CLOSE

「答えがないのに、ゴールを示すべき」というジレンマをどう乗り越えるか?〜これからの時代の未来との向き合い方(全7記事)

PDCAサイクルやOODAループに代わる「SOUNDメソッド」とは? 変化が激しい時代におけるマネジメントのポイント

中土井僚氏の著書『ビジョンプロセシング』の出版を記念し、これからの時代の未来との向き合い方を探究するトークイベントが開催されました。『プロセスエコノミー』などの著者でIT批評家の尾原和啓氏、READYFOR創業者の米良はるか氏と中土井氏の3名がトークセッションを行い、「答えはないのに、ゴールを示すべき」というジレンマの乗り越え方について探りました。本記事では、中土井氏が提唱する「SOUNDメソッド」について解説します。

前回の記事はこちら

権限を渡すだけでは人は動かない

中土井僚氏(以下、中土井):私の中で、未来との向き合い方が人間にとってすごく大事なんじゃないかって思ったきっかけが、書籍(『ビジョンプロセシング』)の中でも紹介している「タスク・アセスメント」という考え方なんですね。これはけっこう古くて、1980年代にトーマスさんとベルトハウスさんがエンパワーメントの研究の中で提唱しています。

権限委譲という観点で見た時に、権限が委譲されたら人は働くと思っていたところ、権限をただ渡すだけでは働かないよねということで、彼らはモチベーショナルなものとしてエンパワーメントを考えました。「それは、与えられたタスクをどう認知しているかによるんだよね」と考えたという話なんですよね。

この4つが、私の中では非常におもしろいなと思っていて。自己効力感は、自分の手のうちにそのことが入っているか。影響は、全体目標に対してその手段は合理的で、意味があるかどうか。自分で決めたか(自己決定感)、自分の価値観にとって大事か(有意味感)が関係があると思っているんです。

それが、先ほどのWillとShouldとCould beとCanと関係が深いと思っていて。この4つをうまくマネージすれば、先行き不透明かどうかにかかわらず、人はエンパワーされ得るんじゃないかなと思っているんですね。

それがある意味、お二方が言ってくださったことと関係があるだろうなと思うのとともに、これを大きくマクロレベルで回すことと、日々の活動の中のミクロレベルで回すことは、両方とも必要だと思っていて。

PDCAサイクルやOODAループに代わる「SOUNDメソッド」とは?

中土井:米良さんの社会全体のことを考えての話だったり、ご病気なさった時の話は、大きくWillを見たところからのShouldやCould beを見て決められていると思うんですが、これは日々でも必要があると思っているんですね。

PDCAサイクルやOODAループに代わるものとして作り出せるんじゃないかと思って、それに代わるものとして、「SOUND」という言葉でプロセスを表現させてもらったんですね。それが、この「Should」→「Will」→「Could be」→「Should」→「Can」という流れなんです。

最初に問題認識を棚卸し(Should)して、「どうしたいんだっけ?」と自らに問うて(Will)、「今後どうなるんだっけ?」を見極めて(Could be)、自分たちがすべきことを決めて課題を決めて(Should)解きにいく(Can)。そのプロセスをクルクル回していくことが、今後は大事なんじゃないかと思っているんですね。

米良さんが組織運営でされていることだったり、組織の現場の人たちがやっていることは、それに近いことをされているような感じがするんですが、どうですかね?

米良はるか氏(以下、米良):そうですね、かなり近いと思います。この本の中では「長期は見通せないよね」という話があると思うんですが、私たちは「こういう社会にしたいから」というもののバックキャストで、「この3年でこういう状況になってなきゃいけないよね」と長期で考えるのがすごく好きで。

「状況」と言っているのは、「こういう世の中にしたい」ということで、そこに向けてどういう事業的なマイルストーンを作っていかなきゃいけないのか、その時、社会はどうなってなきゃいけないのかを考えて組織を作っているところがあります。

そうすると、例えば私の中では「この3年間でこういう状況を作っておくべきだよね。そうすると、こういう役割が必要だよね」みたいなところが、ある種の「べき」みたいな部分です。

