AI

2023.04.12 10:45

米政府、AIの規制方法について一般に意見を募る

Getty Images

米国政府は、4月11日にAIに関する公開協議を開始し、人工知能ツールの規制への取り組みを強化している。一方、中国はチャットボットの普及と産業の安全な発展への競争の中で、AIを制御するための独自の詳細な対策案を発表した。

中国のインターネット規制当局は、生成型AIサービスを管理するための20項目の対策草案を発表し、正確性とプライバシーの確保、差別の防止、知的財産権の保護の保証を義務付けることを盛り込んだ。

一般からのフィードバックを得るために公表され、今年中に施行される予定のこの草案は、AIプロバイダーに、AIが生成したコンテンツであることを明確に表示し、ユーザーの苦情を処理するメカニズムを確立し、一般に公開する前にセキュリティ評価を受けることを求めている。

草案によると、AIが生成するコンテンツは「社会主義の中核的価値を反映」し、中国の社会主義体制の転覆につながるような国家権力の転覆を含まないことが求められている。

中国の規制は、米商務省がAI対策に関する正式な意見公募を開始したのと同じ日の朝に発表された。この意見公募は、バイデン政権がAI規制に向けた最初の一歩になる。

パブリックコメントは今後60日間にわたって受け付けられ、AI開発へのアプローチ方法について政策立案者へのアドバイスの策定に役立てられるとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

米国商務省は先月、AI監視のあり方に関する提言をまとめた報告書を発表し、規制の枠組みを確立するために政策立案者が最優先すべき事項として、労働力の準備、国際競争力、国家安全保障を強調した。報告書は「中国などの米国の競争相手は、業界における優位性を確立することの重要性を認識している」と指摘している。
次ページ > 米国も中国もAIの監視強化に注目

翻訳=上西雄太

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2023.04.12 08:00

グーグル元CEOが語る「AI開発の一時停止が危険な理由」

エリック・シュミット(Photo By Lukas Schulze/Sportsfile for Collision via Getty Images))

イーロン・マスクを含むテクノロジー業界の専門家は先月の公開書簡で、人工知能(AI)ツールを開発している企業に少なくとも6カ月間すべての作業を一時停止するように呼びかけた。しかし、グーグルの元CEOのエリック・シュミットは、AI開発の一時停止が中国を助けることにつながると考えている。

シュミットはオーストラリアの新聞Australian Financial Reviewのインタビューで「6カ月の一時停止は、単に中国を利することになるため、賛成できない」と語っている。

彼は、AI分野で中国が米国の先を行くことを懸念する一方で、AIツールには大きなマイナス面があることも認識している。しかし、彼は、AIには「適切なガードレール」が必要だとしながらも、現在、政府にいるほとんどの人が、その発展を適切に規制できるほど技術を理解していないことを強調した。

OpenAIが作成したChatGPTのようなツールは、まるで人間のような自然な会話でユーザーの疑問に答えてくれる。しかし、専門家は起こりうるマイナス面を懸念している。

例えば、何人かのジャーナリストが、AIツールとの奇妙なやり取りを報告している。ニューヨーク・タイムズのKevin Roose記者は、2月にマイクロソフトのBingチャットボットとの会話の中で、彼が自分の妻を愛していないとチャットボットが主張しはじめた経験について書いている。そのチャットボットはさらに、核兵器の機密情報を盗みたいと密かに思っていることを告白したという。

シュミットは、AIツールが米国に敵対する勢力に利用され、プログラマーが設置したガードレールを取り払ってしまう可能性があると指摘した。

「例えば、北朝鮮がこのツールを使ってサイバー攻撃を仕かけようとしたとしよう。その場合、彼らはAIツールに設けられた『サイバー攻撃について話してはならない』といったルールをシステムから取り払うだろう」と、シュミットはAustralian Financial Reviewに語っている。

マスクらの主張にもかかわらず、OpenAIなどの高度なAIツールに取り組んでいる企業が、AI開発を一時停止するような動きは起きていない。テスラを支えるオートパイロットなどの最先端テクノロジーも、間違いなく高度なAIを活用したものだ。だからこそ、開発の一時停止を求める声には懐疑的な目を向けるべきだろう。

AIは、私たちが見たことのない方法で世界を変える力を持っている。そして、それは、私たちが準備できているかどうかにかかわらず、やってくるのだ。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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2023.04.03 19:30

