衆院憲法審査会が13日開かれ、新会長に立憲民主党の枝野幸男元代表を互選した。先の衆院選で改憲勢力が発議に必要な3分の2(310議席)を下回ったことを受け、早期の憲法改正を諦めた自民党が立民に会長ポストを譲り渡した。立民は憲法改正に消極的なだけに議論停滞を懸念する声は根強い。一方、「自民が弱っているときのほうが議論は進む」(自民重鎮)という淡い期待もあり、新会長の対応が焦点になる。
枝野氏は憲法審で、「公平かつ円満な審査会運営に努め、幅広い合意形成を視野に入れて、一致点を見いだすための努力を重ねる決意だ」と抱負を語った。
また、憲法審の前身、憲法調査会の初代会長を務めた自民の中山太郎氏(故人)が築いた「中山方式」という与野党協調の慣例に立ち返るべきだと訴えた。
かつて枝野氏と国民投票法成立に尽力した与党筆頭幹事の船田元氏(自民)は産経新聞の取材に対し、「各党が平等に意見を述べ合う『中山方式』を再び採用することで議論を前に進めることは不可能ではない」と期待感を示した。
とはいえ、自民や日本維新の会、国民民主党などが憲法改正で足並みをそろえる中、立民は党内や支持層に護憲派を抱えている。来年の参院選などを念頭に改憲へとかじを切る可能性は低いとの見方が大勢だ。枝野氏は周囲に「憲法審は活発になるが、(改憲勢力が重視する)9条改正と緊急事態条項新設の議論はストップさせる」と語る。
中山氏と親交のあった維新幹部は、「各党の憲法観が完全に一致することはない。『中山方式』を審議を止める理由に悪用してはならない」と枝野氏を牽制。その上で「憲法改正を『党是』に掲げる自民が会長ポストを譲ったことは理解に苦しむ。『自民党が自民党ではなくなった日』だ」と与党にも矛先を向けた。(内藤慎二)