楽譜模倣で著作権侵害の判決!著作物の範囲が広がる
皆さま、こんにちは。
弁護士をしております、中野秀俊と申します。今日のテーマですけれども、「楽譜模倣で著作権侵害の判決!著作物の範囲が広がる」というお話をしたいと思います。
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楽譜制作会社が著作権違反で訴えた
報道にもありましたが、今回の原告は楽譜の制作会社です。楽譜の制作会社とは、バンド音楽を聞き取り、楽譜を模倣して制作する会社です。バンド音楽には譜面化されていないものも多いため、聞き取って楽譜を制作している会社があるそうです。
今回はその制作会社が販売している楽譜を無断でウェブサイトに公開し、広告収入を得ていた会社が楽譜制作会社から著作権侵害で訴えられたというものです。
結論としては、裁判所は損害賠償を認めました。これは第二審、高等裁判所の判決ですが、実は第一審では模倣自体を否定しました。つまり、類似性がないということで原告の請求は棄却されています。
楽譜は著作物なのか?
しかし、第二審では類似性はあるとされたうえで、そもそも楽譜は著作物なのかが争点となりました。楽譜の制作は音源を聞き、それを忠実に再現するものであり、そこにオリジナリティはなく、著作権の保護対象ではないというのが被告側の言い分です。
著作権の保護対象は著作物です。著作物には何らかの創作性、オリジナリティが必要なので、楽譜を著作物とするかどうかが問題となったわけです。
これに対して東京高裁は、楽譜の制作には高度で特殊な技能の習得が必要とし、模倣行為を「ただ乗りだ」として不法行為と結論付け、楽譜制作会社の逸失利益など約1億7000万円の賠償をサイト運営会社に命じました。
ここで重要なのが、「楽譜の制作は高度な技術なのでオリジナリティがある」とした点です。これはかなり画期的だと思います。本来であれば、オリジナリティの有無とそれに高度な技術が必要かどうかは必ずしもリンクしないものです。
正確な模写をすることは高度な技術ですが、そこにオリジナリティがあるかどうかはまた別の話です。しかし、「高度で特殊な技術の習得が必要だから著作物なのだ」とした今回の判決は著作物の範囲を若干広げたという意味で画期的な判決だったのではないかと思います。
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