敦賀原発2号機 再稼働の前提の審査で不合格 規制委発足以降初

福井県にある日本原子力発電の敦賀原子力発電所2号機について、原子力規制委員会は13日、再稼働の前提となる審査で不合格とすることを正式に決定しました。原発の再稼働を認めない判断は2012年に規制委員会が発足して以降、初めてです。

敦賀原発2号機は、事業者の日本原電が再稼働を目指して原子力規制委員会に審査を申請し、9年前から審査が行われていましたが、規制委員会はことし8月、原子炉建屋の真下にある断層が将来動く可能性が否定できないとして、審査に不合格としたことを示す審査書の案を取りまとめました。

13日の会合では、審査書の案に対して一般から寄せられた意見について審議されました。

意見は282件寄せられ、この中には「可能性が否定できないだけで、不合格とすべきではない」といった内容のものが複数あったということです。

これについて委員からは「断層が動く可能性がないという事業者の主張は十分な根拠を持って受け入れることができなかった」などとして、判断に変わりはないとする考えが示されました。

そして、審査書を全会一致で取りまとめ、敦賀原発2号機について正式に審査に不合格とすることを決定しました。

再稼働を認めない判断は、2012年に規制委員会が発足して以降、初めてです。

日本原電は改めて審査を申請する意向ですが、規制委員会は、断層の活動性だけでなく基準のすべてを満たす申請書が出されることが必要だとしています。

日本原電 社長・副社長が役員報酬を自主返上

日本原電は「大変残念であります。当社としましては、再申請、稼働に向けて取り組んでまいります。申請に必要な追加調査の内容について、社外の専門家の意見も踏まえながら具体化してまいります」とするコメントを発表しました。

また、「地域の皆様、関係者の方々にご心配をおかけしていることを重く受け止めている」として、村松衛社長と剱田裕史副社長が役員報酬の50%を2か月間自主返上することを発表しました。

原子力規制委 山中伸介委員長「厳正に審査し判断した」

原子力規制委員会の山中伸介委員長は、福井県にある敦賀原発2号機について、審査の結果、不合格とする決定をしたことについて、「規制委員会が発足して初めての処分で大きな判断だったが、科学的、技術的な観点から厳正に審査をして判断したという点で、これまでの判断と変わらず、技術的に何らの疑問もない」と述べました。

そして、審査を振り返って、「申請書に多くの間違いがあったりデータの書き換えがあったりするなど、非常に異常な状態だった。この点は日本原電に大いに反省していただきたい」と述べました。

また、日本原電が改めて審査を申請する意向であることについては、再申請にあたっては、敷地内にある多くの断層の評価だけでなく、施設や設備の安全性が基準に適合していることを改めて示す必要があるという認識を示しました。

福井県 杉本知事「事業者は地元に丁寧に説明を」

敦賀原子力発電所2号機について原子力規制委員会が再稼働の前提となる審査で不合格とすることを正式に決定したことを受けて、福井県の杉本知事は、「安全規制に一義的な責任を有する原子力規制委員会が、科学的・技術的観点から慎重に審査を行い、判断したものと受け止める。事業者においては、安全を最優先に、今後の対応を十分検討し、地元に丁寧に説明していく必要がある」とするコメントを発表しました。

林官房長官「原子力規制委の判断は尊重すべき」

林官房長官は臨時閣議のあとの記者会見で「原子力発電所の運転は安全性の確保が大前提で、独立性の高い原子力規制委員会による科学的で専門的な判断は結果のいかんによらず尊重すべきだ」と述べました。

その上で「安全性の確保を大前提に原子力の活用を進め、規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、地元の理解を得ながら再稼働を進めるという方針に変わりはない。日本原電にはこれまでの規制委員会の指摘を踏まえ、適切に対応してもらいたい」と述べました。

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