コアラ来日40年 人気者は絶滅危惧種
2024年11月16日 05時05分 (11月16日 05時05分更新)
名古屋市東山動植物園にコアラがやって来てから40年=写真(同園提供)。今なお園でトップクラスの人気者だが、故郷オーストラリアでは気候変動や山火事などで個体数が急減。同国版のレッドリストで「絶滅危惧種」に選定されている。その姿を観察しながら、「かわいい」の先にある地球環境の現実にも思いを致したい。
「日本初」の来日は、1984年10月。名古屋市と姉妹都市提携を協議していた豪州シドニー市の計らいで、同市のタロンガ動物園から2頭が贈られたが、東京の多摩、鹿児島の平川の両動物公園と「同着」だった。
東山の2頭はいずれも雄の「コロコロ」と「モクモク」。一般公開直後は連日1万人以上が殺到、「観覧は1人10分以内」の規制がいるほどの人気だった。
コアラは、豪州原産の常緑高木樹・ユーカリの葉しか食べない。また、水をほとんど飲まず、病気にかかりやすいなど飼育が非常に難しい。コアラ来園に尽力した元東山動物園長の鹿島英佑さん(故人)が著書で「(飼育の)精神的なストレスは計り知れない」と述べているほど。だが、飼育スタッフらは、それを乗り越えた。
東山で成長した個体は、園内での繁殖にタロンガからの追加贈呈を含め、40年で延べ70頭以上。今は雄5頭、雌6頭が暮らす。半夜行性で昼間の大半は睡眠か休息で動かないが、根強い人気を誇る。
原産地・豪州では受難が続いてきた。20世紀初頭には少なくとも数百万頭いたが、毛皮目的で乱獲されて減少。同世紀末には、干ばつでユーカリが枯死してさらに激減した。2019年には全土で、北海道の2倍の約17万平方キロメートルの森林が焼失する山火事により約6万頭が死んだ。世界自然保護基金(WWF)によると、現在の推定個体数は30万頭前後という。
東山では、愛知県内外に4カ所のユーカリの圃場(ほじょう)を確保し、えさ枯渇のリスクに備えている。動物園長補佐の獣医師永田祐二さんが言うように、「東山を象徴する動物」として、環境弱者のコアラを大切に育てていってほしい。来園者も「種の保存」や「自然環境保護」の重要性を考えつつ見守りたい。
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