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中国人富裕層流入のシンガポール、外国人の住宅購入に課す税率2倍に

  • ABSD税率、外国人の場合は30%から60%に引き上げ
  • マンションから高級車、ゴルフ会員権に至るあらゆる価格が高騰

シンガポールが外国人の不動産購入に課す税率を倍に引き上げる。中国人富裕層の流入急増に対し政策当局がより強い認識を抱いていることが示唆されるが、こうした課税強化が住宅相場を抑制することはないとみられる。

   27日に発表された新たな措置によれば、住宅購入の加算印紙税(ABSD)税率が外国人の場合、30%から60%に引き上げられる。課税逃れを防ぐため、法人や信託を利用する場合の税率も65%に引き上げられた。

  永住権保持者や国民が2軒目の居住用不動産を購入する場合の課税も強化される。

スーパーリッチ中国人、シンガポールで高級品は買っても投資はせず

Tax the Foreigner

Singapore tops peers in taxing non-resident homebuyers

Source: Savills

  シンガポールではここ数年、中国から移り住む超富裕層が増加。中国政府は昨年まで、新型コロナウイルスを徹底的に抑え込むとして、ロックダウン(都市封鎖)などを通じた「ゼロコロナ」政策を実施。こうしたことが影響しているとみられる。

  超富裕層の資産を管理・運用するファミリーオフィスがシンガポールの銀行に預ける資産は増加傾向にあり、同国ではマンションから高級車、ゴルフ会員権に至るあらゆる価格が高騰。貧富の格差が拡大するとの懸念も浮上している。

  2025年までに総選挙を行うシンガポールで住宅問題への関心が高まる中で、政府は新年度予算を通じ高額物件の購入者に対する課税を強化。3月には国民の雇用と利益に配慮し、グローバル投資家に関する永住権付与の基準を強化した。

外国人会員権8400万円、シンガポール名門ゴルフ場が今年人気の投資先

 旧ABSD新ABSD
外国人30%(全ての居住用不動産)60%
永住権保有者25%(2軒目の居住用不動産)30%
シンガポール国民17%(2軒目の居住用不動産)20%

  住宅市場は香港からロンドンに至る各地で冷え込んでいるが、シンガポールの住宅価格はこうした世界的な流れに逆行している。

  ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によれば、家賃上昇と好ましい需給ダイナミクスを背景に、シンガポールの住宅価格は1-3月(第1四半期)に3.2%上昇した後、年内に最大5%値上がりする可能性がある。

シンガポールの住宅販売、3月は半年ぶり高水準-旺盛な需要続く

  プロップネックス・リアルティーと公式統計によると、昨年時点でシンガポールの個人住宅販売に占める外国人の割合は4.4%に過ぎず、ABSD税率引き上げは一般市場にほとんど影響しない見込み。政府は今回の政策変更ついて、居住用不動産取引の約10%に影響するとの見通しを声明で明らかにした。

  不動産会社ハットンズ・グループの調査によれば、外国人購入者は永住権や市民権を取得するまでの間、賃貸を選択するため、賃貸市場の需要が高まる可能性がある。

  シンガポール紙ストレーツ・タイムズは27日、リー国家開発相が今回の課税強化について、投資需要を抑制するための初期的な措置だと説明したと報じた。

Singapore Home Price Growth Accelerated Last Quarter | Prices have increased for 12 straight quarters
 
 

 

原題:Singapore’s 60% Property Tax Aims at Rich Chinese Buyers (1) (抜粋)

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