出雲にはツングース系の人々が多かったのか
出雲にはツングース系の人々が多かったのか(西日本の古代)
前回、出雲国の特徴は、朝鮮半島由来のツングース系の影響が大きかったところにあると指摘しました。
関連し、今回は、現在の出雲の人達にも、その影響があるのか検討します。
まず、DNAですが、「DNA鑑定・因幡の弥生人」 によれば、2世紀の弥生時代末期の青谷上寺地遺跡(因幡)から出土した人骨でY染色体ハプロタイプ分類可能な4人について調べたところ、3人はアイヌ系、1人は渡来系(おそらくツングース系)とあります。
また、「関東在住の出雲出身者のDNA分析」によれば、データは示されていませんが、「その結果は、予想とは大きく異なり、関東ヤマト人よりも縄文人に遺伝的に少し近く、東北の人たちの位置と似てるということがわかりました。」とあります。
データが示されていないので明確でありませんが、現在の島根県人はY染色体ハプロタイプはD型(アイヌ系)が多いということと思われます。
次に、出雲と近い地域にY染色体ハプロ分類例がないか探しますと、金沢市と福岡市があります。拙ブログで以前に紹介した「福岡と金沢2地点の解析事例」ですが、再度紹介しますと下表のとおりです。
金沢は越国とも呼ばれ、四隅型突起古墳も多くあり、古代は出雲に近い状況にあったと推察されます。一方、福岡は、拙ブログで稲作民族マレー系の多い地域と観ている地域です。
ツングースはモンゴル系と中国系の混合混血民族ですので、そのツングース系の割合は「モンゴル系+中国系」になります。すなわち、ツングース系の割合は、金沢で32.2%、福岡で24.6%、日本人全体(平均)で28.6%ですので、金沢は福岡よりツングース系が多いと判断されます。また日本人平均よりもやや多い傾向があります。
以上のDNA情報から、島根と金沢市を古代遺跡から同じグループと見ますと、島根は金沢市と同じくツングース系が比較的多い地域だったと推察されます。なお、拙ブログでは、日本海側はツングース系民族の多かった地域と観ています。詳しくは「色白高身長、秋田美人のルーツ愚考」を参照願います。
一方、ツングース系の特徴として高身長性が知られておりますが、出雲地域も高身長か検討しますと次のとおりです。
鳥取、島根、福岡の17歳男子身長ですが、下表とおりです。データは「都道府県別!日本人の全国平均身長一覧」から得ました。
また、平均身長を棒グラフにしますと、上トップ図のとおりです。
鳥取と島根は、福岡と比較し、高身長の傾向があり、高身長ツングース系のDNAが残っている可能性があります。逆に、マレー系は低身長の傾向がありますが、福岡はマレー系の影響の多い地域とも推察されます。
まとめますと、出雲人は、福岡人と比べると、ツングース系のDNAが現在でも多い傾向にあります。すなわち、古代の出雲国は、ツングース系民族割合が相対的に大きく、朝鮮半島東側(後の新羅)のツングース系の影響が強かった地域と思われます。
なお、ツングース系民族に興味のある方は、拙ブログ左側にあります検索欄に「ツングース」と入れクリックしますと、今までのツングース関連の記事を見ることができます。
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