パワハラ専門家です。日本ファクトチェックセンターと称する団体の「斎藤前兵庫県知事はパワハラしていない?」記事を読みましたが、パワハラの定義を曲解し、証拠物件を恣意的に解釈し、「パワハラがあったんだ!」と世論誘導したい意図がミエミエのクソ未満の内容にめまいがしております。
お前らもう今から「日本フェイクメイキングセンター」とかに改称しろよ。仕方ないので、私がこのフェイク記事をファクトチェックしますね。
(1)「斎藤元彦前知事がパワハラをしていなかったとの主張が拡散していますが、根拠不明です」
⇒フェイクです。現時点でパワハラの有無は確定していません。県議会調査特別委員会(百条委員会)や、弁護士でつくる第三者委員会による調査が継続中で、結果はまだ出ていない状況です。
なお、公益通報部署では、強い叱責があったことは確認されたものの、パワハラ認定には至っていません。
(2)「県職員アンケートで140人がパワハラを実際に目撃等と回答」
(3)「『実際に知っている人から聞いた』と『人づてに聞いた』はあわせて2711人で、直接の目撃(経験)と合わせると2851人、回答者の42%が知事のパワハラを知っていた」
⇒フェイクです。記事内ではこのように、アンケートの回答単位を「人」と表記し、あたかも多数の目撃者がいたような印象を与えますが、元データである兵庫県議会「文書問題調査特別委員会」の報告書では単位を「件」で表記しています。これは、当該アンケートが1人で複数回の回答ができる仕様であったことが理由と考えられます。
しかもご丁寧に、記事内のアンケート結果引用画像では、回答単位が「件」であることを説明した部分が切り取られています。これは読者に、パワハラ被害者が大勢いたかのように感じさせる、恣意的な印象操作ではないでしょうか。
(4)「本人も『厳しい叱責』『机を叩いた』ことなどを認めており、『必要な指導だと思っていた』と述べているが、パワハラの定義にあてはまる行動だ」
⇒フェイクです。「叱責を認めたこと」が「パワハラに当てはまる」などということはありません。私自身いくつかの組織で、ハラスメント委員会の外部委員としてパワハラ認定に関わることがありますが、一般に想像されるより、公的にパワハラと認定されるハードルは高いものです。
具体的には、単に相手が不快感を抱いたというだけではなく、客観的に見て不利益を受けたり、働く上で見過ごすことができない程度の支障が生じたりする必要があります。また被害発生時の背景事情や、被害の継続性や人格攻撃の有無なども考慮されるため、「1回厳しく叱責されたからパワハラ」「自分がパワハラと感じたからパワハラ」とはならないのです。
その点、この記事の記述は実に不正確で、正当な叱責までパワハラ扱いされかねない危険さえあります。害悪なので、勝手に「パワハラ認定機関」にならないで頂きたいですね。
曲りなりにもメディアっぽい見せ方をしている団体が、選挙直前というセンシティブな時期に、こんなデタラメだらけなうえに政治的公平性にも欠ける記事を堂々と出すなんて正気の沙汰じゃありません。
大げさではなく、我が国に禍害をもたらしかねない危険な存在なので、厚生労働省の雇用環境・均等部指導課にも情報共有し、然るべき対応を依頼しておきます。