。
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