古谷金田一のよさは明るさがあるところだ。特に長門勇演じる日和警部とは名コンビ。暗い出生の秘密を持つ美青年にまつわる陰惨な事件「真珠郎」のラストでは、帰りの列車で日和が「思えば哀れな女じゃ…」としみじみつぶやくと、金田一は事件のことなどすっかり忘れたかのごとくガーガーと寝込んで日和にもたれかかる。やれやれ。
金田一のとぼけた明るさのおかげで、事件の闇を引きずらなくて済む。連続ドラマにはぴったりのキャラだった。なお、日和を演じた長門は、横溝正史が多くの作品の着想を得た岡山の出身。方言とユーモアでドラマをもり立てた。
この作品で古谷は一躍スターとなり、毎日、女子高生の追っかけが撮影所に押し寄せる事態に。今も金田一俳優としてファンが多い。(時代劇コラムニスト・ペリー荻野)
■横溝正史シリーズ 第1シリーズは1977年4~10月に6作、第2シリーズは78年4~10月に9作を放送。主題歌は元ピンクピクルスの茶木みやこの「まぼろしの人」(I)、「あざみの如く棘あれば」(II)。その後2時間ドラマ化され、83年から2005年までに32本作られた。