今年のGI戦線も、いよいよクライマックス。ラストバトルの舞台は、北九州メディアドーム・小倉競輪場。「第66回朝日新聞社杯・競輪祭(GI)」が、11月19日に幕を開ける。6日間のナイター開催で行われる今シリーズ。シード番組のないオール一次予選での2走の合計ポイントで、勝ち上がりが争われる。選考上位選手に大きなアドバンテージはなく、それだけにS級S班をはじめとした実績上位の選手といえども勝負のアヤで、二次予選にたどり着けないことも考えられる。逆に言えば下剋上も可能だけに、波乱の余地は十分でオープニングから熾烈な戦いが繰り広げられることは間違いない。そして年末に静岡で行われる「KEIRINグランプリ2024(GP)」の出場権をかけた争いも、この競輪祭で最後になる。獲得賞金争いでの出場権を巡るバトルもヒートアップ。11月24日の最終日が終わると、新S級S班、すなわちグランプリのメンバー9人すべてが決まり、優勝賞金1億3000万円超をかけた一発勝負、12月30日のグランプリモードに輪界の空気が熱を帯びてくる。
今年真っ先にグランプリを決めたのは、
郡司浩平(写真)だった。2月の全日本選抜で北井佑季目標から奪還。21年以来となる久しぶりのGI制覇で、S級S班カムバックを早々に確実なものとした。5月の日本選手権では
平原康多(写真)が復活。大挙5人が決勝に進んだ関東勢は2つに分かれて、吉田拓矢の仕掛けに乗った平原が追い込んでV。9度目のGI制覇で日本選手権を初優勝、2月の郡司同様にS級S班陥落の苦渋を味わったものの、タイトル獲得でグランプリチケットをつかんだ。6月の高松宮記念杯では地元GI3連覇の期待が
古性優作(写真)にかかるなかで、
北井佑季(写真)が初戴冠。郡司との連係から番手まくりでタイトルホルダーの仲間入りを果たした。昨年のMVP、古性にGI優勝がないまま前半戦を終えたが、8月のオールスターではファン投票1位の古性が、多くのファンの気持ちを背負い今年のGI初優勝を同地区の窓場千加頼とのワンツーで遂げた。オールスターVで加速をつけた古性は、寬仁親王牌では驚がくの立ち回りからGI連覇。この競輪祭でV奪取ならば、昨年、史上6人目となるGIの年間3Vの記録を今年も実現することになる。ここまで5つのGIを終えて、郡司、平原、北井、古性の4人がすでにGI優勝でグランプリ出場権を得ていて、残るグランプリ出場枠はあと5つ。獲得賞金でのグランプリも、この競輪祭の優勝者によっては、最大で5つの枠があるだけに、競輪祭シリーズは初日の一次予選から見逃せない。

郡司浩平選手

平原康多選手

古性優作選手

北井佑季選手
今年タイトルを獲ってグランプリを確定させている4人が獲得賞金ランクでも上位を占めて、5位の
清水裕友(写真)、6位の
眞杉匠(写真)は9800万円超を稼いで2人は僅差のところにいる。競輪祭のシリーズで一次予選の2走、ダイヤモンドレース、準決の4走をすべて1着で勝ち上がった場合、約301万円が加算されることを考えれば、2人の賞金差はないに等しい。清水は1月の大宮記念を制すと2月静岡記念、8月松戸記念と3度のGIII優勝。2月の全日本選抜の準Vをはじめ、ビッグでも3度の優出で賞金を積み重ねた。一方の眞杉は、初のS級S班も年頭に練習中の怪我によるアクシデントで出遅れた。とくに前半戦はらしさを欠くシーンも見られ、賞金の上積みもままならない状況だった。しかしながら、7月のサマーナイトフェスティバル、9月の共同通信社杯の連続のGII制覇で、獲得賞金ランクも一気にジャンプアップ。自身はブレることなく競輪祭連覇が目標だろうが、清水、眞杉の2人は当確とは言えないまでも、グランプリ出場がほぼ間違いのないところにいる。さまざまな状況が重なった時にグランプリチケットがすり抜けることはあっても、獲得賞金ランクでのグランプリ出場が濃厚だ。

清水裕友選手

眞杉匠選手
獲得賞金ランク7位の新山響平は約8740万円、同8位の脇本雄太は約8510万円と5、6位の2人に水をあけられている。それでも同9位、同10位の岩本俊介、深谷知広の獲得賞金は7000万円台で、大きなアドバンテージがあることに変わりはない。とくに7、8位の2人にとっては、10位以下の選手から優勝者が出た場合でも、いまの順位さえキープできればグランプリ出場が決まる。ただ、決勝での2着賞金2372万円、3着1550万円、4着1132万も気にする必要があり、下位の選手に抜かれることも。それだけに、まずはこの競輪祭で決勝進出を果たしたいところ。新山は2年前の競輪祭V以来の優勝を、前回の四日市記念で遂げて勢いもある。また、脇本にしても競輪祭の優勝実績こそないものの、準Vもあり当所が苦手なわけではない。底力であっさりV獲りがあってもおかしくない。ボーダー上の9位にいる岩本は、獲得賞金が約7680万円で正念場。10位の深谷に500万円近くリードしている有利さはあるが、初のグランプリ出場に向けては、神経のすり減る6日間になるだろう。
10位の深谷、11位の吉田拓矢、12位の窓場千加頼、13位の佐藤慎太郎、14位の和田真久留、15位の小林泰正、16位の松浦悠士、17位の武藤龍生あたりまでは、優勝者が獲得賞金ランク8位以上の選手で自身が決勝2着なら岩本のシリーズ成績にもよるが獲得賞金で上回ることが可能。まずは優出できるかが鍵となる。そのなかでも松浦は、昨年のグランプリチャンピオンで勝負強さを備えている。今年は怪我に泣かされたが、最後に笑ってグランプリを迎えてもいいだけの苦労は重ねてきた。