『静かな少女の秘密』
1992年、イギリス、ハートフォードシャー州で暮らすカースティー・ヘイズルウッド(4歳)は長い間、誰にも気づいてもらえない病気と闘っていた…カースティーはわがまま1つ言わない、聞き分けの良い子だが、人見知りが激しかった…幼稚園に入園するもカースティーは嫌がる事もなく通い、自宅では幼稚園での出来事を楽しそうに話す。しかし入園から数か月、母親は先生から衝撃的な事実を知らされる。まだカースティーが園内で一言も声を発していないと言うのだ。
その後、カースティーは小学校に入学。母親は小学生になればきっと話せるようになると思いたかったが、小学校でも先生から「声を出していない」と言われる。
そこで、母親は積極的に学校の行事に参加してわざとみんなの前で話しかけてみるが、カースティーは声を出さない…家でなら話すことができるかと思い、カースティーのクラスメイトを呼んでみたが、相変わらず口を開かなかった…しかしクラスメイトが帰ると「楽しかったね!」と母親に話し出した。カースティーは昔から頻繁に遊びにくる祖父母とは普通に話せるが、自宅でも家族以外の人がいると話す事ができなかった。
実はカースティーは『場面緘黙(ばめんかんもく)』という症状を抱えていた。それは言葉を話せるのにも関わらず、特定の場所や人の前では話す事ができない状態。ただの「人見知り」と誤解され易いが、その違いは症状が強く長期に渡って続くこと。
カースティーは「なぜ自分が友達と話せないのか…」自分自身でもうまく説明できず苦しむ日々・・・
そんなある日、カースティーの父は祖父母に見せるため、カースティーをホームビデオで撮影。それを見た母はカースティーが話せることを証明するため、そのビデオを担任の教師に見せた。教師は初めて見るカースティーの姿に驚き、このホームビデオをクラスの生徒たちに見せることを提案。母親は、「ビデオを見せることがカースティーにとって良い事になるのか…」と戸惑ったが、教師の提案に賭けてみることにした。そして教師はクラスの生徒たちに見せるためビデオを再生した。画面に映ったカースティーが話をしている姿に驚く生徒たち。皆に話している姿を見られてカースティーは得体の知れない恐怖を感じていた。カースティーに向けられるクラス中の視線。しかし、声を出すカースティーを笑うものは1人もいなかった。
その日以来、クラスメイトは積極的にカースティーに話しかけるようになり、カースティーの緊張も徐々にほぐれ、学校でも声を出せるようになっていった。
あれから17年…カースティーは24歳になり、家以外でもしっかり話せるようになったどころか、仕事をしながらモデルとしても活躍していた。2012年、彼女は州のビューティーコンテストでグランプリを受賞。現在はミス・ロンドンの大会に向けてトレーニングをしている。