日本音楽著作権協会(JASRAC)の伊澤一雅理事長は2024年5月22日に開催した定例会見で、生成AI(人工知能)にまつわる著作権の在り方に関連して「権利者が自分の作品を学習に使うことを応諾または拒否できることを基本として、どう学習に使うかを議論しないといけない」との見解を示した。

日本音楽著作権協会(JASRAC)の伊澤一雅理事長
日本音楽著作権協会(JASRAC)の伊澤一雅理事長
(写真:日経クロステック)
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 生成AIの普及を踏まえた著作権制度の整備を巡っては、文化審議会の小委員会で2023年7月から議論され、2024年1月に「AIと著作権に関する考え方について」と題するペーパーの素案を公表。パブリックコメントを経て同年3月にペーパーを正式発表した。同ペーパーでは生成AIによる学習と、著作権法30条の4で規定されている「非享受目的」の利用との関係などについて整理している。

 伊澤理事長は同ペーパーの取りまとめの経緯について、パブリックコメントで2万4000件以上の意見が集まったことに触れ、「市井を含めて多くの方から真剣な意見が出てきたし、権利者、クリエーター、学者、開発者、音楽産業の方々などがしっかり発言して、互いの意見を聞くようになった。欧米や従来の日本と異なる(政策決定の)やり方で、日本が文化産業、コンテンツ産業を育成していけるのではと思わせてくれる出来事だった」と一定の評価を示した。

 その上で「クリエーターが安心して創作に専念できるために、対価還元の検討だけでなくAI学習利用に関して権利者の意思を反映することが大事。従来の著作権法の解釈論にとどまることなく、立法論を含む議論が早急に行われることを強く望んでいる」とコメント。法的拘束力のないペーパーで解釈を提示するだけでなく、さらに踏み込んだ新たな法整備を求めた。

 伊澤理事長は現行の著作権制度における懸念点として「人のつくった創作物を生成AIが際限なく自由に学習できることは、クリエーターの努力と才能と能力にフリーライドすることになる。大量の生成物が流通され、それらが著作物を代替することになれば創造のサイクルを破壊することになる」と指摘。生成AIの普及を踏まえた法整備の必要性を強調した。