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2023/9/12
更新
考え抜いた時間が、自らの土台となる。事業家としての自分を作った2冊 / キズキグループ 安田祐輔
教育・福祉・メンタルヘルス。より良い暮らしに向かってはたらく9人が、「いま何よんでる?」をテーマに、日頃の考えを順番に綴るリレーコラム。 第7回は、不登校・中退・ひきこもりなど、もう一度勉強したい人のための個別指導塾「キズキ共育塾」などを経営するキズキグループ代表の安田祐輔さん。ご自身の大きな原点となった2冊の本をご紹介いただきます。
キズキという会社を経営している、安田祐輔と申します。
キズキは、「何度でもやり直せる社会をつくる」ことをミッションに掲げ、
・不登校・中退などの方を対象とした塾(キズキ共育塾)
・うつ病・発達障害を経験した方を対象としたビジネススクール(キズキビジネスカレッジ)
・全国の自治体・大学等への講師派遣やコンサルティング(公民連携事業)
などの事業を、主には関東・関西で展開している会社です。
8年前に起業してから、さまざまな紆余曲折を経て、最近はようやく落ち着いて経営できるようになってきたところです。
キズキは、「何度でもやり直せる社会をつくる」ことをミッションに掲げ、
・不登校・中退などの方を対象とした塾(キズキ共育塾)
・うつ病・発達障害を経験した方を対象としたビジネススクール(キズキビジネスカレッジ)
・全国の自治体・大学等への講師派遣やコンサルティング(公民連携事業)
などの事業を、主には関東・関西で展開している会社です。
8年前に起業してから、さまざまな紆余曲折を経て、最近はようやく落ち着いて経営できるようになってきたところです。
昨年上梓した「暗闇でも走る」という本にも書きましたが、起業のきっかけは、私自身の経験でした。
幼い頃から家庭環境に恵まれず、12歳のときに家を出て、住む場所を転々としながら、鬱屈した日々を送っていました。
しかし、18歳のときに一念発起して大学に行くことに決め、2年間の猛勉強を経て大学に入学したことが、人生の転機となりました。
その経験が、不登校・中退の方を対象とした塾(キズキ共育塾)の立ち上げのきっかけとなっています。
20歳のときに大学に合格した後は、バングラデシュやパレスチナに関わりながら充実した日々を送っていました。しかし、新卒で入社した総合商社では、入社後4ヶ月でうつ病となり退職、後に、私自身が発達障害の当事者だったことも分かりました。
そのときの経験が、うつ病・発達障害を経験した方を対象としたビジネススクール(キズキビジネスカレッジ)の立ち上げにつながっているのです。
*
自分自身の生い立ちや、新卒で入社した会社をうつ病で退職したことは、事業の一つのきっかけでした。
けれども、それ以上に自分のベースを創っているものがあります。
バングラデシュの娼婦街でドキュメンタリー映画を創ったり、卒業論文を書いたりしていた頃の経験です。
この国の貧困問題は、衛生・医療・教育など多々あるものの、決して餓死するという類の貧困ではありませんでした。
貧しくても、幸せそうに生きている人々がたくさんいる。
一方で、イスラム教国における極貧の農村にいるよりは、はるかに所得もあり、自由も保障されているはずの娼婦達の中に、リストカットを何度も繰り返す者がいる。
さらに、その娼婦達の中には20代後半になると農村部から少女たちを買い、少女たちに働かせることで生計を立てる者もいました。かつて売られた女性たちが、今度は少女たちを買う側になったのです。
想像を絶する現実の中で、「人間とは何か」「人間の幸福とは何なのか」、ずっと考え続えていました。その日々が私の事業の基礎になっています。
その頃に読んでいた本の1つが、「セックスワーカーとはだれか」という本でした。著者のエセックス大学の博士論文として書かれた社会学の論文がベースになっています。
タイ人のセックスワーカーたちへのインタビューをもとに、セックスワークを「選択か強制か」という二者択一では語らず、当事者の複雑な文化的・歴史的背景をとらえ、複雑な現実を理解しようとする姿勢に、非常に共感したのを今でも覚えています。
バングラデシュの娼婦街の女性たちにも、「選択か強制か」では語れない複雑さがありました。
その経験が私の原点になっています。
中退・不登校であっても大学受験をしたい人たちがいるはずだと思い立ち上げた塾(キズキ共育塾)や、うつ病や発達障害であってもキャリアを積みたい人たちがいるはずだと思い立ち上げた就労移行支援事業所(キズキビジネスカレッジ)。
それらのきっかけは、「当事者の多様な姿をそのまま受け止められる存在でありたい」と思えたバングラデシュの経験や、その場所で読んでいた本たちでした。
