2024/11/14 12:00

いま聴いておきたい!!!──歌唱力がスゴイ 令和の女性SSW 6選

松任谷由実や西野カナ、あいみょんなど、日本の音楽シーンを彩ってきた女性シンガーソングライター。時代は令和へ移り変わっても、彼女たちのような存在が才能を煌めかせていることは変わらない。それどころか、SNSの台頭により続々と新たな原石が発掘されている。本稿では、2024年の今、絶対に抑えておきたい6組のシンガーソングライターについて触れていく。

文:坂井彩花

tuki.

現在高校1年生の15歳。幼少期からピアノを習い始め、13歳になると自粛期間で学校が休みになったのを機にギターと歌をスタート。趣味感覚でTikTokへ投稿したカバー曲やオリジナル楽曲の弾き語りが話題となり、「突如現れた謎のシンガーソングライター」として一躍有名に。なかでも、2023年にSNSで発表した「晩餐歌」の反響は大きく、同年9月に各種配信サービスでリリースされると、歴代最年少で累計2億回以上の再生回数を記録した。

日本語を基調とした歌詞は、あまりにも表現が洗練されていて彼女が15歳であると忘れてしまうほど。日常生活の出来事であっても、研ぎ澄まされた感性で受け取れば、こんなにもドラマチックに描かれるのかと驚かされる。言葉を繊細に紡ぎあげていく声は、凛とした芯の強さを感じさせるのが印象的だ。ヒットソング「晩餐歌」のアンサーソングとして「愛の賞味期限」がリリースされたので、物語や言葉の繋がりを感じながら聴いてほしい。

tuki.『晩餐歌』Official Music Video
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tuki.『愛の賞味期限』Official Music Video
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乃紫

作詞作曲から編曲やアートワークまでセルフプロデュースする24歳。大学3年生の夏、知り合いにDTMを触らせてもらったのを機に、楽曲制作の面白さに目覚めた。2022年6月にはSNS上での音楽活動を開始し、2023年には活動を本格化。もともと写真を撮ったり映像を創ったりするのが趣味だったため、作りたい世界観を明確に持っており、楽曲もコンセプトファーストで生み出されている。

UGC(「User Generated Content」の略称であり、「ユーザー生成コンテンツ」を意味するマーケティング用語)を意識して作られた作品は、一度聴いたら耳に残るほどキャッチー。フックになるワードを巧みに入れこみながら、自由な発想で音楽を組み立てていく。もともとのミーハーな性質や一般的なリスナーとして過ごしてきた時間によって培われたユーザー視点が、大衆に刺さるアプローチを見出すのに一役買っているのだろう。歌唱スタイルも枠に捉われず、楽曲を魅力的に聴かせることに重きが置かれている。TikTok総再生数が19億回超えを記録している「全方向美少女」を聴かずして、2024年は終われない。

乃紫 (noa) - 全方向美少女 【Official Music Video】
乃紫 (noa) - 全方向美少女 【Official Music Video】

乃紫 (noa) - 踊れる街【Official Music Video】
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野田愛実

三重県出身。演歌を歌っていた祖父の影響で、幼い頃から演歌教室に付いていき、一緒に歌っていた。大学進学と共に上京してからは、下北沢のライブハウスを拠点に活動。コロナ禍に「自分の歌声を届けることを辞めてはいけない」と始めたYouTubeへのカバー動画が大きな反響を呼び、現在はチャンネル登録者数25万人、総再生回数7400万回以上を突破している。また昨年7月にリリースした「ロスタイム」を皮切りに、先週10/31にリリースされた「明日」を含め全7作品をリリース。さらにこれまでリリースした全ての楽曲にドラマ・アニメのタイアップがつくなど業界内外でも実力が評価されているアーティストである。

たくさんの人を魅了する歌声は、混じり気がなくブライト。無意識に喉をギュッと締めたりパワーで押したりしがちな高い音やロングトーンであっても、解放感のある声色でスパンと当てていく。なおかつ楽曲を読み解く能力も高いため、カバーをする際には、自分の個性に落としこんで表現することができるのだ。最新曲「明日」では、ドラマ『わたしの宝物』と溶け合う彼女の世界観を感じてもらえるに違いない。

野田愛実 - 明日 (self cover)【フジテレビ系 10月期木曜劇場 『わたしの宝物』主題歌】
野田愛実 - 明日 (self cover)【フジテレビ系 10月期木曜劇場 『わたしの宝物』主題歌】

