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“モノを運ぶ” を極め、事業を支える

 

物流支えるプロの誇りを大切に 専門性を生かし更なる価値を発揮へ

牧口 直樹

Naoki MAKIGUCHI

ロジスティクス戦略部企画業務室 2017年入社、CE(Corporate Excellence)の業務を経験後、現在は管理職を務める。コアスキルは物流分野での幅広いスキルセットとグローバル業務経験など。
農場から、世界の物流現場へ――。大学院でイネの研究に取り組みながらも、グローバルな領域で仕事をしたいとの思いから三井物産に入社した牧口直樹さん。三井物産がかかわる物流全般を支えるプロフェッショナルとして働く牧口さんに、これまでのキャリアや三井物産で働く魅力などについて語ってもらいました。

研究職か商社か、選択の背景となった思い

私は食料問題への関心から、大学院まで水不足の地域でもイネを安定的に栽培するための手法について研究していました。修了後も食に関する研究を続けられる仕事に魅力を感じる一方で、分野ではなく人を軸に仕事をしてみたいという気持ちも強く、どちらを選ぶべきかで葛藤しました。 というのも、幼少期に父の海外赴任に帯同した経験を通じて、多様な価値観を持つ人と働くことへの憧れを持ち、さらに大学院の共同研究先であるフィリピンとケニアに滞在した際に世界中の学生や研究者、現地の方々と交流し、その思いは一層強くなりました。 また、アルティメットというスポーツのサークル活動で、個性豊かなメンバーとともにお互いの特性を活かして全国優勝を達成した経験も強く印象に残っていたため、悩んだ末に、人とのつながりを活かしてビジネスを作る総合商社を目指そうと決めました。 就職活動の際は他社も含めてたくさんの社員を訪ねて話を聞き、最も社員のバラエティーが富んでいると感じ、またそれを会社の強みとして尊重しているとも感じた三井物産への就職を決めました。 最初に配属されたのは、コーポレート物流部バルク用船室です。消費者が手に取る最終製品の貿易取引においてはコンテナで輸送されることが多いのですが、こちらの部署では鉄鉱石・石炭・穀物のような、主に原料として一度に何千何万トン単位で輸送される貨物を取り扱っており、そのような貨物を輸送するための輸送企画・手配、契約交渉、輸送管理などを担っています。 物流には興味がありましたが、入社前は『総合商社の花形』という漠然としたイメージだけで事業本部を志望していました。実際に配属されたのはコーポレート部門で、最初こそ戸惑いましたが、コーポレート部門は高い専門性をもとに事業本部とともに、時には事業本部を牽引しながらビジネスを作っていることや、全社を俯瞰した業務を行う面白さに気付いてからは、このフィールドで貢献したいと思うようになりました。

フェアな交渉で
サステナブルな取引を続けたい

当時は複数の事業本部を担当し、より良い条件で円滑に貨物を輸送することがミッションでした。貨物や利用する港などによって条件が変わるため、1件1件オーダーメイドで輸送を企画しなければなりません。各種条件を正確に把握した上で交渉し、確実に輸送を実現させるのは、なかなかハードな仕事でした。 また、貨物を輸送する時には、買い先、売り先、船会社以外にもたくさんの会社・人が関わります。それぞれの役割はもちろん、どのような状況にあるかも理解したり想像したりしながら対応する必要があります。そのためには、自分の対面である事業本部や船会社の担当者との日常的なコミュニケーションが不可欠です。 ただ、入念に準備したとしても、国境を越えてモノを動かそうとすると、予期せぬ事態やトラブルが起こることは少なくありません。こうした事態への対応は難しくもありますが、この仕事の面白さでもあります。物流の原理原則や契約、その時々の状況を適切に把握して、フェアな交渉をすることを大切にしてきました。その積み重ねで信頼が生まれ、より本質的な話ができるようになり、次のビジネスにつながっていくと実感しました。 その後、専門性を高めるために若手社員を海外に派遣する海外研修員に選抜され、4年目となる2020年7月からニューヨークに派遣されることが決まりました。ですが、内示を受けたのが新型コロナウイルスの感染拡大が始まった時期で、嫌な予感はしましたが、案の定派遣は延期となりました。当時は仕方がないと頭では理解していたものの、やはり残念でした。そんな矢先に任じられたのが、金属資源本部石炭部石油コークス室との兼務でした。 元々担当していた部署とはいえ、思いがけず事業本部で勤務することになり、これはニューヨークに行くよりも大変なのではないか、と緊張しました。 新しい職場である石油コークス室では、海外の製油所から石油コークスという主に燃料用途に使われる石油精製時の副産物を仕入れて国内や海外の顧客に販売するトレーディングビジネスを担当しました。バルク用船室で同部署を担当していた時は、営業担当と密にコミュニケーションを取っていたつもりでしたが、売り上げ目標への責任を負いながら直接顧客と交渉を重ねる経験を通して、事業本部の担当者やその先にいる顧客が何を求めているかを理解することの重要性を改めて認識できました。 私たちは物流のプロフェッショナルとして、事業本部の要望を実現するだけでなく、専門性を生かした提案もしていくべき立場にあります。事業本部の人たちが日々負っている責任を体感できたことは、今後につながる貴重な経験になりました。

