SCP-1727-JP

登録日:2020/07/16 Thu 22:12:28
更新日:2024/09/08 Sun 02:27:36
所要時間:約 7 分で読めます










SCP-1727-JP「宅配されるものは」とは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つで、JPのコードが示す通り日本支部の管轄にある。

オブジェクトクラスは収容困難・または収容不可能を示す「Keter」。

ぶっちゃけこのオブジェクト本体の異常性はほとんど皆無と言っていい。言っていいのだが……

概要


SCP-1727-JPは、ある日突然見知らぬ送り主から宅配便で届けられる銃器、及び銃弾のセットである。


以上



……いや、本当に「正体不明の存在が銃を贈ってくる」だけなのである。

財団はこれらの銃器を箱や届け先状も含めて厳重に検査したが、「送り主の不透明性」以外の一切の異常性は確認できなかった。


贈られるブツは現在の所、拳銃、自動小銃、サブマシンガン、散弾銃、[編集済]などが確認されている。おい最後。
それらの種類にはいくつかパターンがあるが、特に法則性は発見されていない。
とはいえ、過去や未来に存在する相手を狙撃することはできないし未来から過去に向けて放つことで異常存在を一撃必殺できるわけでもないし撃った人が弾として飛び出すことはないし自分を撃ったら勤め先が皆殺しになることもないし一番近くにいる海賊を問答無用で殺すわけでもないし平行世界にいる自分を全員殺したりはしないし人に向けて撃ったら必ずジャムるわけでもないし撃たれた対象の愛する存在を身代わりにしない。ついでに撃ったらお昼ご飯が飛び出すこともないごくごく普通に買える銃器。
財団世界に異常な銃器が多すぎる
ただ、製造番号は刻印されておらず、どこの工場で作られたものなのかはわかっていない。


さらにメッセージのようなものも一切添付されていないので、「送り先も、その目的も完全に不明であること」も異常と言えば異常ではある。
送り主の基本的には某大手通販サイトを騙っているが、個人や中小企業の場合も多く、完全にパターン化はされていない。
財団は「送り先はランダムでは?」と推測している。が、調べたところ、「どうも集積所に突如として出現するらしい」とまではわかったが、結局出現に法則性などは見いだせず、集積所の段階で発見できた部分については回収しているが、実際に届けられてしまった分についてはカバーストーリーを展開して対処する、という後手後手の対応に留まっている。

超法規的組織な財団が手を尽くしても送り主を特定できないのはそれだけで十分異常な事態であるし、現象を阻止できず、当然収容もできないならKeterは至極当然であろう。


が、逆に言えばそれだけである。
「何を目的としているのかわからない」「どういった法則性で送り先を決めているのかわからない」というのは別段際立った異常性とは言えないだろう。

インシデント

本オブジェクトは、「まったく心当たりが無いが本物の拳銃らしきものが知らない会社から送りつけられてきた」という警察への通報がきっかけで発覚した。

当初は「銃器密売」と考えたが、送り先に一切後ろ暗いところがなく、送り主も不明、同様の異常事件が相次いだことから財団に認知された。

まぁ、「収容不可能」とはいえ、所詮は単なる銃器。

日ごろから世界を滅ぼしたり滅ぼさなかったり、精神汚染してきたりしてこなかったり、それこそ死にたくても死ねなかったりするような、常識はずれのバケモノに接している財団にすれば……


発生日時および場所: 20██/██/██ 茨城県███市の海岸

武器: 自動小銃(AK-47

概要: 茨城県███市の海岸沿いの水中で自動小銃が遺棄されているのが発見される。その後の捜査の結果、群馬県██市在住の男性が3日前に送付されてきたSCP-1727-JPを遺棄したものと判明。警察の取り調べに対し男性は「自分は元左翼活動家であるため、『委託テロ』で銃が送りつけられてきたと説明しても警察が信じてくれないと思い込み、怖くなって海に捨てた」と供述している。

大した危険性は……

発生日時および場所: 20██/██/██ 高知県██郡██町 コンビニエンスストア「██████」█████店

武器: 短機関銃(MP5)

概要: 午前2時頃、短機関銃で武装した男がコンビニエンスストアに押し入り、店員を銃で脅しレジの中の金銭を奪い逃走。その後の捜査により鳥取県██市在住の男が浮上、逮捕される。男の自宅からは犯行に使われた短機関銃が発見された。供述によると事件6日前に知らない住所から送付されてきたとのことであり、当該短機関銃はSCP-1727-JPであると判断された。

収容できないだけで……

発生日時および場所: 20██/██/██ 青森県██市 個人宅

武器: 拳銃(マカロフPM)

概要: 犯人である夫は不倫をしていた事により妻(当時別居中)と離婚調停中だったが、離婚の協議のため弁護士と共に犯人宅を訪れていた妻を射殺。弁護士も撃たれ重傷を追う。犯人は直後拳銃を使い自殺。当初は暴力団の関与が疑われたが、その後の捜査により使用された拳銃は事件2日前に送付されてきたSCP-1727-JPと判明した。

