内田真礼×内田雄馬「タイプは全然違うけれど、根っこにあるものは似ている」初コラボ楽曲で気づいた、姉弟間の“違い”

内田真礼×内田雄馬「タイプは全然違うけれど、根っこにあるものは似ている」初コラボ楽曲で気づいた、姉弟間の“違い”

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INTERVIEW
2024.11.12

声優として数多くの話題作に出演する、内田真礼と内田雄馬。ともにアーティストとしての一面も持ち、音楽シーンでも活躍し続けている。そんな実の姉弟である2人の、コラボ楽曲『Carnival / BIG LOVE』がリリース。一緒に楽曲を制作するのは今回が初。制作を進める中で見えた、姉弟間の“違い”とは――。

初コラボ楽曲で気づいた、お互いの違い

――お2人で楽曲を発表するのは、今回が初めてなんですね。

内田真礼さん(以下、真礼) 2024年は私がアーティストデビュー10周年で、雄馬としては対バン企画がスタートするタイミングで。2人で何かやりたいねと前々から話していたわけではないのですが、本当に偶然というか、奇跡的なタイミングで実現できたんです。

内田雄馬さん(以下、雄馬) 正直、驚きましたね。アーティストとして一緒に制作するなんて、本当に想像もしていなかったことだったので。ただ、僕ら2人ともポジティブなエネルギーを持っているタイプなので、そんな2人でコラボしたら面白いことができるんじゃないかと、お互いのプロデューサーをはじめ、制作チームが思ってくれたのは嬉しかったですね。姉さんは姉さんなりにチームと一緒に頑張ってきているんだな、という信頼感も感じていたし、いいコラボになるんじゃないかとワクワクしたのを覚えています。

―― 一緒に制作をしたことで、仕事の進め方の違いなど、お互いに気づいた点はありますか?

雄馬 感じることは似ていると思うけれど、そのあたりのスタンスは結構違うのかな。

真礼 たしかにそうだね。まず、打ち合わせを何度かする中で、お互いのチームの“個性”を私は感じたかな。それぞれの良さがまったく違うわけではないし、いい空気感があるのは一緒だけれど、雄馬を中心とした“色”があるなって。雄馬のライブを見ていてもいつも思うんですが、雄馬のチームには陽気さ、仲間感を強く感じるんです。みんなとの距離感が友達のようで、そこは雄馬の良さだと思います。

雄馬 ありがとう(笑)。僕と姉さんって、もともと持っているものは遠くないかもしれないけれど、考え方ややり方はかなり違くて。同じ家で育ってきてもそうやって違ってくるのは、やっぱり僕が“弟”だからなのかなって。どちらかといえば自分が自分がというより、姉さんのやりたいことについていったりとか、姉さんから教えてもらうことのほうがが多かったんです。子どもの頃とか特にそうで、「映画観に行くよ!」って姉さんに言われたら、ついて行くみたいな。

真礼 主導権は私にあるんだよね(笑)。

雄馬 そうそう、行こうって言われたら行くしかない(笑)。僕はどちらかと言うと、「これをやりたい!」と言って周りを引っ張るよりは、「みんなは何が好きなの? 何がしたい?」って投げかけるタイプ。一方で姉さんは、自分のいいと思ったものとか、これだ!と思ったものをちゃんと信じて、人に勧めるタイプ。そんな風に一点突破するような心の持ち方は、僕にはできないエネルギーの発信の仕方であり、ずっと憧れているところです。

真礼 私は逆に、そこに良さも悪さも感じていて。「落ち着け、自分」って思うところや、「もっと周りを信頼しなさい」と自分に問いかけるときも多々あります。でも、そんなふうにタイプは違うけれど、2人のアーティスト活動において、根っこにあるテーマは近いと思っていて。「私・僕ってどんなイメージだと思う?」ってなったら、2人とも“太陽のような”とか、温かいポジティブな印象なんですよね。

子どもの頃は私が引っ張ってきた関係だったとしても、今はこうやって自立した1人の大人として、並んでいるわけですから。このコラボのおかげで、それぞれがまた一歩成長できる、いいきっかけになったのかなって思います。

お互いの個性がぶつかるよりも、混ざる形に

――レコーディングのときに印象に残っていることはありますか?

