ぐにゃりと曲がり、絆創膏のように皮膚に貼って使える――。印刷プロセスで作れるそんな“フレキシブル体温計”を、東京大学大学院 工学系研究科 特任助教の横田知之氏と同教授の染谷隆夫氏らのグループが開発した。薄くしなやかなプラスチック製の温度計を印刷プロセスで作製し、生体組織に貼り付けて表面の温度分布を測定することに成功。赤ちゃんの体温をモニタリングするといった、ヘルスケアや医療、福祉分野などへの応用を想定している。
開発したフレキシブル体温計は、フィルム基板上に印刷プロセスで作製したもの。厚さは約15μmと薄く、しなやかに曲がる。測定感度は0.02℃と高く、応答速度も100msと高速だ。2000回近く測定を繰り返しても再現性が失われないことも確認済み。
電源回路や読み出し回路は集積していないが、研究グループがこれまで培ってきた技術を使えば原理的に可能という。今後、厚さをさらに薄くしたり、繰り返し可能回数を高めたりし、3年以内をめどに実用化したい考え。