「じゃあ、そういうことをやるべきだよね」って私がミッションを渡すんですが、そのミッションの中で、「自分だったらこういうふうにやるよ」ということを自分で考えてもらう。

その上で「じゃあ、それをどういうかたちで実現するんだろう?」というところを、ある程度一緒に見通しして、あとはお任せする感じで、それがどう進んでいくかは一応見ていくという感じですかね。

中土井:おもしろい。

米良:なので、今の上のほうのプロセスはかなり近いなって思いました。

中土井:なるほど。

これからの時代における理想の組織開発

中土井:尾原さんが、私と米良さんが合うんじゃないかと見立ててくださったところから始まっているわけですが、もともと思っていた感じと、実際に今の対談を進めてみて、今は尾原さんからはどう見えていらっしゃるのかが気になっているのですが、どんな感じですか?

尾原和啓氏(以下、尾原):一番おもしろいなと思ったのが、米良さんと中土井さんが合うのは、米良さんがやっているREADYFORというプラットフォームに集まってきている人たちの中で起こっているチーミングが、これからの組織開発のヒントになるんじゃないかと思っていたんですね。

実はいろんなものの逆転現象がインターネットで起こっていて。設備型産業の時代って、設備を計画的に打つことが大事だったから、イノベーションって軍や政府とかでトップダウンで行われていたんですよ。

中土井:なるほど。

尾原:インターネット以降、アプリやゲームを作ったり、コストがどんどん安くなってきたことで、ユーザーサイドから新しいテクノロジームーブメントが起こるようになったんですよね。だから今って、最初にイノベーションを一番ぶっ込まれるのはTikTokですよね。

それと同じで組織開発も、READYFORみたいなプラットフォーム上にチーミングで集まる人の働き方のほうが、むしろ理想の組織開発が行われている。それを会社という組織開発に当て込んだら、きっと化学反応が起こるだろうなと思ってセッティングしたら、なんともうすでにREADYFORという社内の中にあった。

中土井:本当ですよね。

尾原:「ビジョンを問いとしてやることが楽しい」という旗の中で集まってくるし。

スタートアップを取り巻く環境にも変化が

尾原:言い方は悪いんですが、クラウドファンディングって、「ほかのスタートアップに比べてすぐに上場できるぞ」「すぐに儲かるぞ」という感じがあんまり世の中にしなかったのが、余計に今の見えにくい未来の中の理想的な社内組織にもなっているんだな、すげぇなって思いながら聞いています。

中土井:本当ですよね。

米良:すばらしいご指摘だと思います。そのとおりです(笑)。でも、最後に言っていただいたところは、自分にとってはかなり良かったなと思っていて。

スタートアップって、基本的にはIPOとかを一応ゴールとして置かれるんですよね。そこがゴールだったら、そこから逆算するという思考にしかならないので、本当に思考停止になる。ベースとして、「日々新しいことを、今ないものにチャレンジしていこう」というふうにはなりにくいと思いますね。

今、徐々に変わってきているなと自分たちが思うのは、スタートアップのエコシステムがかなり成熟してきていること。あとは、シリアルアントレプレナーみたいな人たちが、そんなにIPOを急いでやるのではなくて、自分のクレジットを基に大きいことに勝負するようになってきている。

中土井:なるほど。

米良:最終的にはめちゃめちゃ大きくなるわけですが、もっと長期スパンで「会社を、社会に本当に必要なものに育てていく」という気概でできるんですが、数年前ぐらいまでは「置かれたゴールを達成しないと、次のステージなんか行けないじゃん」という感じだったと思うんですが、だいぶそれが変わってきたと思います。

長期思考で、本当に社会にとって必要なものをちゃんと作る。そこに向けてファイナンスの手段も増えてきていると思いますし、集まる人材の変化もすごく大きいんだろうなと思います。

そういう意味で私たちは、自分の志向としても「短期的に早くIPOしなさい」ということはあんまりなかった。それよりも世の中にある課題や、「『世の中がこういうふうになればいい』という大きい問いを解くんだ」というつもりでどんどんやってこられたのは、大きかったかなと。

