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【ブルアカ】白洲アズサと彼女の積極的ニヒリズムについて

本記事には『ブルーアーカイブ』メインストーリーvol.3「エデン条約編」の一部ネタバレが含まれていますのでご注意ください。

こんにちは。鯖主です。
ブルアカミリしらの方でも読める記事になっていると思うので、良かったら読んでいってください。

まずはタイトルにもある「白洲アズサ」というキャラクターについて今一度。

ゲーム『ブルーアーカイブ』のキャラクター。

メインストーリーVol.3「エデン条約編」から登場した生徒。トリニティ総合学園 *1の謎の転校生であり、補習授業部 *2の一員。

トリニティに慣れていない事と以前在籍していた学校の影響があるのか、行動が少々変わっており、モモトーク *3や絆ストーリー *4等では駄目なミリオタじみた愉快な言動をすることも。誰が呼んだか美少女相良宗介 *5。
(中略)
根は優しく、諦めない強さを秘める。いじめられっ子に対して「いじめていた連中が目障りだったから」と言いながらも、「抵抗することをあきらめてはいけない」と伝えている。

ピクシブ百科事典「白洲アズサ」より

*1 『ブルーアーカイブ』作中に登場する学園のひとつ。学園都市が舞台の作品なので所属コミュニティを在籍している学園で紹介されがちです。
*2 トリニティ総合学園のコミュニティのひとつ。名前の通り補習生の集まりであり、従ってアズサも勉強が遅れていたりします。
*3 *4 キャラクターごとの個別シナリオという解釈で大丈夫だと思います。
*5 『フルメタル・パニック!』のキャラクター。知らない人は読み飛ばしてください……。

かわいい。

引用元にも書かれている通りアズサは転校生です。そして、彼女が転校前に在籍していた「アリウス分校」という学園、もとい元学園は白洲アズサというキャラクターを語る上で外せないものとなっています。
察しの良い方は気が付いたかもしれませんが「アリウス分校」は、その昔キリスト教において異端とされた「アリウス派」を元ネタにしていると考えられており、名前だけでなくその歴史もアリウス派になぞらえています。

アリウス分校は元々はトリニティの前身となったエリアを拠点とする学園の一つであったが、統合化に反対したためトリニティから迫害を受ける。
所属者達も領外追放されたことにより、表舞台から姿を消した。

アニヲタwiki(仮)「アリウススクワッド(ブルーアーカイブ)」より

このような立場に置かれているコミュニティであるため「分校」とは言っても既に学園としては機能は失われており、アリウスはスラム街と化しています。下記ツイートの画像はその状況をよく表している一枚ではないでしょか。

そして、このアリウスに蔓延る思想として「 vanitas vanitatum. et omnia vanitas. 」というものがあります。元ネタは旧約聖書のラテン語表記であり、作中では「全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ。」と訳されています。うーむ、なんだかニヒリズム。

元アリウス生徒であるアズサも例に漏れずこの思想を抱えています。抱えているのですが、その捉え方が他のアリウスの生徒と大きく異なっており、このアズサなりの「 vanitas vanitatum. et omnia vanitas. 」こそが彼女の芯となる思想であると考えています。

まずは例を挙げましょう。
『ブルーアーカイブ』作中にこの思想がよく表れている場面があるので引用させていただきます。「補習授業部でプール掃除をしよう!」という場面です。

画像
右から順にハナコ、コハル、ヒフミ、アズサ(エデン条約編1章11話より)

コハル「試験に関係無いなら、別にこのままでも良いじゃん。掃除する必要ある?」
ハナコ「いえいえ、よく考えてみてください、コハルちゃん。」
ハナコ「キラキラと輝く水で満たされたプール、楽しい合宿、はしゃぎ回る生徒達……」
ハナコ「……楽しくなってきませんか?」
コハル「……!?え、何!?分かんない、何か私に分からない高度な話してる!?」
ヒフミ「ですが確かに、こうして放置されてしまったプールを見ていると……何だか寂しい気持ちになりますね。」
アズサ「このサイズだったし、昔はきっと使われていた時期もあったんだろう。元々は、にぎやかな声が響き渡っていた場所なのかもしれない。」
アズサ「それでも、こんな風に変わってしまう。「vanitas vanitatum」……それが、この世界の真実。」
ヒフミ「えっと……?」
ハナコ「古代の言葉ですね、「全ては虚しいものであるvanitasvanitatum」……確かに、そうなのかもしれません。」
ハナコ「……。」
ハナコ「……アズサちゃん、ヒフミちゃん、コハルちゃん!」
ハナコ「今から遊びましょう!」
ヒフミ「え、えぇっ!?」
ハナコ「今から掃除して、プールに水を入れて、みんなで飛び込んだりしましょう!」
ハナコ「明日からは頑張ってお勉強をし続けないといけませんし、となると今日が最後のチャンスかもしれないじゃないですか。」
ハナコ「今のうちにここで楽しく遊んでおかないと!途中からはまた別のことで疲れてしまうかもしれませんし......!」
ハナコ「さあさあ、早く濡れても良い格好に着替えてきてください!プール掃除を始めましょう!」
アズサ「……うん。たとえ全てが虚しいことだとしても、それは今日最善を尽くさない理由にはならない。」
アズサ「問題ない。ちゃんと水着も持ってきてる。待ってて。」

『ブルーアーカイブ』エデン条約編1章11話より

アズサは寂れてしまったプールに対して「vanitas vanitatum」という言葉を使っています。
このように彼女は「どんなものでもいつかは等しく無くなってしまう」というようなことに対して「vanitas vanitatum」という言葉を使うことが多く、従ってアズサは「非永遠性」のようなものに対して虚しさを感じていると考えます。

肝心なのがここから。
「『vanitas vanitatum』……それが、この世界の真実。」と言っていることからも、確かに「全ては虚しい」ということを認め、受け入れているのでしょう。しかし、その後「たとえ全てが虚しいことだとしても、それは今日最善を尽くさない理由にはならない。」と言うのです。
これは、いわゆる「積極的ニヒリズム」とか「強さのニヒリズム」と言われる思想であるように感じます。辞書的な意味と比較してしまうと厳密には違うような気がするので、アズサのニヒリズムについて指す場合は〈積極的ニヒリズム〉としておきましょう。

私が驚いたのはアズサがニヒリズム的な思想が蔓延るスラム街のような環境で育ったにも関わらず消極的ニヒリズムではなく〈積極的ニヒリズム〉へと至ったという点です。
消極的ニヒリズムと言うと「虚しいことをただ嘆く」みたいな思想であり、上述したような希望とか幸せとかが遠そうな環境で「全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ。」といった意味を持つ言葉を受け取ってしまえば、大半の子供は消極的ニヒリズムに陥ってしまうように思えます。いや、むしろこういった環境だからこそ希望とか幸せとかを求めて〈積極的ニヒリズム〉に至ったのかもしれませんね。どこまでいっても妄想の域は出ませんが考察とはそういうものでしょう。
アズサが〈積極的ニヒリズム〉に至るまでの過程はそのうち『ブルーアーカイブ』作中で描かれて欲しいと思ってしまいますね。それまでは妄想を膨らませ続けることにします……。


私は『ブルーアーカイブ』という作品を「明日のため、未来のための物語」であるという捉え方をしています。
そのため、アズサの「(どんなものでもいつかは等しく無くなってしまう≒)全てが虚しいことだとしても、それは今日最善を尽くさない理由にはならない」という思想はとても『ブルーアーカイブ』らしいものであると感じます。
「今日、最善を尽くす」という行動は明日があるからこそ出来ることなのですから。

ということで白洲アズサの話でした。

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