AI

2023.04.03 19:30

イタリアのChatGPT一時禁止、欧州で規制広がる予兆か

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イタリア当局は3月31日、米OpenAI(オープンAI)が開発した対話型AI(人工知能)「ChatGPT」について、データ利用の透明性の欠如を問題視して使用を一時禁止した。欧米でChatGPTの使用を禁止したのはイタリアが初めて。欧州ではイタリアの措置を精査したり、ChatGPTのもたらす影響などを点検したりする国や自治体が相次いでおり、次にどこが追随するか注目される。

「わずか数日のうちに、世界中の専門家と1つの国、イタリアが、驚異的であると同時に懸念も呼んでいるこのテクノロジーの爆発的な進歩に歯止めをかけようと動いた」──。フランスの新聞パリジャンは、高度なAIの開発の一時停止を呼びかける署名活動と並べてイタリアのChatGPT禁止措置を報じた。

イタリアの個人データ保護監視機関(GPDP)は3月31日、プライバシーの懸念を理由にChatGPTの使用を一時禁止し、調査を進めると明らかにした。フランスの週刊誌ルポワンなどによると、ChatGPTは「個人データに関する法律を順守しておらず、未成年のユーザーの年齢を確認する仕組みもない」と判断された。

ChatGPTはこれまでに中国やイラン、北朝鮮、ロシアなどで利用が禁止されているが、ロイター通信によると欧米諸国でAIを利用したチャットボットに対する規制措置をとったのはイタリアが初めて。GPDPは政府から独立した機関となっている。

欧州のほかの国でも警戒論

イタリアの決定は欧州のほかの国にも波紋を広げている。

フランスの新聞ウエスト・フランスは、フランスではいくつかの都市が「ChatGPTのもたらす変化や地方での利用による影響を評価する」ため、独自に調査に乗り出したと報じている。同紙によると、南部のモンペリエ市はChatGPTは「害をもたらしかねない」として市職員による使用を禁止したい考えだという。

英BBCによると、アイルランドのデータ保護委員会(DPC)はイタリアの措置の根拠を理解するためのフォローアップ作業を進めており「EUのすべてのデータ保護当局と協力していく」意向も示している。

英国の独立した個人情報保護機関である情報コミッショナー事務局(ICO)もBBCに対して、AIの開発は「支持」するとしつつ、データ保護法を順守していない場合は申し立てを行っていく用意があると明らかにしている。
次ページ > イタリア当局に問題とされた点とは?

翻訳・編集=江戸伸禎

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2023.03.16 13:00

さらに進化したChatGPTの最新「GPT-4」について知っておくべきこと

OpenAIは、米国時間3月14日にGPT-4の提供を開始(Getty Images)

OpenAI(オープンエーアイ)は米国時間3月14日に、人気のチャットボットサービスChatGPTを支える技術であるAI言語モデルの最新版のGPT-4を発表した。ここでは知っておくべき要点を解説しよう。

提供開始の時点では、GPT-4はOpenAIの月額20ドル(約2660円)のサブスクサービス「ChatGPT Plus」(チャットジーピーティー・プラス)に登録しているユーザーだけが利用できる。ChatGPTの無料ユーザーは、引き続き旧モデルのGPT-3.5で生成された応答を目にすることになる。

OpenAIは、GPT-4を前モデルと比較して「信頼性が高く、創造的ではるかにニュアンスの深い指示を扱うことができる」と説明している

GPT-4がGPT-3.5から飛躍したものの1つに、画像の解析能力がある。OpenAIの示した例では、言語モデルに料理の材料の写真を見せ、それで何が作れるかを尋ね、複数の選択肢が回答として示されていた。

大量の文章を文脈に沿って要約することに関しても、GPT-4は前作から一歩進んでおり、人が書いた要約の不正確さを指摘することもできる。

GPT-4は、SAT(米国の大学適性試験)のリーディング、ライティングテストで93パーセンタイル、統一司法試験で99パーセンタイルと、前モデルに比べほとんどの標準試験を楽々とクリアしている。ちなみにGPT-3.5の成績はそれぞれ87パーセンタイル、10パーセンタイルだった。

完璧ではないものの、GPT-4の推論力はパズルを解析し、より正確な回答をする能力にも優れている。

GPT-4の最大の特徴である画像入力の分析・応答機能は、悪用される懸念があるため、提供開始当初は利用できない。ワシントン・ポストによれば、この機能はOpenAIがこの機能に関連する潜在的なリスクを理解しようとしているため、現在は抑制されているという。OpenAIは、顔認識や私人の監視に利用できないような「安全策」に取り組んでいるとしている。