真礼 一緒に収録することはなかったんですが、先に雄馬が録音したのを聞いて、自分がレコーディングするときとは違うところを意識しているな、って。例えば、ライブを意識して息継ぎのタイミングを考えて、ステージで歌いやすいようにレコーディングしていたり。私はレコーディングのときは“作品を作る”ということに全振りしているので、ライブでは違うものになることが多々あって。完璧主義なところもあるので、「この作品はこれが正解だ!」みたいな強い思いがあると、そのイメージから離れられないんですよね。ライブとの差をどう埋めるのがいいか、何年も悩んでいるところではあるんですが、雄馬のレコーディングした音源を聞いて、このぐらい崩したり、こんなふうに歌ってもいいんだと、かなり影響を受けました。

雄馬 僕は2曲とも先に収録する側だったので、「多分、姉さんはこういうアプローチしてくるだろうな」と想像して、じゃあ土台となるようにちょっと広めに歌おうかなど、姉さんが入った後のことを意識しながらレコーディングしていました。お互いの個性がぶつかり合うというよりかは、混ざるような形にできたらいいな、って。

真礼 なんか、プールと飛び込み選手みたいじゃない? 雄馬が大きいプールで「姉さん大丈夫だよー」と待ち構えていてくれて、姉さんが「よし、行くよー!」って飛び込む感じ(笑)。

雄馬 いや、本当にそうなんだよね! それだったら、狭いプールよりも余裕のある大きなサイズを用意してあげたほうが、思いっきり飛び込んでこられる。姉さんはできる人だから、狭いプールでもきれいに飛び込んでこられるだろうけど、でもやっぱりプールは広い方が「あっちの方がよさそうだな」とか、もっと選択肢が生まれるのかなって思う。

真礼 いいバランスだよね。

声優とアーティスト。二足のわらじだからこそ

――お2人は声優をされながら音楽活動も行なっていますが、アーティストならではの楽しさはどんなところですか?

真礼 やっぱり普段だったら見られない景色を見ることができるのは、アーティスト活動の醍醐味です。普段仕事をしていても、ステージで浴びるほどの熱を感じたり、お客さんと一体化することはないですから。ただ、慣れるまでは大変でしたね。本当の自分とステージの自分が乖離して、ライブ後の2~3日は余韻が残ったままで、仕事もままならない、みたいな。でも今となっては、アーティスト活動があるからこそ、自分を確立できたし、自信をつけさせてくれたことの1つ。音楽にして発信することは自分にとってすごく向いていたし、天職だったな、と。10年も続けることができて、本当にありがたい限りです。

雄馬 僕らは声優なので、普段は役を演じる仕事。あくまで役を表現する一部分であって、自分自身とは違います。でも、アーティスト活動では自分の名前で活動している分、やっぱり本人の中から生まれてくる何かが、大事になってくるなという感覚はあって。アーティストデビューするまでは、自分の思いを言語化するのがあまり得意ではなくて、感覚的な部分に頼っていたんです。でも、アーティスト活動を続けていく中で、“自分の言葉”の必要性を改めて感じて。そうやってアーティスト活動によって広がった視点は、声優活動にも活かされていて、役と向き合うときにも、台本に書かれている言葉の中身を自分でより解釈できるようになりました。

声優とアーティストという二足のわらじで、大変なときもありますが、だからこそ遠慮せずチャレンジしていきたいです。姉さんも言っていたように、声優をしながらアーティストもできるというのは、本当にありがたいこと。どうせやるんだったらチャレンジし続けたいし、そんな自分の姿が、誰かがチャレンジするきっかけやパワーになれたらいいなと思っています。

内田真礼

うちだまあや 2009年OVA『ぼく、オタリーマン』で声優デビュー。主な代表作に『中二病でも恋がしたい!』『恋は双子で割り切れない』『約束のネバーランド』『うる星やつら』などがある。2014年4月にはテレビアニメ『悪魔のリドル』のオープニングテーマ『創傷イノセンス』をリリースし、個人名義でのアーティスト活動を開始。2024年、アーティストデビュー10周年を迎え、5月に4thアルバム『TOKYO-BYAKUYA』を発売した。

内田雄馬

うちだゆうま 2013年に声優デビュー。『呪術廻戦』『WIND BREAKER』『シャングリラ・フロンティア』『MFゴースト』など数々の人気作に出演。2018年5月に1stシングル『NEW WORLD』でアーティストデビュー。2022年11月には東京・日本武道館で2DAYSライブを行い、2日間で約1万6000人を動員した。さらに2024年4月に2度目の日本武道館公演を成功に収めた。

内田真礼×内田雄馬『Carnival/BIG LOVE』

Photo : Yu Teramoto Interview&Text : Miyuki Iwasaki

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