保護司の価値は「無償だからこそ」 見送られた報酬制、現場からは反対の声も

罪を犯した人の立ち直りをボランティアで支える保護司制度の見直しを議論してきた法務省の有識者検討会で29日、事務局から最終報告書案が示された。案は保護司の活動を「崇高な社会貢献の取り組み」と指摘。無償とされているのは、自発的な善意を象徴するもので「堅持していくべき価値がある」とし、報酬制の導入はなじまないと結論づけた。

元法務省保護局長の今福章二中央大客員教授は、金銭を目的としないことが保護観察対象者との信頼関係につながり、更生に必要な要素にもなるとし「妥当な結論」と評価。その上で、各保護司に支給される実費弁償金だけでなく、保護司会など組織運営にかかる経費も充実させるべきだと訴える。

現役の保護司からはさまざまな意見が聞かれた。関西地方で30年以上活動を続ける男性(78)は「純粋にこの人の立ち直りを支援したいという気持ちで、やりがいを持って活動している保護司が多い。報酬制にすれば、活動の意義が分からなくなるのでは」と話す。一方、京都で活動する70代男性は「対価が発生することで、これまで以上に責任感を持つ保護司が増えると思う。保護司の質を確保するためには報酬制が適当ではないか」との考えを示した。

最終報告書案には、大津市での事件を受け、保護司と保護観察官との連携強化や観察官の増員も安全対策として盛り込まれた。

今福さんは「これまで抱えていた多くの課題の結論である保護観察官の増員にようやく行き着いた」と評価する。

現在、全国で約1千人の保護観察官が保護司とともに対応にあたっているが、今福さんは「人数に限りがあり、保護司とのやり取りが不十分なこともあった」と指摘。保護司からは観察官によって対応に差があると訴える声もあるが、今福さんは「現場に関与する保護観察官が増えることで保護観察の質も高まる」とし、制度の充実に期待を寄せた。(鈴木文也)

保護司の報酬制や分担制見送り、担い手確保へ公募制試行 法務省検討会の最終報告書案

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