トランプ氏は12日に声明を出し、政府の支出を見直し、削減を検討するための政府の組織のトップに、実業家のイーロン・マスク氏と、起業家のビベック・ラマスワミ氏の2人を起用すると発表しました。
このうち、マスク氏は、EV=電気自動車や宇宙ロケット、それに旧ツイッターのXなど、さまざまな事業を手がける実業家で、大統領選挙ではトランプ氏を支持し活動を支援してきました。
また、ラマスワミ氏は、バイオテクノロジー企業を設立するなどして富を築き、共和党から大統領選挙への挑戦を表明し、撤退表明後はトランプ氏を支持してきました。
トランプ氏は声明で「2人が連邦政府の官僚機構を変革し、すべてのアメリカ人の生活をよりよいものにすることを期待している。重要なのは、政府の支出の膨大なむだと不正を排除することだ」と述べました。
また、マスク氏は声明で「システム全体や政府のむだづかいに関与している多くの人たちに衝撃を与えるだろう」としています。
今回の2人の起用の背景には、民間の視点から行政のむだを大幅に削減することを通じて、財政の健全化を目指す姿勢を示すねらいもあるものとみられます。
イーロン・マスク氏ら 米政府の支出削減検討組織トップに
アメリカ大統領選挙で勝利したトランプ氏は、実業家のイーロン・マスク氏ら2人を、政府の支出を見直し、削減を検討するための、政府の組織のトップに起用すると発表しました。
イーロン・マスク氏とは
イーロン・マスク氏はEVや宇宙ロケット、Xなど、さまざまな事業を手がける実業家です。
マスク氏は当時経営していたインターネット企業を売却した資金で、EVメーカーのテスラを立ち上げて、世界トップのメーカーに成長させ、自動車業界のEVシフトを先導しました。
さらに宇宙ロケット事業では、何度も打ち上げ失敗を経験しながらも、民間企業が独自開発したロケットを初めて地球の周回軌道に到達させる偉業を達成しました。
また、おととし10月にはアメリカのソーシャルメディア大手、ツイッターを440億ドルで買収し、その後、ブランド名を「X」に変更しました。
ことし7月以降、マスク氏はSNSでトランプ氏を支持する投稿を繰り返していて、ことし9月にはトランプ氏が「連邦政府の財務や業務監査を行い、抜本的な改革を提言することを任務とする『政府効率化委員会』を創設する」と述べ、そのトップにマスク氏を起用する考えを示していました。
マスク氏は、トランプ氏が東部ペンシルベニア州で開いた集会でも応援演説を行ったほか、みずからが行う署名に応じた有権者を対象に、投票日まで毎日1人ずつ抽選で100万ドル、日本円にしておよそ1億5000万円を配り、物議を醸しました。
ビベック・ラマスワミ氏とは
ビベック・ラマスワミ氏は中西部オハイオ州出身で、両親がインドからの移民のインド系アメリカ人です。
薬品の開発に携わるバイオテクノロジー企業などを設立して、起業家として成功し、富を築きました。
今回の大統領選挙では共和党から立候補を表明し、政治経験はないものの、党内の支持率で一時3番手に浮上するなど注目されました。
ラマスワミ氏は、いまのアメリカの官僚制度は国民に奉仕するという本来の目的を失ったと指摘し、連邦政府職員の75%を解雇することやFBI=連邦捜査局や教育省の廃止を訴えていました。
また、トランプ氏が掲げる「アメリカ第一主義」を支持し、選挙戦からの撤退後はトランプ氏の選挙活動に加わり、集会で支持を呼びかけてきました。
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