インタビュー㊤
埼玉県川口市に在留するトルコの少数民族クルド人の一部と住民の軋轢が表面化している問題で、ギュンゲン駐日トルコ大使は産経新聞のインタビューに応じ、「治安上の問題を大いに懸念している」と述べた。同国大使が一連のクルド人問題について詳細に語るのは初めて。主な一問一答を3回に分けて詳報する。
――川口市の状況をどう受け止めているか
「治安に関わる事件が起きたことを大いに懸念している。それがごくわずかの人数であっても、わが国民全体のイメージが形成されることを大いに懸念している」
《国内のトルコ国籍者は約6千人、このうち川口市周辺に約2千人のクルド人が集住する。市内では昨年7月、殺人未遂事件後に約100人のクルド人が病院に集まるなどして機動隊が出動する騒ぎが発生、暴走行為なども問題化している》
「大使館として日本の法令に逆らうような行為は容認しない。常に日本の警察当局と連携し、市や政府関係者、国会議員らとも話をしている」
――埼玉県警なども治安対策を進めている
「大使館としても協力できる部分があれば喜んで協力したいと、警察当局などへ伝えている。日本側もわれわれの立場や姿勢を承知してくれていると思う」
――どんな協力か
「日本の法令にのっとって、どんな具体的措置を取れるか対話している。情報共有や情勢評価についての対話もあり得るだろう」
――大使は川口市の視察も要請されたそうだが
「2021年に大使として赴任後、川口、蕨両市を訪問した。両自治体とも連絡を取り合って協力態勢にある。両自治体と接触する中で、常に協力の用意があると伝えている」
【コルクット・ギュンゲン】 駐日トルコ大使。1968年、イスタンブール生まれ。89年トルコ外務省入省。欧州連合(EU)勤務、駐エクアドル大使などをへて、2021年3月から現職。