中土井:なるほど。

働く人のマインドセットはどう変わったのか

中土井:ちょうどQ&Aの時間にもなりつつあるんですが、どうしても1個だけお伝えしたいなと思いました。米良さんのお話もそうですし、尾原さんの話をうかがっていても思うのは、マインドセットがずいぶん変わってきているんだなってすごく感じたんです。

私の周りでもクラウドファンディングにチャレンジした方は多くて。それこそプラットフォームでREADYFORさんを使っている人も多かったりするんですが、初めてクラウドファンディングをやって成功した人たちって、そのプロジェクトが成功したこと以上に、「お金に対する観念が変わった」っておっしゃる人がすごく多いんですよね。

米良:言っていただけますね。

中土井:おそらくそれがすごく大きいような気がしていて、READYFORの中で働いている方々も、やはりマインドセットがずいぶん違うなって感じがしたんですよ。

そういう意味で言うと、「これまでのマインドセットの人たちがどう変わっていくのか、スタンスを変える必要があるのか」を私はビジョンプロセシングという書籍に著したのに対して、米良さんはそれを仕組みというかたちで作っていらっしゃるのがすごいなと思います。

どうにでもなり得るマインドセットに対して、尾原さんはテクノロジーという観点から「こうなっていくのがより望ましいよね」というものをいろいろシナリオとして描かれていたり、道筋を示されている感じがするのが、すごくおもしろいなと思いましたね。

尾原:そうですね。

世の中の変化には2段階ある

尾原:僕も、質問へ行く前にちょっと一言。逆に言うと今日のお話って、聞かれている方からすると違和感があるかもしれなくて。

世の中の変化って2段階あるんですよね。次の生き方がネイティブな人たちが集まって、初めから次の生き方をベースにしたやり方でやっていく。それと、昔のゲームルールで成功しちゃっているところから、次のゲームルールにどう変容していくかという2つがあって。

そういう意味では、想定以上に今日の米良さんの話って、次のチーミングのあり方にネイティブ……。

中土井:本当ですよね。

尾原:うん。だから逆に言うと、次の組織のあり方にネイティブなことに憧れを持つと、今の自分たちから変容したいという気持ちが生まれてくるので、そこはすごく大事だなと思う。

あと、今日は時間がなかったのであんまり深堀れなかったんですが、昔の成功体験でできた組織からチーミングに向かっていくためにはどうするか。ボトムアップに誰もができるかたちでまとめているのがSOUNDメソッドだというのが、ものすごくびっくりしたところでした。

中土井:ありがとうございます。

尾原:そこらへんは今日はあまり議論できなかったんですが、ぜひ本を読んだりしていただいて、実感を持っていただければなと思いますね。

中土井:ありがとうございます。うれしいです。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

Recommend

人気の記事

Recommend

新着イベント

退職代行に怯えない組織になるために(全3記事)

“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方

メディアでも話題となり、企業側も問題意識を持っている「退職代行」サービス。本イベントは「退職代行に怯えない組織になるため」と題し、退職代行ビジネスの現状と人材定着の施策について探りました。本記事では、従業員とのコミュニケーションの取り方について、具体例を紹介します。

退職者が出た時に「会社がどんな対応をしたか」は見られている

松島一浩氏(以下、松島):次に、僕が今日一番しゃべりたいことかもしれないです。「退職者が出た時の対応」ですね。「退職どうしましょう?」という相談を本当にいただくんですが、めちゃくちゃこだわってください。

もう今は10月(イベント開催は2024年10月11日)なので、新卒の方がいたら遅いかもしれないんですが、一発目に(退職者が)出た時に上司や会社がどんな対応をしたかということを、やっぱり同期の子は見ていますよね。これがすごく大事。

個人情報やいろんな問題があるので、退職理由を言えないとかいろいろなケースがあると思います。ただ、そこに対して上司がどう思っているのかを、できればチャットとかではなくて、全体の場や朝礼とかでみんなに伝える場を取るべきだなと考えています。

(共有の仕方は)「まぁまぁ、あいつはもうしょうがないから」「しょうもないよ」みたいな感じじゃなくて。私のクライアントでもいるんですが「退職代行を喰らいました。すごく残念です」と。