GPT-4も、ほぼすべての言語学習モデルで派生する「妄想問題」を免れることはできない。これは、言語モデルが前触れなしに完全に誤った情報を生成する状況で、場合によっては正確なテキストの途中で発生することがある。OpenAIはこれを認め、GPT-4は「まだ完全に信頼できるものではない」と指摘し「影響の大きな文脈」で言語モデルを使用する際には、人間によるレビューなどの予防策を講じる必要があると警告している。
次ページ > さまざまなアプリへの統合も始まっている

翻訳=酒匂寛

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2023.04.03 09:30

全仕事の18%が自動化、AIは3億人分の仕事に影響を与える

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強力な人工知能(AI)ツールのChatGPTやGoogle(グーグル)のBardが公開されて以来「ロボット」が人間に取って代わるのではないかという議論が高まり、一部の仕事(意外にも従来ホワイトカラーの仕事)に大きな影響が出る可能性があるという調査結果が出ている。

OpenAIのChatGPT公開後、ユーザーが入力するプロンプトに応じて文章などのコンテンツを作成できる能力を持つ、人工知能の一種の生成型AIが瞬く間に人気となった。

2022年11月の公開以来、人々はAIチャットボットのChatGPTを大学レベルのエッセイの執筆やコードの生成などさまざまなことに利用している。

グーグルが3月21日にChatGPTと競合し、検索エンジンとは別のBardを公開したことでAIレースは加熱した。

ゴールドマン・サックスは最新のレポートの中で、約3億人分の仕事がジェネレーティブ(生成型)AIの影響を受ける可能性があると推定している。これは全世界の仕事の18%が自動化されるかもしれないことを意味し、新興市場よりも先進国の方が大きな影響を受けるとされている。

レポートはまた、米国と欧州の仕事の3分の2が「ある程度のAI自動化にさらされ」、約4分の1が完全にAIによって行われる可能性があると予測している。

米ペンシルベニア大学とOpenAIの研究者は、年収8万ドル(約1060万円)以下の一部の高学歴のホワイトカラー労働者が、労働力の自動化の影響を最も受けやすいとレポートで指摘している

レポートによると、農業、鉱業、製造業の仕事は生成型AIの影響を最も受けにくく、一方でITなどの情報処理産業の仕事は用いられている「プログラミングや文章作成のスキル」がChatGPTの能力とかなり近いため、最も影響を受けるという。

生成型AIは完璧ではなく、OpenAIとグーグルは自社のプログラムが時々誤った回答をすること、ChatGPTの知識ベースが2021年までのものであること、Bardの会話維持能力が限られていることなど、欠点を抱えていることを認めている。
次ページ > 最も影響を受ける職種とは?

翻訳=溝口慈子

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欧州

2023.04.03 10:30

パリ五輪に向けAI映像監視導入法案を可決した仏政府、批判噴出

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フランス議会は先週、2024年夏季五輪開催に向けて、人工知能(AI)を使った映像監視システムの実験に関する規定を盛り込んだ包括的な法案を可決した。プライバシー擁護派からは批判が噴出している。

この新法に基づき、300人以上が集まるあらゆるイベントで、アルゴリズムに基づいた自動映像監視システム(AVS)が使用される。仏紙Le Monde(ル・モンド)によると新法はすでに施行されており、2024年末まで有効だという。

このシステムは、顔認識など個人を特定できるような生体認証システムを使用してはいない。その代わり、アルゴリズムによって大量の映像を迅速に分析し、奇妙な動きや異常な行動、放置されたカバンなどの不審物、火災といった危険信号になり得るあらゆるものを検出する。

AIセキュリティシステムの支持者は、五輪観戦客が大挙してパリにやって来る状況下ではなおさら、より高い安全性を実現できると説明している。危険をいち早く察知することで警備関係者に警告を発し、すばやい対処が可能になるというのだ。

エマニュエル・マクロン政権とパリ五輪組織委員会は、五輪開催中の重大な安全保障上の脅威を防ぐために国はあらゆる手段を駆使しなければならないと主張している。

しかし、欧州議会の議員団や国際人権団体Amnesty International(アムネスティ・インターナショナル)などは、前例のない人権侵害であり、実際に犯罪を抑止した実績が乏しいと批判している。また、五輪閉幕後も政府が何らかの方法でシステムの使用を延長するのではないかと懸念する声も上がっている。

「これは大規模な監視ツールだ。警察が人々の行動を分析し、警察関係者の固定観念に基づいて、誰が正常で誰が疑わしいか決定するのを容認するものだ」と、フランスのデジタル権利団体で法律顧問を務めるノエミ・ルバンは仏国営放送RFIに語った。

新法は非公式に「五輪警備法」と呼ばれているが、実際にはスポーツイベントやコンサートなど、すべての大規模集会が対象となる。9月からフランスで開催されるラグビーワールドカップでも使用される。

forbes.com 原文

編集=荻原藤緒

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