野田愛実 - ties (self cover)【FAIRY TAIL 100年クエストED】
野田愛実 - ties (self cover)【FAIRY TAIL 100年クエストED】

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ざらめ

ネガティブとポジティブの狭間の想いを歌い続ける21歳。小・中学生の頃は、周りと馴染めず不登校に。家庭環境も複雑だったことから、どこにも居場所がなく、歌を唯一の生きがいとしていた。歌手になる夢を諦められず、姉の反対を押し切って2022年に福島県から上京し、新宿を中心に路上ライブをスタート。TikTokと『Red Bull Jukebox 2023』の特別企画として2023年に行われたハッシュタグチャレンジ『#優里から翼をさずかるチャレンジ』で優勝者に選ばれ、特典として優里から楽曲提供を受けた。

“陰陽併せ持った歌声”を謳っている、ざらめ。力強く言葉を届けたり、透き通って響かせたり、歌声を柔軟に操るスキルもさることながら、特筆すべきは歌声にこめられる感情の重さだろう。気持ちを端的に吐き出すのではなく、その裏に秘められた希望や葛藤、困惑だって声に濃縮して放つ。ざらめが所属しているバンド、アオの楽曲でも違う角度から彼女の高い伝達力を感じてもらえるだろう。

ざらめ - 六等星 / THE FIRST TAKE
ざらめ - 六等星 / THE FIRST TAKE

ざらめ『オブラート』Official Music Video
ざらめ『オブラート』Official Music Video

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紫 今

作詞作曲のみならず、編曲や映像制作のプロデュースも手掛ける22歳。両親の影響で音楽が身近にある幼少期を過ごし、アフリカンミュージックやゴスペル、ソウルなどに慣れ親しむ。自分で音楽を掘るようになってからは、アニメやアニソン、ボーカロイド、K-POPなどにも触れ、音楽的な素養を拡げてきた。中学生になりギターを弾き始めると、YouTubeチャンネルを開設してカバー動画の投稿を開始。2023年には「ゴールデンタイム」がSNSで話題となり、配信リリースをスタートさせた。

聴く者を惹きつける歌声は、スキルフルかつ懐が深い。定められた通りに音を刻むボーカロイド的な無機質さと感情に全てを委ねる有機的なアプローチを両立させるだけでなく、ホイッスルボイスやハスキー、ウィスパーボイスなども使いこなし、さらには言葉の奥にある意味を声に乗せて表現する。幼い頃から彼女が吸収してきた全ての音楽が、紫今という媒体を通してオリジナルに昇華されているのだ。

紫 今 - ゴールデンタイム (Special Live Performance)
紫 今 - ゴールデンタイム (Special Live Performance)

紫 今 - 魔性の女A (MUSIC VIDEO)
紫 今 - 魔性の女A (MUSIC VIDEO)

紫今 INFORMAION
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浦小雪

長崎県出身の24歳。幼い頃から両親の影響でビートルズやカーペンターズなどに触れ、小学校中学年のときに出会ったアヴリル・ラヴィーンをきっかけに音楽へのめりこんでいった。中学3年生の頃には作詞作曲を開始し、高校生になると音楽投稿アプリへ楽曲投稿を開始。2020年には長崎大学でSundae My Clubを結成し、大学卒業をきっかけに2022年からはソロ活動を始めた。

真っすぐにスカッと抜けていく歌声は力強く、一直線にライブハウスの奥まで飛んでいく。晴れた日に外を歩いていると哀しみが太陽の光に溶けていく感覚があるが、浦小雪の歌声はそれと同じようなパワーを放っている。また、吉本ばななや西加奈子、綿矢りさといった作家の影響を受けた、柔らかな文体の歌詞も特徴的だ。日常で感情が動いた瞬間を真摯に受け止めつつも、表現に落としこむ際には丸く優しく世界を創っていく。「スウィートトゥース」には、そんな彼女のしなやかな言葉と心地よい歌声が溢れている。

浦小雪「スウィートトゥース」Music Video
浦小雪「スウィートトゥース」Music Video

浦小雪「Lovely Lovely」Music Video
浦小雪「Lovely Lovely」Music Video

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この記事の編集者
西田 健

1990年生まれ。熊本出身の九州男児。2019年までイベント業界で働きながら、福岡親不孝通りにてJ-POP、アニソンのDJ活動を行う。その後上京し、OTOTOY編集部にてアイドル、アニメ関連を中心に担当。映画、深夜ラジオが好き。

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【PIGGS、とらえる vol.8】大きなステージへ立ち向かう、PIGGSの成長の軌跡

バーチャル・アイドル、月ノ美兎はどんな夢をみるのか──最新アルバムの魅力にレヴューで迫る!