イタリアのChatGPT一時禁止、欧州で規制広がる予兆か

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イタリア当局は3月31日、米OpenAI(オープンAI)が開発した対話型AI(人工知能)「ChatGPT」について、データ利用の透明性の欠如を問題視して使用を一時禁止した。欧米でChatGPTの使用を禁止したのはイタリアが初めて。欧州ではイタリアの措置を精査したり、ChatGPTのもたらす影響などを点検したりする国や自治体が相次いでおり、次にどこが追随するか注目される。

「わずか数日のうちに、世界中の専門家と1つの国、イタリアが、驚異的であると同時に懸念も呼んでいるこのテクノロジーの爆発的な進歩に歯止めをかけようと動いた」──。フランスの新聞パリジャンは、高度なAIの開発の一時停止を呼びかける署名活動と並べてイタリアのChatGPT禁止措置を報じた。

イタリアの個人データ保護監視機関(GPDP)は3月31日、プライバシーの懸念を理由にChatGPTの使用を一時禁止し、調査を進めると明らかにした。フランスの週刊誌ルポワンなどによると、ChatGPTは「個人データに関する法律を順守しておらず、未成年のユーザーの年齢を確認する仕組みもない」と判断された。

ChatGPTはこれまでに中国やイラン、北朝鮮、ロシアなどで利用が禁止されているが、ロイター通信によると欧米諸国でAIを利用したチャットボットに対する規制措置をとったのはイタリアが初めて。GPDPは政府から独立した機関となっている。

欧州のほかの国でも警戒論

イタリアの決定は欧州のほかの国にも波紋を広げている。

フランスの新聞ウエスト・フランスは、フランスではいくつかの都市が「ChatGPTのもたらす変化や地方での利用による影響を評価する」ため、独自に調査に乗り出したと報じている。同紙によると、南部のモンペリエ市はChatGPTは「害をもたらしかねない」として市職員による使用を禁止したい考えだという。

英BBCによると、アイルランドのデータ保護委員会(DPC)はイタリアの措置の根拠を理解するためのフォローアップ作業を進めており「EUのすべてのデータ保護当局と協力していく」意向も示している。

英国の独立した個人情報保護機関である情報コミッショナー事務局(ICO)もBBCに対して、AIの開発は「支持」するとしつつ、データ保護法を順守していない場合は申し立てを行っていく用意があると明らかにしている。
次ページ > イタリア当局に問題とされた点とは?

翻訳・編集=江戸伸禎

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2023.04.05 12:00

ビル・ゲイツ「AI開発の一時停止」に反発、効果を疑問視

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マイクロソフトの共同創業者で元CEOでビリオネアのビル・ゲイツは、イーロン・マスクを含む1000人以上の人工知能(AI)分野のエキスパートが先週提案した「AI開発の一時停止」を実行しても「今後の課題の解決にはならない」と4月4日のロイターのインタビューで語った。

ゲイツは、マイクロソフトが多額の投資を行っているAI開発の一時停止が、世界にどのような影響をもたらすかを理解できないと述べ、特定のグループに開発の一時停止を求めることは、この分野の課題を解決することにはならないと付け加えた。

ゲイツは、その代わりに、人々がこの分野の進歩をうまく利用することや、課題となる分野を特定することに注力すべきだと提案した。

ゲイツは、AI開発の一時停止がどのように強制されるのか理解できないと述べ「誰が停止できると言っているのか、世界のすべての国が停止に同意するのか、なぜ停止するのかよくわからない」とロイターに語っている。

先週、アップルの共同創業者のスティーブ・ウォズニアックやマスクを含む数百人が署名した書簡で、AIの専門家は、人間のような会話をする「これまで以上に強力なAIシステム」の開発が、社会に対する潜在的リスクと利益が評価されるまでの間、一時停止されるべきだと主張した。

彼らは「制御不能な競争」から開発者が身を引く必要があると述べている。なぜなら、現在開発中の強力なシステムは、誰もが完全に理解し予測、制御することが不可能だからだという。

ゲイツは先月、自身のブログでAIがコンピュータやスマートフォンの登場以降のテクノロジー分野で「最も重要な進歩」だと指摘した。また、AIは世界の医療や教育へのアクセスを改善するために利用できると述べ、AIの進歩を利用して世界の最貧困層を支援することがゲイツ財団の優先事項だと述べていた。

彼は以前、マイクロソフトが支援するOpenAIの人工知能プログラムが他社よりもうまく機能していると述べ、ChatGPTが幅広く利用可能になったことが「とてもすばらしい」と語った。マイクロソフトは、OpenAIに100億ドル(約1兆3000億円)を投資している。

フォーブスは世界で5番目の富豪であるゲイツの保有資産を1100億ドルと試算している。

バイデン大統領は4月4日午後にAIの専門家らと会談し、この分野の「リスクと機会」について議論する予定だ。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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