申し訳ないこともしたし、でも悔しいし、こっちも傷ついてるということを正直に話し、反省も述べる。「でも、こういうことを伝えたかったんだよね」という後悔も全体にちゃんと開示した時に、その後も残った子たちとのコミュニケーションがすごく良くなったという話を聞いたりします。

だから、誤魔化したりしない。退職に対してちゃんと真剣に向き合ったり、思ったりしてるんだという上司や会社の姿を見せた時に、「退職代行を使いますか? この人にはちゃんと言いたいなってなりませんか?」というふうに思うんですよね。

だから(新卒社員が目の当たりにする)1人目の退職が本当に大事だと思います。今からでも遅くないと思いますので、退職社員に対してどうそれを取り扱うかということでした。

上司が部下に気持ちを伝える場を設ける

松島:「隣のエースとランチ」も、ちょっと斜めの(関係での)発想です。自社の自チームだけに閉じないことが大事で、活躍してる他の部署の先輩や上司とランチしたり交流する場を作ってあげるということですね。



ある程度、口裏を合わせたりしてもいいかなと思います。「こういうことに悩んでるんだよね」「ちょっと視野が狭くなってるから、こんなアドバイスをしてくれたらうれしいな」ということを、部長同士やマネージャー同士が連携してヘルプするような関係。そんなことができたらいいかなと思ってます。

「チーム内アワード」も本当にそうで、言いたいことがあるんですが、これは本当にやってほしいです。いろんなMVPや賞や昇進があるんですが、それとは別に、僕もこのあいだ半期に1回の会の後に全員に「○○で賞」みたいな賞の名前をつけてカードを渡したんです。

こういうことをやっただけなんですが、非常に盛り上がりますし、上司が部下にちゃんと気持ちを伝える場や、「見てるよ」を伝える場として、定期的にこんなことをやるのが大事かなと思っています。

「チームKYS」は何かというと「会社良くする」の略なんです。人事の方も現場の方も、やっぱり1人で戦うのはなかなか大変だと思うんですよね。今日のセミナーも、僕は知り合いに「1人で参加しないでぜひ会社の人と複数で参加いただいて」と伝えたんですが、「明日からこうしようぜ」みたいなことをやってほしいなと思っています。

「でもな、これを部長に言ってもな」と思うんだったら、課長とリーダーでチームKYSを結成して、会社を良くするための取り組みを何かしらしていく。仲間を会社の中に作るということですね。ぜひこれをやってほしいなと思ってます。

思っていることを言えない状態が一番病む

松島:「新卒との約束」というのは、ある意味メンターの逆側みたいな話なんですが、新卒や新人にちゃんと約束をするのが大事かなと思っています。

うちの例で言うと、僕は今年の新卒は3つのことを約束したんです。これも業態や社風もあるかもしれませんが、とにかく読書を1ページでもいいから絶対に毎日するという「毎日読書」。本当は一生って言いたいんですが、これを約束として1年間しました。

あとは寝る前に必ず自分の胸に手を当てて、「今日は全力だったか?」で、YESと言って寝ることを約束しました。もう1つは、会社の中に思ってることを言える場を作る。

ただただ「乗り越えろ」「がんばれ」だけじゃなくて、言いたいこと言える場所があることが大事。人事でもいいし、もちろん直属のメンターでもいいんだけど、その上の部長でもいいし、誰かに思ってること言える場を絶対に作ろうと。

体がしんどくても、大変だなぁと思っても、思ってることを言えない状態が一番病むので、思っていること言える状態を絶対に会社の中に作ろうという話をしました。強い要求と共に、そこが今の時代に必要かなと思って、そんなことを最近はやっていたりします。

就活における「オヤカク」問題

松島:という感じで、怒涛で続けちゃっていいですか、新保さん。

新保博文氏(以下、新保):実はタイムキープ的にはまだ大丈夫なんですが、たぶんみなさんが気になるであろういくつかを飛ばして聞いてきたい。例えば「入社式に親を招待」とか。

松島:これは本当に聞いたお話で、ちょこちょこそういう会社が増えてるんだと思いますが、めちゃくちゃ良いなと思っていて。今、親に事前に(入社を承諾しているかどうかを企業が確認する)「オヤカク(親確)」という言葉があったりしますよね。