未来へ進みだした、真っ白なキャンバス──鈴木えまと麦田ひかる、再加入後初インタヴュー

【真っ白なキャンバス Road to Be the IDOL】小野寺梓の目に映る、これからの未来

【真っ白なキャンバス Road to Be the IDOL】三浦菜々子が語る、わたしのアイドル人生

【真っ白なキャンバス Road to Be the IDOL】ひとりのアイドルとして、橋本美桜が救いたいもの

【PIGGS、とらえる vol.7】「いまは多くの人が見に来てくれるのが嬉しい」──SHELLMEの変化と成長

【真っ白なキャンバス Road to Be the IDOL】西野千明が語った、ファンへの素直な気持ち

彼女たちはいかに大きな夢を描くのか──真っ白なキャンバス5週連続メンバー個別インタヴュー

【真っ白なキャンバス Road to Be the IDOL】浜辺ゆりなが抱く、アイドルとしての葛藤

新しいPIGGSは、個性が尖ったグループに──BAN-BANが語る、この1年で感じた成長

【行かなきゃ ASP Episode2】「宇宙ということで月とかどうですか?」──ナ前ナ以が単独インタヴューで語る、これまでの自分

【第三期BiS 連載vol.25】大切な人をより大切にしよう──ネオ・トゥリーズが繋ぐ、未来への気持ち

B.O.L.Tが届けるラヴ・アンド・ピースなセカンド・シングル『スマイルフラワー』

【行かなきゃ ASP Episode1】「ASPが宇宙一のアイドル・グループになるために」──ユメカ・ナウカナ?単独インタヴュー

PIGGSはこれからも立ち止まらずに生きる──彼女たちが今だからこそさらけ出した、率直な気持ち

【第三期BiS 連載vol.24】「第三期BiSとして」理想の姿を追い求めたい──イトー・ムセンシティ部の燃ゆる想い

神宿・塩見きらが語る、ポップ・カルチャーへの愛と理想のアイドル像

【第三期BiS 連載vol.23】チャントウンコー(チャントモンキー)が合宿を経て変わったこと

3つの視点のクロス・レヴューで迫る、BRADIOの魅力の正体

BRADIOがロング・インタヴューで語った『Joyful Style』に込めた想い

BRADIO、最新アルバム『Joyful Style』総力大特集! 彼らの魅力に3部構成で徹底的に迫る!!!

BRADIO年表──その歴史と軌跡をメンバーとともに振り返る

プー・ルイ&METTYが語る、PIGGSのデザインが産まれた理由

いかに神宿は変化していったのか──株式会社神宿・代表取締役 柳瀬流音が語る、アイドルの未来

étéが照らす閉鎖的な世間の行先──新作シングル「Gate」に込めたイマの社会への想い

【BiSH連載】Episode84 モモコグミカンパニー「できないって決めつけるのをやめようと思った」

【BiSH連載】Episode83 セントチヒロ・チッチ「伝えていきたいことを考え続けると決めた」

これは、J-POPシーンに混沌と混乱を巻き起こす怪作&快作──代代代史上最狂のニュー・アルバム、完成!

