あまり難しく考えるなよ。
北国在住の女性K様から「急なのですが、本日午後、東京で一緒にコーヒーを飲みませんか?ご都合はいかがでしょうか?私が熱海に行くことも可能です。ご検討いただけるとありがたいです。今自分が見えなくなってしまい、鏡になって欲しいです」とご連絡をいただいた。私の正しい使い方である。体調不良で絶賛ぶっ倒れていたので、熱海の家に来てもらった。K様は言った。窓から風景を見て、お茶を飲んでいたら、ここに来るまではあれを話そうこれを話そうと思っていたのに、なんだか、全部がどうでもよくなってしまった。
K様は「この家は凄いですね」と言った。そう。この家は凄いのである。これまで数々の男女を泣かせた家だ。禅寺よろしく、無駄がないシンプルな家。窓からの風景に泣き、鳥の囀りに泣き、俺のギターの音色に泣き、アルコールランプの灯火に泣き、生きているということの根源に触れて泣く。考える回路が停止して、感じる回路がV字回復をする。泣きながら笑い、笑いながら泣き、しっちゃかめっちゃかになりながら、不思議と帰る頃にはスッキリしている。淀んだ時代をかき混ぜる俺と、淀んだ時代をかき混ぜる家。ブラボー。
私は、多分、聞き手としては劣っているのだと思う。聞いているようで、聞いていない。言葉を、言葉としてではなく、音楽として聞いている。固いなと思ったら、柔らかくする方向に仕向ける。停滞感や閉塞感は、こじあけることだけが解決策ではないのだと思う。音や、空気や、温度が、固くなったなにかを溶かして、勝手に開く。勝手に流れ出す。K様は言った。お付き合いのある男性から、あなたは受け取るのが下手だと言われた。女性性は「受け取る性」だと言われるが、受け取るということがどういうことなのかわからない。これまで自分は、本当の意味で心を開いて誰かと付き合ったことがあっただろうかとさえ、思う。
しばらくの沈黙の後、K様は言った。私は、頑張っていたんだな。相手に見合う自分にならなきゃと、背負わなくていい期待を背負って、勝手に押し潰されていた。いろいろしてもらえることは嬉しいことなはずなのに、今、なにもない場所を求めて熱海に来た。スイートルームに泊まったり、高価な料理を食べたり、たくさんの刺激をもらってきたのに、刺激のない場所に行きたくなる。人間って、わがままですね。こうあるべきって期待がないのは、いいなあ。この家は、凄いですね。私は、何も言わなかった。すべて、K様が、自分の中から湧き上がる気持ちに与えた言葉だった。
別れ際、K様に「その人を好きなのですか?」と聞いた。K様は「尊敬しているけど、好きかどうかはわからない。尊敬イコール好きだと思っていた」と言った。私は、私の好きな人たちのことを思い浮かべた。私は、私の好きな人のことを、あまり尊敬していない。尊敬よりも、好きが勝つ。やっている人を見て「やってるな」と思い、やってるなと思うことで、元気になる。元気を貰う。これを読んでいるみんな、元気ですか。俺は元気だ。体調不良でぶっ倒れているけど、俺は今日もラーメンを食いに行くぜ。寝てなくちゃいけないのに、好きな歌を歌うぜ。一日も休むことなく、毎日を燃やしているぜ。どうだ。尊敬できないだろう。尊敬できないけれど、愛くるしいだろう。生きる意味とか、孤独とか、受け取るとか、愛とか、あまり難しく考えるなよ。考えるよりも、感じることの方が、何億倍も大事なことなんだよ。
坂爪さん、今日はありがとうございました!
ずっと行ってみたかった熱海の家は生命力に満ち溢れた場所でした。
そして、窓から見える山や干し柿、鳥の声が着いた途端に頭の中のごちゃごちゃをクリアにしてくれました。
さらに坂爪さんのギターが美しく心地よくて、ゆりかごに揺られているような感覚でそのまま寝てしまいました笑
頭の声に支配され、彼と同じようにならなきゃいけないとプレッシャーになり、彼が与えてくれるものを受け止めきれなくなっていたことに気づきました。
そして感じたことのない孤独感があることで、
人がいる尊さが蘇りました。
胸につかえていた重いものが帰りには綺麗に無くなっていました。
好きと尊敬の違いをもう一度自分に問うてみようと思います。
貴重な時間をご一緒できて、嬉しかったです。本当にありがとうございました‼️
おおまかな予定
11月14日(木)静岡県熱海市界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)
連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com
SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z
バッチ来い人類!うおおおおお〜!



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