アナタは朽木家へ送り込まれたスパイになりました。
これから使用人として潜り込み、信用を得て、『■■■■■』を盗み出すのが目的です。
日々慣れない仕事に追われながら、疑われないよう気を使い、情報を集めては虎視眈々と来たる日の為に計画を練る。そんな神経をすり潰すような日常を生きています。
アナタも心ある死神。いずれ裏切る相手と仲良くなるのは精神的に辛いものがありました。それでも心を鬼にしてこの任務に勤しむのでした。
そんな時、アナタに心の癒しとなる存在が出来るのです。
愛らしく綺麗な声の青く美しい小鳥がアナタに寄り添ってくれるようになりました。
言葉の通じない小鳥ならばどれだけ愚痴をこぼしても許される。その子の前だけは本当の自分で居られた。毎日、その子と過ごすのがアナタの心の拠り所となるのでした。
ですが……。
ある日突然その小鳥は姿を見せなくなりました。
いつもの場所にも、どれだけ待っても、好物の餌を置いても、何も来やしないのです。
アナタは少し不安になります。何かあったのだろうかと心配にもなりました。もう来てくれないかもしれない。そう思うと寂しさが身体の内側を焼くように広がるのです。
まるで心に穴が開いてしまったかのよう。
アナタは時間が経つごとにその黒い心が増大していきます。
心配で、心配で、心配で。
寂しくて、寂しくて、寂しくて。
悲しくて、悲しくて、悲しくて。
辛くて、辛くて、辛くて。
苦しくて、苦しくて、苦しくて。
怖くて、怖くて、怖くて。
自分がしてきた事の罪悪感で押し潰されてしまいそう。
このままじっとしていると気が狂ってしまう。そう思ったアナタは小鳥を探すために外へ飛び出すのでした。
外に出たアナタは美しい青年と出会います。
その人はとても優しげで朗らかで穏やかで、初めて会ったのに何故かこの人は信用できると、そう思ったのです。
彼はとても聞き上手で、自分でも信じられないくらいにこれまでの全てを吐き出してしまいます。それはもう、自分が自分ではないように口が止まらないのです。
全て吐き出したアナタに彼は「ありがとう」とお礼を言うのでした。愚痴を聞いてもらって、その上彼は温かな言葉を掛けてくれる。
そんな青年の心遣いもあり、アナタはとても晴れやかになりました。心が洗われたようにも感じます。それほどまでに清々しい。
まるで嵐の夜を越えたような、長い長い悪夢から目が覚めたような、息苦しい病魔から解放されたような、そんな気分。
とてもとても心が軽やかに弾むのです。
鳥籠から放たれた小鳥のように、今にも飛んでしまいそう。
そしてアナタはロープを手に取るのでした。
もっと楽になるために。