「親ブロック」とか「親ブロックブロック」どうしようとか、みんなそういう話をしてるんです。入社式に親を招待すると言って、「いやいや、うちの親は来ないって言ってます」となっても、ぜひなんとか親に来てもらってほしい。

地方であってもできれば来てほしいな。実際はリアルで来てほしいですが、最悪オンラインでも。そこで、新入社員に親への手紙を読んでもらうんですよ。ここまで育ててくれたことへの感謝と、これからの決意をしてもらうという話があって。これは最高ですね。

新保:そういう意味だと、さっきの「大学のテーマパーク」という話がありましたが、お金を払ってサービスを受ける側だったところから、お金を貰う側になるという決意をすると、少し切り替わるかもしれないね。



松島:この後、何かあった時に親とも連絡が取りたいとか。もう社会人なんですが、もうそういうことが必要な世の中かなと思ってもいるので。

入社式に親を呼ぶ理由は「1つの区切り」

新保:うがって見ると「親を入社式?」みたいなになるかもしれないですが、今の時代で言うと、決意表明で(親も子も)どっちも区切りがつくのかもしれないですね。

松島:これ、絶対に親のためにやるべきだと思っていて。親が承認される瞬間って、結婚式ぐらいしかないんじゃないかなと思ってる。結婚式で「自分の子育てって間違ってなかったんだな」って思って泣いたりすると思うんですよね。

新保:なるほど。

松島:社会に育てられてる自分の子どもを見て、1つの区切りとして親にプレゼントしてあげたいって、僕も息子を2人持つ親として思ったりして(笑)。

「ぜひ来てください! うちの入社式は最高です。これはお母さんにとっても区切りでしょう。来てください」って人事が力強く言って、手紙を読むというのがあったら、現職の社員や先輩にとっても良い時間だし。

新保:確かに。

松島:人事にとって、みんなにとって、絶対に良い時間なんですよ。

新保:(子どもの成長を感じる機会は)たまに結婚式をやって感動的だったというのが、入社式でなんとも言えない幸福感が味わえる。その場にいる幸福感があるんでしょうね。なるほど。

たぶんこれは本当に(話が)尽きないし、聞きたい。前回も「もっとこれを聞きたい」とか「これの資料はないのか」というご要望がチラッとあって。

松島:そうそう。

新保:ちょっとそれをやると大変なプレゼン量になるだろうし、後でアンケートに回答いただいた方には、30個全部を入れられるかはわからないんですけど、取り組み集としてポイントや効果を入れられればなと思ってます。

社外ネットワークの重要性

新保:突っ込むとあれですが、心理学とかで、やっぱりどれも「あ、心理学のこの効果だな」というのがけっこう多いです。たぶんそれを心理学で考えたんじゃなくて、実地で帰納法的にいろいろと試して(こういう結果に)至ってるんだろうなと思って、おもしろいなと思いました。

松島:でも、みなさんもやってらっしゃると思うんですよね。

新保:だと思う。たぶん「これをやってるよ」っていうのがあると思うんですが、もう1工夫があるなと思って。しゃべり場でも、ただただ「同期が集まってやろう」じゃなくて、ファリシテーションを入れて「この項目をやろう」みたいな。

さっき「縦の関係」というのが出てきたと思います。そういう意味で言うと今の話って、縦・横・ななめまであると思うんですが、社外とやっているのがポイントだと思って。

松島:そうですね。



新保:社外の飲み会とか、外に触れてもらうのって怖いなとは思うんですが、逆にそれが良いんですよね。

松島:うん。僕らの敵とか言っちゃいけないけど、敵は退職代行というよりかは、SNSと、実家暮らしの過保護な親と、かまってほしい彼女や彼氏なんですよ。

新保:うーん、なるほど。

松島:ここが敵なんですよ。自分より仕事がんばってないけど稼いでるとか、早く帰ってる同期や同級生とか。そうなった時に、外のコミュニケーションや外の友だちやメンターを、上司やメンターが作ってあげる時代だなと思っていて。

