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「分かった。ここまで色々と教えてくれてありがとう」


 俺がそういうと、ゲーリングは嬉しそうに微笑んだ。


「いえ、それが私の仕事ですから……」

「それでもだ。色々と教えてくれてありがとう」

「……いえ」


 そこで言葉を区切ったゲーリングは、それから少し決心した様子でこちらを見てきた。


「一つだけ、無礼を承知で聞いてもよろしいでしょうか?」


 緊張した様子で、彼が問いかけてきた。


「ん? なんだ?」

「……レイス様は最近変わられましたね。もちろん、いい意味でですよ」

「……そうだな」


 それでも、無礼を承知なのは元のレイスくんの性格を知っているからだろう。

 今のセリフは以前のレイスくんを否定するものなのだから、この問いを投げるのもかなりの勇気がいることだろう。

 でもまあ、その問いかけをしてもらえる程度には変わったんだろうな。


 俺としては、隠し事をされるよりも話してもらったほうが助かるからな。

 ゲーリングは少し息を吐いてから、空を見上げるようにして語り出す。


「私の家は、代々ヴァリドー家に仕えてきました」

「そうなのか?」


 ゲームでそのようなキャラクターはいただろうか?

 ……あー、でもモブからそんな会話が聞けたかもしれない。


「はい。いつも、父からは言われていました。……かつてのヴァリドー家は、武の家として有名でした。国内でも屈指の実力をもち、この国を悪逆の森の侵略から防いできた、と。私たちは、そんな将来国を守るための子を育てる光栄な仕事をしている、と」


 ……かつての、ね。

 ヴァリドー家は確かに優秀な一族だったらしい。

 だが、今の俺の両親の代から一気に廃れ、そしてその腐敗っぷりは受け継がれようとしている。


 まだ長男のライフに継がれてはいないが、引き継がれたあとで栄光のヴァリドー家に戻ることは期待できないだろう。

 ていうか、原作的にみて絶対無理。

 一代でここまでダメになったのは、ある意味才能に溢れているよな。


「ですが……その。……だから……あなたがもしも家を継いでくれれば、どれほど良かった……かと」


 ゲーリングのすがるような表情に、俺は苦笑するしかない。

 俺が家を継ぐ、というのは家族の誰にも利点がないのだからまずありえない話だ。

 あの家族が、俺に継がせるわけなんてないだろう。


「今の言葉は、聞かなかったことにしておこう」

「……そうですね……申し訳ございません」

「ああ、そうだな」


 ゲーリングが申し訳なさそうに頭を下げる。

 俺も頷き、それ以上の話はせずに屋敷へ向かう。

 ……ほんと、うちの家族たちは嫌われ者だな。

 ちょっとでもまともに行動している俺がすぐに期待されてしまうとは思ってもいなかった。


 ……ただ、少し思うことはある。

 家庭教師や兵士長、使用人や街の人たち。

 ヴァリドー家がここを去ることになったとしても、多くの人たちがこの街には残ることになる。


 ……その時のことを考えて、少し戦力を補強しておいてあげるというのもありかもしれない。

 ゲームでは、さまざまなキャラクターたちを自由にスカウトして、自分のお気に入りのパーティーを作ることができた。

 

 その中から、今すぐに仲間にできる人たちを調べて、集めていけば……恐らく、この街で暮らす人たちは安全に暮らせるだろう。


 とりあえず、色々と調べつつ、ここからは俺の強化含め、本格的にゲーム知識を活用していくとしようか。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

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