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そしてもう一冊、最近の悩みに答えをくれた本を紹介します。
今だから言えることですが、3年前に社員の半分近くが辞めてしまった時代がありました。
フィーリングでの採用、不明瞭な評価基準。多くの社員が辞めたのは当然のことでした。
自分のやりたいことで起業をし、自分のやりたいように会社を経営していく中で、生まれた組織内の不和。会社がつぶれるかの瀬戸際の中で、ようやく「自分は経営者としての役割を果たせていない」と気づき、社内の仕組みを整え始めました。
そこで読み込んだのが、Googleの人事トップが採用、育成、評価のすべてを書いた「ワークルールズ」という本です。
Googleのように創業から伸び続ける会社というのは、単にビジネスモデルが優れているからではありません。時代の変化に合わせて柔軟にビジネスモデルを変化させ、優秀な人材を惹きつけ、優秀な人材に成長機会を提供しているはずです。
「グーグルの人事制度には何か秘密があるはずだ」と思い、読みふけりました。そしてこの本から分かったことは、人事課題は「科学的」に解くべき課題だということでした。
さまざまな人の助けもあり、結果的にその後二年間、弊社は前年同月比170%程度で成長し続けています。アルバイト含め社員も300名を超え、組織としての仕組みも日々整っているのを感じますが、そのきっかけをくれたのはこの「ワークルールズ」という本だったのです。
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本当は紹介したかった本がたくさんありました。ですが、今回は自分の会社の事業に沿ってお話しできる本を選びました。また何か機会があれば、おすすめの本をご紹介したいなと思っています。
本当は紹介したかった本がたくさんありました。ですが、今回は自分の会社の事業に沿ってお話しできる本を選びました。また何か機会があれば、おすすめの本をご紹介したいなと思っています。
プロフィール
安田祐輔
1983年横浜生まれ。不登校・中退・ひきこもりなど、もう一度勉強したい人のための個別指導塾「キズキ共育塾」などを経営するキズキグループ代表。大学卒業後、総合商社へ入社するもうつ病になり退職。その後、ひきこもり生活を経て、2011年に「キズキ共育塾」開塾。2019年現在、全国に5校(東京・代々木、池袋、秋葉原、神奈川・武蔵小杉、大阪・梅田)。また全国のさまざまな自治体(東京都新宿区・足立区、大阪府吹田市など)から委託を受けて、就労支援や低所得世帯の子どもたちの学習支援も行う。2019年4月には、うつ病・発達障害の方の就労を支援する「キズキビジネスカレッジ」を新宿区に開校予定。近著に『暗闇でも走る』(講談社、2018年4月)がある。
1983年横浜生まれ。不登校・中退・ひきこもりなど、もう一度勉強したい人のための個別指導塾「キズキ共育塾」などを経営するキズキグループ代表。大学卒業後、総合商社へ入社するもうつ病になり退職。その後、ひきこもり生活を経て、2011年に「キズキ共育塾」開塾。2019年現在、全国に5校(東京・代々木、池袋、秋葉原、神奈川・武蔵小杉、大阪・梅田)。また全国のさまざまな自治体(東京都新宿区・足立区、大阪府吹田市など)から委託を受けて、就労支援や低所得世帯の子どもたちの学習支援も行う。2019年4月には、うつ病・発達障害の方の就労を支援する「キズキビジネスカレッジ」を新宿区に開校予定。近著に『暗闇でも走る』(講談社、2018年4月)がある。
リレーコラムの仲間へ
●前回担当、横山さんへのお返事
●安田さんへ
安田さんとはお目にかかったことがありませんでしたので、著書「暗闇でも生きる」を拝読しました。本書内の「運の良かった僕には、やるべきことがあるといつも思っている」という言葉や、紹介されていた政治学者マッキンタイアの言葉(詳しくは安田さんの本を読んでみてください)に何度も頷き、共感しました。いつかお目にかかれることを楽しみにしています!
安田さんとはお目にかかったことがありませんでしたので、著書「暗闇でも生きる」を拝読しました。本書内の「運の良かった僕には、やるべきことがあるといつも思っている」という言葉や、紹介されていた政治学者マッキンタイアの言葉(詳しくは安田さんの本を読んでみてください)に何度も頷き、共感しました。いつかお目にかかれることを楽しみにしています!
拙著をお読みくださり、ありがとうございます!経験したことを意味づけしていく話、とても共感しました。どこかのタイミングでお会いできたら嬉しいです!
●次回担当 工藤さんへ
いつも工藤さんのお噂はさまざまなところで聞いております。今度ちゃんとお話させてくださいー!
これまでの連載記事を読む
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撮影:田村 健児