計算ではなく、良い音楽を作りたい──とけた電球がニューシングルに込めたバンドとしての美学

Helsinki Lambda Clubは、これからも少年と大人の間を行き来する──〈"MIND THE GAP!!"〉ファイナル公演 ライヴレポート

新たな「アイナ・ジ・エンド」のはじまり──ロング・インタヴューで語る『THE END』の秘密

アイナ・ジ・エンドの歴史を辿る──年表、そしてその発言

アイナ・ジ・エンドの「歌」はなぜ、人々の心を惹きつけるのか──3人の評者がそれぞれの視点で語るクロス・レヴュー

rira──札幌を拠点にパーティーをメイクするDJ・トラックメイカー

今回のテーマは「こんな子、学生時代にいたかも?」──井出ちよの、高校生活シリーズ完結編『みんなの高校生活』

徒歩ツアーを経て産まれたPIGGSとしての覚悟──最強の5曲が揃った最新EP『5 KILL STARS』

REVIEWS : 010 VTuber(2020年12月)──森山ド・ロ

【第三期BiS 連載vol.22】どんな困難が来てもぶっ壊す──ネオ・トゥリーズは高い壁を乗り越える

【第三期BiS 連載vol.21】がむしゃらに、全力で突っ走りたい──無敵のトギーは何度でも立ち上がる

【第三期BiS 連載vol.20】チャントモンキーの目に映るグループの未来

【BiSH連載】Episode82 ハシヤスメ・アツコ「2021年は止まっていた時間を取り戻したい」

心を照らす「あかり」のような存在へ──津田朱里が紡いだ『COLOR OF LIGHT』の物語

プー・ルイ&Ryan.Bが語るPIGGSサウンドの誕生秘話

後藤まりこが歌と真剣に向き合い、弾き語りで作り上げたアルバム『POP』

【BiSH連載】Episode81 アユニ・D「そこにいる全員が幸せな気持ちになれるライヴがしたい」

【第三期BiS 連載vol.19】イトー・ムセンシティ部は常に上を目指す

リアル脱出ゲームの音楽の秘密──【対談】作曲家・伊藤 忠之×声優・藤田 咲

つしまみれ、幸運を呼び寄せるミニ・アルバム『ラッキー』

【BiSH連載】Episode80 リンリン「次会えたらちゃんとハッピーになってほしい」

PEDRO、〈LIFE IS HARD TOUR〉最終公演 ライヴ・レポート

【BiSH連載】Episode79 セントチヒロ・チッチ「いまは伝えたいことをちゃんと言葉にしたい」

感情を解放したパフォーマンスでフロアに熱狂を巻き起こす──リリスリバース、初のメンバー全員インタヴュー

古川未鈴(でんぱ組.inc)×ASUKA(meme tokyo.)スペシャル対談──遺伝子を渡して、受け継いで

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.78 - 2020 GUEST SPECIAL : yuzen's CHOICE

井出ちよの(3776)、ソロ・アルバム『わたしの高校生活』

PEDRO、セカンド・フル・アルバム『浪漫』最速インタビュー

ラップの魅力を伝えたい! ──「京まちなか映画祭」で開催されるラップ教室とは?

大型新人アイドル・グループ、PIGGS爆誕!──ファースト・アルバム『HALLO PIGGS』

B.O.L.T、1日のはじまりから終わりまで一緒に過ごせるファースト・アルバム「POP」

【第三期BiS 連載vol.18】ネオ・トゥリーズの進化──終わってからもまたライヴがしたいと思えた

【第三期BiS 連載vol.17】BiSよ、かっこよくあれ──強気のトギーは不安を弾く

天晴れ!原宿、新たなアンセム「約束の続き」

【第三期BiS連載】Vol.16 どうせなら、くたばるくらいがいい──イトー・ムセンシティ部の渇望

【第三期BiS連載】Vol.15 研究員に全てを返す、燃ゆるチャントモンキー胸の内

3776、全てをさらけ出した即興ライヴ音源『即興曲集第二集』リリース

for the future―コロナ禍と向き合う京阪神のポップ・カルチャー 後編「映画関係者の思い」

for the future―コロナ禍と向き合う京阪神のポップカルチャー 中編「クラブ・イベンターたちの思い」

for the future―コロナ禍と向き合う京阪神カルチャー 前編「ラッパーたちの思い」

ラウドなロックでファンを沸かすアイドル、raymay──姉グループ、uijinから繋がれたバトン

3776が紡いだ神話の世界を追体験できる──〈閏日神舞〉〜富士山神話 LINK MIX〜遂に音源化!

天晴れ!原宿、新章へ──充電期間で手に入れた新たな武器

MOROHAの新たな挑戦──〈日程未定、開催確定 TOUR〉に込めた想い

uijin解散後初インタヴュー──raymayへつなぐバトン

先週のオトトイ(2020年3月9日)

少女たちはなぜダブルハピネスを選んだのか──新メンバー初インタヴュー

5年を経てたどり着いた自由──ONEPIXCEL、メジャー初AL『LIBRE』

【REVIEW】アイナ・ジ・エンド『死にたい夜にかぎって』

PEDRO、最新EP『衝動人間倶楽部』──アユニ・Dを突き動かす衝動の正体

ダブルハピネス、現体制ラストEP『創造姉妹』

次は中国!?──プー・ルイが創る新たなアイドルの形──

カイ&SAKA-SAMA──テクノ歌謡とローファイ・ドリームポップ

相思相愛には興味はない──DJ後藤まりこ、5年ぶりのソロ・フルアルバム

HAMIDASYSTEM、デヴュー半年でたどりついたダークな世界観

[コラム] MHRJ

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