国会質問で診療報酬増額を求めた自民党参院議員は、年2億円超もの政治献金で日本医師会側から支えられていた

2023年12月12日 06時00分 有料会員限定記事
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<連載 医療の値段~第2部 診療報酬を巡る攻防>⑤

日本医師連盟と国民医療を考える会の所在地となっているマンションの一室

 東京・本駒込の日本医師会館を出て東へ徒歩5分のところに築50年の賃貸マンションがある。最上階の一室に入るのが日本医師会(日医)の政治団体・日本医師連盟(日医連)だ。
 日医会館の外にあるのは、公益事業を担う日医と一線を画すためだが、日医連は日医と表裏一体で、トップの委員長は日医会長が兼任する。日医の内情に詳しい医療関係者がいう。
 「日医連の事務局は会館の3階にある。だれにいくら献金するかは最終的に委員長(日医会長)が決める。影響力や日医への貢献度、医師かどうかや将来性などを総合的に判断する」

◆自民党派閥のパーティー券を大量購入する日医連

 11月に総務省が公開した日医連の2022年分の政治資金収支報告書を見ると、収入は都道府県の医師連盟からの寄付で9億5110万円。原資は医師が納める会費で各地の医師連盟により額が異なるが、東京の各支部は一般的に年3万6000円となっている。

自見英子・地方創生担当相=2023年10月

 献金は自民党の政治資金団体「国民政治協会」に計2億円、ほぼ自民党の国会議員や候補者らの側に計2億6340万円。パーティー会費は計約4800万円で、安倍派や麻生派など5派閥のパーティー券も計300万円分購入していた。参院選の陣中見舞い計830万円もあり、総額は5億2000万円に上る。提供資金は1人数百万円から数十万円と細かく分かれる。
 「医師会の強力な政治力の源はカネだ。数百万円は議員にとっては大きい」と元自民党議員秘書。広範にカネをばらまくのは「数は力」の永田町で、日医に賛同する議員を増やす目的とみられる。その中で最も資金提供を受けていたのが、日医連の組織内参院議員で小児科医の地方創生担当相・自見英子(じみはなこ)の側だ。

◆献金を受けた自見氏が診療報酬増を訴え、潤った医師が献金原資を出すサイクル

 自見が代表の政党支部と資金管理団体に、日医連はパーティー会費を含め計9250万円を献金。日医会長の松本吉郎が会長を務める「自見英子後援会」にも5000万円を献金している。
 さらに、日医の関連政治団体「国民医療を考える会」が4000万円、地方の各医師連盟も5150万円を献金。総額は実に2億3400万円と突出している。21年も同様に2億円を超す金が提供されており、医療費が多額の献金に形を変えて毎年流れる構図だ。
 自見は全国の医師会を精力的に回る一方、国会では医療政策や個々の診療報酬の引き上げに関し、よく質問していた。21年9月はこんな具合だ。
 「要望でございますけれども、未就学児の診療報酬の100点(1点10円)、それから初再診の5点の部分は、10月以降...

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