二桁の数×二桁の数の掛け算は、頭の中で答えを出すのはなかなか難しいものです。
電卓がなければ筆算で計算をする、という人が多いでしょうか。
しかし、ある計算方法を使えば二桁の数×二桁の数の掛け算も暗算できます。
今回の問題に挑戦して、どんな計算方法を使えばよいのかを見てみましょう。
問題
次の計算を暗算でしてください。
52×53
解答
正解は、「2756」です。
どうすれば暗算できるのか、気になる人は次の「ポイント」に進んでください。
計算方法を丁寧に解説していますよ。
ポイント
この問題のポイントは、「掛け算の数の一の位を0にして計算すること」です。
二桁の掛け算でも片方の数の一の位が0であれば、実質、二桁×一桁の計算と計算量は変わらなくなります。
よって、式を変形し、一の位が0になるようにします。
今回の問題では、次のように式を変形します。
52×53
=(52−2)×(53+2)+2×3
まず52から2を引き、50を作ります。
次に、その引いた分の2を53に足します。最後に、52と53の一の位2と3を掛けて足します。
すると、式は次のように計算できます。
50×55+6
=2756
比較的、簡単に答えを出せましたね。
計算手順をまとめると、次のようになります。
(1) 掛け算の一方の数から、一の位の数を引く
(2) (1)で引いた数をもう一方の数に足す
(3) (1)と(2)の答えを掛ける
(4) 掛け算する二つ数の一の位どうしを掛け、その答えを(3)の答えに足す
「十の位が同じ二桁どうしの掛け算」なら、この計算方法で答えを出せます。
しかし、どうしてこのような計算方法が可能なのでしょうか。
掛けられる数を「10a+b」、掛ける数を「10a+c」とおいて考えてみましょう。aは十の位、bとcは一の位に該当します。この二桁の数の掛け算は、次のようになります。
(10a+b)(10a+c)
ここで、以下の分配法則を思い出してください。
<分配法則>
○×(▲+■)=○×▲+○×■
(○+▲)×■=○×■+▲×■
※( )の中が引き算でも成り立ちます。
分配法則に従い、(10a+b)(10a+c)の( )内をバラバラに掛けていきます。
(10a+b)(10a+c) ←10a+bを上の分配法則の○とみなす
=10a(10a+c)+b(10a+c)
=10a(10a+c)+10ab+bc
=10a(10a+c+b)+bc
10aが手順(1)の「一の位を引いた数」、「10a+c+b」が手順(2)の「引いた分を足された数」、bcは手順(4)の「一の位どうしの掛け算」に該当します。
今回の問題では、次のような変形をしていたことになりますね。
(50+2)×(50+3)
=50×(50+3)+2×(50+3)
=50×(50+3+2)+2×3
まとめ
今回の問題では、二桁の数×二桁の数の暗算に挑戦しました。
十の位が同じ二桁の掛け算であれば、今回紹介した計算方法が使えます。すばやく答えを出したいときに、ぜひ使ってみてください。
他にも難しそうな式を暗算する問題を紹介していますので、挑戦してみてくださいね。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
類似問題に挑戦!