ニューヨークで学んだコミュニケーションの重要性

半年の事業本部での勤務を経て、延期となっていたニューヨーク派遣がようやく実現しました。しかし当時はコロナ禍が終わったわけではなく、世界のサプライチェーンはまだ混乱の真っただ中にありました。 ニューヨークの拠点は米国三井物産の本店として北米と中南米をカバーしており、コロナ禍によって事業環境が大きく変化している中で、新規案件の輸送スキーム構築、在庫や受発注の適正化のためのデータ分析に取り組んだほか、物流関連の出資先企業の成長戦略を事業本部とともに練っていくという経験もしました。 文化やバックグラウンドが異なる現地スタッフとのコミュニケーションにおいても、多くの学びがありました。日本では業務のコンテクストが共有されているために共通認識が醸成されていることが多いのですが、異なる価値観を持つ環境では、特に「Why」に立ち戻ることが重要であると感じました。 また、東京の本店に比べるとニューヨークの拠点は規模が小さいので、経営陣が時勢を読んで先手を打っていく様子や、出資先に出向して奮闘している先輩の姿を間近に見ることができ、大きな刺激を受けました。
ニューヨークでの研修員時代に上司・先輩とともに(2021年撮影) 

バルク船からコンテナ輸送へ、学びの必要性を痛感

1年半の研修員生活を終えて帰国した2023年に、ロジスティクス戦略部輸出企画室に配属されました。ここでは食料本部の輸出・三国間取引におけるコンテナ輸送企画を担当し、コーヒー、紅茶、果汁などを取り扱いました。コンテナ輸送は、以前経験したドライバルクとは仕組みや慣習が異なる点も多く、当初は戸惑うばかりでした。 バルク用船室での担当業務は港から港までの輸送が中心でしたが、コンテナでは内陸輸送をカバーするほか、多種多様な商材を輸送するため、梱包や輸送形態、各種規制も考慮しなければなりません。まだまだ学ぶことがたくさんあることを痛感させられました。 そして同年12月には企画業務室に異動しました。現在はロジスティクス戦略部の更なる機能発揮に向けて、部の事業計画策定や、より働きやすい環境を作るための各種施策の企画・実行、DXを通じた業務効率化施策の検討・実行など、幅広く担当しています。

キャリア

2017年 4月 大学院修了、三井物産入社。コーポレート物流部バルク用船室配属。 社内のドライバルク貨物の輸送手配や契約交渉、輸送管理に従事。
2020年 新型コロナ禍で予定していた海外研修員派遣が延期に。 金属資源本部石炭部石油コークス室を兼務し、トレーディングビジネスに従事。
2021年 10月 改めて海外研修員派遣でニューヨークに赴任。 新規案件の輸送スキーム構築支援、在庫や受発注の適正化に向けたデータ分析などを経験。
2023年 3月 ロジスティクス戦略部輸出企画室に帰任。 食料本部の輸出・三国間案件のコンテナ輸送企画を担当。
2023年 12月 部内の改組に伴い同部企画業務室に異動。 部の戦略企画担当として、更なる機能発揮に向けて奮闘中。

「ボトムアップの会社」だからこその
働く魅力

物流は最近でこそ「物流2024年問題」でスポットライトが当たっていますが、うまく回っているのが当たり前とみなされがちで、それ自体を評価される機会は少ないかもしれません。それでも、企業活動や人々の暮らしを支えるモノの流れはたくさんの人や組織の力が合わさって実現しており、私自身がその一端を担えていることをとても誇らしく思っています。私以外のメンバーにも、ロジスティクス戦略部の一員であることを誇りに感じてもらい、最大限の価値を発揮できるようサポートしたいという思いで取り組んでいます。 入社したばかりのころ、周囲の先輩たちが「うちはボトムアップの会社だ」と言うのを聞いて、最初はどういうことなのか意味がよくわかりませんでした。 それでも、新入社員のころから「どう思う?」と意見を聞かれる機会がとにかく多く、必死に答えているうちにその意味がわかってきました。三井物産は年次に関わらずアイデアや提案が求められ、それを受け止めてもらえる組織です。 しかも、幅広い業界に関わっているので領域にとらわれず発想を広げられます。望めばあらゆる領域でチャンスをつかむことができる会社なのです。 2024年からは、管理職を務めることになりました。それぞれのメンバーが多様なアイデアを持ち、それを臆せず発信してくれることに頼もしさを感じます。こうしたボトムアップが根付いているのが三井物産の魅力の一つであり、今後も自分自身の思いだけでなく部下たちの思いもしっかりと受け止めて、発信を続けたいと思っています。

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