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「二地域居住」促進へ改正法施行 都市と地方の“懸け橋”に
移住より低いハードル
国の調査で約3割が関心示す
都市と地方の両方に生活拠点を持ち、平日は都心で働いて休日は田舎で過ごす――。こういった「二地域居住」を促進する「改正広域的地域活性化基盤整備法」(以下、改正法)が今月1日に施行された。公明党の要望も受けて国は官民連携の支援を本格化。その現状を紹介するとともに、東京都内と福島県川俣町で二地域居住生活を送る映像クリエイターの佐原孝兵さん(29)に話を聞いた。
■利便性と豊かな自然どちらも楽しめる
「二地域居住は、都市と地方の“懸け橋”となり、いろいろな地域の魅力を知るきっかけになる。そして、『新しい豊かさ』をもたらす一つの選択肢になると確信している」。官民を挙げて二地域居住を促進する新たな全国組織の設立イベントで、石山アンジュ共同代表は、こう述べた。
二地域居住は、都市の利便性と地方の自然豊かな生活の両方を楽しめるのが大きな魅力だ。現在の住居はそのままに別の生活拠点を設けるので、移住と比べて始めるハードルが低いのも利点といえる。テレワークの定着もあり、国土交通省の2022年調査では、約3割の人が二地域居住に関心を示していた。
同調査では、二地域居住をしている18歳以上の人が全国で約701万人いると推計。始めた主な理由には「ゆとりある生活」のほか「親族の介護」などが上がっている。
■地域の担い手の確保、ビジネス創出に期待
受け入れる側の地方においても利点は多い。限られた期間とはいえ、他地域からの人が住むことで、地域活動の担い手確保や消費を通じた経済の活性化、新たなビジネスの創出などが期待されている。石山共同代表は「人口をシェア(共有)するという発想こそ、これからの持続可能な地域のつくり方だ」と強調する。
改正法では、市町村が二地域居住の促進計画を策定できる仕組みを設け、空き家改修やテレワーク用共同オフィス立ち上げなどの環境整備を後押しする。さらに、市町村が連携相手となる民間事業者やNPO法人を「特定居住支援法人」に指定できる枠組みを新設。住まいや仕事などの情報共有を可能とし、官民連携による二地域居住希望者への支援を強化する。
■公明推進、官民連携で支援本格化
二地域居住を促進するに当たっては、都市と地方を行き来する際の交通費の負担が重いことや二地域居住者の証明制度がないことなど課題も少なくない。そこで公明党国交部会は、25年度予算の概算要求に向けた重点要望に二地域居住の促進を盛り込み、今年8月に当時の斉藤鉄夫国交相(現公明党代表)へ提出。先導的な事業への支援や、官民連携の強化を訴えていた。
これを受け国交省の同概算要求では、改正法に基づく特定居住支援法人と自治体が連携した先導的な事業を支援すると明記。賃貸住宅の確保や就労・就農への支援、二地域居住者と地域住民との関係づくりなどへの補助金支給が検討されている。また、二地域居住者への証明書の発行や、長距離交通費の定額化・低廉化、地方の居住先で子どもを学校や保育園に通わせられる仕組みの構築も支援する。
■新たにできた“帰れる場所”
2022年から福島県川俣町の地域おこし協力隊として、東京との二地域居住を始めました。月の半分は東京で過ごして企業CMなどの映像製作に携わり、残り半分は福島で川俣町を題材としてドキュメンタリー映像やPR映像を作っています。
福島での仕事のテーマは「帰れる場所はひとつじゃない」。かつて川俣町に住んでいた人が「少し帰ってみようかな」と思ったり、川俣町を知らなかった人が「遊びに行ってみようかな」と思ったりするきっかけを映像でつくれればと思っています。
協力隊の活動費として交通費や撮影機材のレンタル代金が請求でき、住宅手当も支給されているので助かっています。仕事環境を整えるために福島県の移住支援金も活用しました。二地域居住を検討する人は、まず県や市町村の担当課などに相談してみてください。
二地域居住は魅力だらけ。先日は県主催のイベントでも“良さ”を語ってきました【写真】。私の場合、好きなタイミングで住む場所を変えることでリフレッシュができ、仕事のモチベーションを上げられています。地域の人々との温かな触れ合いも心地よく、数年前まで知らなかった川俣町は私にとって、新たにできた“帰れる場所”になっています。