異常性のない銃器が……

発生日時および場所: 20██/██/██ 東京都██区の路上

武器: 拳銃(ワルサーP38およびグロック18)

概要: ██区を本拠地とする不良グループにより、対立していた別の不良グループメンバー2名が射殺された他、居合わせたホームレスに流れ弾が命中し死亡した。その後警察が駆けつけたところ犯人グループは逃走を図り、警官隊へ発砲、銃撃戦に発展した。結果犯人グループは5名中銃を所持していた2名が死亡。警察側も1名が重傷を負った。その後の捜査により、使用された銃は死亡したメンバー宅に事件4日前に送付されてきたSCP-1727-JPと判明した。

一般人に送り届けられるだけの……

発生日時および場所: 20██/██/██ 栃木県██市 有限会社[編集済]本社屋

武器: 自動小銃(M16)

概要: 待遇に不満を感じていた従業員が自動小銃を本社内で乱射。これにより同社代表取締役社長および人事部長、人事課社員3名、犯人の上司だった営業課長が殺害される。犯人は警察到着後も社屋内部に人質を取って立てこもり、警察に向けて発砲を繰り返した。警察側に死傷者は出なかったものの、この攻撃によりパトカー1台が破損。最終的に犯人は警官隊により射殺された。その後の捜査により、使用された自動小銃は事件の4日前に犯人に送付されていたSCP-1727-JPと判明した。

本当にそれだけの……

20██/██/█、アメリカ合衆国████████州█████において無職の男がショッピングモールでサブマシンガンを乱射する事件が発生、██名が死亡、██名が負傷しました。
犯人は警官隊に射殺されました。その後の犯人の家宅捜索および用いられたサブマシンガンの調査の結果、SCP-1727-JPである可能性が非常に高いと判断されました。このためSCP-1727-JPの捜査・確認範囲の拡大が決定されました。


……………




なお、元記事において、アメリカの銃乱射事件以外はSCP-1727-JP関連事件例(20██年██月分)から引用したもの。
つまり、ここまで5件全部ひっくるめてたった1ヶ月間の出来事ということになる。

また、ある年にはSCP-1727-JPによる殺人・殺人未遂事件はいずれも2桁、自殺(未遂含む)は3桁発生しており、しかも年々その数は増えていることが調査で明らかになっている。



SCP-1727-JPは「一般人に銃器がプレゼントされる」だけの、本当に大したことのないオブジェクトである。
だがあなたは、その銃器が持つ危険性を軽視してはいないだろうか。

単に人を殺すだけなら、首をへし折ってくる彫像も人類を憎む不死身の爬虫類も認識を破壊して死に至らしめる鳥も必要ない。
そんな特級の危険物に慣れ親しんでいると忘れがちだが、人間は銃で撃たれると死ぬのである。

そして、例え不可思議な力など宿っていなかったとしても、銃器は「引き金を引くだけで人を殺せる」という、シンプルだがこの上ない危険性を抱えているのだ。

銃を握った者に殺意を起こす異常性?
必要ない。

殺人を起こしそうな人物に狙って送り届けられる異常性?
必要ない。

自殺を誘発させる異常性?
必要ない。

ただひたすら送り続ければ、いつかどこかで殺意ある誰かの手に渡り、引き金を引いてしまうのだ。
それは冷酷な確率論で説明できる単なる現実であり、ファンタジーの介入する余地はない。


人を殺める勇気がない?
まともな人間なら撃つはずがない?
そりゃあそうだろう。だが……。

もしもあなたの手元に「引き金を引くだけで"済む"」道具があったら……
あなたはそれを、人に…気に食わないアイツや頭痛の種のアイツ、いつもうるさいアイツに向けずにいられるだろうか?

職場や学校で大失敗した時、
投資やギャンブルでスッカラカンになった時、
公私ともに追い詰められた時……
首吊りロープやナイフ、睡眠薬よりもお手軽かつ一瞬で"済む"シロモノが手元にあったら…
口に突っ込んで引き金を引くだけで「もう何も考えなくてよくなる」その道具を、あなたは、手に取らずにいられるだろうか?

そうした一線を越えるか越えないかの分岐に立たされたとき。
そこで持ち主に「殺す」という解決策を与えてしまうところに、銃器……ひいては、このオブジェクトの怖さがある。


以前読んだある小説の、世界は火薬と火のような危険が内在していて、ただ運良くそれらが出会ってないだけではないか、という文章を思い出す。さしずめこいつはその火薬に銃…すなわち火器を、fireするものを放り込もうとしているのだろうな 。
──小松博士

これは、「形のない殺意」にきっかけを与えるオブジェクト。

だが、その火種はいともたやすく燃え上がる。

世界中に火薬はいくらでも貯まっているのだから




追記と修正、それから銃の配達をお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-1727-JP - 宅配されるものは
by sugoitakaiBILL
http://scp-jp.wikidot.com/scp-1727-jp

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最終更新:2024年09月08日 02:27