新保:間違いないですね。

「コトガラ」と「ヒトガラ」の理解が不安を小さくする

松島:僕も、同期の飲み会をいろんな会社さんと3対3でやってるんですよね。意識の高い人同士でもすごく良いし、「めちゃめちゃ本気で仕事をがんばっている友だちが社外に欲しいんだよね」というニーズは、がんばってる子たちにもすごくあって。

当然、大人のほうが人脈を持ってるわけだから、それをちゃんとバンバン使ってあげるということは、すっごく意識してやってますね。

新保:違う調査では、社外のネットワークや社外の活動がある上司のほうが尊敬できるというデータが明確にあるので。例えばそこへ行った友だちから「松島さんってこういう人なんだよね」と言うのは、心理的に「ウィンザー効果」といって、他人からの評判のほうが信頼度が高いとか。

松島:結果的にそういうことも生まれたりはします。

新保:だと思います。すごく合理的ですね。さらに、この矢印はわかったけど、コミュニケーションとは何かと言うと「コトガラ」と「ヒトガラ」だなと思って。



仕事内容とかビジネスの話と、仕事の背景にある人としての価値観やマインドセットとか、興味関心みたいなもの。きっとこれを組み合わせながら、さっきの送別会とかでも「この仕事がこうだよね」と言いつつ、その人の姿勢とかも見ている。

僕がいつも聞いてて思うんですが、意識してなのか無意識なのか両方あると思うんですが、ミックスされてるなというのは聞いていておもしろいですね。

松島:僕たち、これを永久に話してますもんね(笑)。

新保:もうすでに「開始30分前にこのタイムラインでいきましょう」というのを越しているので(笑)。

松島:ああ、ごめんなさい(笑)。

新保:(笑)。

退職の仕方でその後の人生の質が変わる

新保:みなさんランチタイムで、時間には終わろうかなと思っているのでちょっと巻きでいきます。本編の最後としてお伝えしたいところを、松島さんからお願いします。

松島:これをどうしてもお伝えしたくて。退職の仕方でその後の人生の質が変わるということを、やっぱり忘れちゃいけないなと思うんですよね。これは大人の使命として持っていなきゃいけない。

(人材の)定着や離職防止をどうするか、という経営的な言葉で言う側面はありつつ、退職代行の問題で、僕らはここをちゃんと持ってなきゃいけないというのが強くあります。

人生で逃げちゃいけない瞬間ってそんなにたくさんない気がしてます。10年付き合った恋人に別れ話をする時とか転職の時も、僕はそういう機会なんじゃないかなと思ってます。

それを、あいさつもせずにLINEで辞めるという選択を、新卒や若者にさせることがかわいそうだと思っていて。その後の人生がどうなっちゃうんだろうな? って思うわけなんです。なので、この意識はすごく持たなきゃいけないと思っていて。

これは僕が尊敬する部下なんですが、全権で非常にたくさんの部下を抱えて向き合ってきた、ある管理職の言葉をみなさんにお伝えしたいです。退職者が出た時にどうするかという話を聞きました。

「結婚が入社で、離婚が退職みたいなものですから、それはエネルギーを使います。最後に向き合うことから逃げたくなるのが当たり前で、当たり障りのないことを言って腹の中を見せずに辞めたいと思うのです。ただ、私が大事にしていることは、そうじゃない別れ方があることを教えることです」。

「退職する日が来たとしても、自分はそのエネルギーを使い、本音を伝え、留意してもらえる先にある未来よりも、転職することを覚悟に変える。そんな良い別れ方をしたいと思ってます」という、ちょっと痺れる言葉をもらいました。

新保:痺れますね。

松島:上司やマネージャーとか、そういった人の味方でありたいなと僕も新保さんも思ってるので、これを機会にみなさんとつながれればなと思っております。

新保:今日はオンラインですが、冒頭にちょろっと出た「部下のハートに火をつける会」に参加したいですと言ったら、リアル開催をちょこちょこしてますので。

松島:ただの飲み会なんですが。

新保:あはは(笑)。でも、温度感はちょっと特殊ですよね。

松島:そうですね。

新保:ありがとうございます。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

Recommend
  • 先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因

人気の記事

Recommend

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!