(・∀・)「直接に示す物的証拠がない」が話題ですので、これについて、法律家的に、一般向けに解説します。
この言葉ですが、「直接証拠」かつ「物的証拠」である、証拠が、「ない」という意味です。
(^ω^)それぞれ、用語を説明していきますお。
(・∀・)まず、「証拠」というのは、一定の、特に過去の事実を認定するための資料です。防犯カメラから、そこを人が通ったとか、指紋から、この人が触ったとか、そういう証拠(カメラの記録、指紋の調査結果)から、事実(そこにいたこと、触ったこと)を認定する、というわけです。
(・∀・)そして、「物的証拠」とは、客観証拠ともいうのですが、供述(証言)のような人の記憶を基礎にするものではなくて、ネットのログとか、写真とか、人の記憶が介在しない、機械的な記録や、特定の物という形式の証拠をいいます。
(・∀・)そして、「直接に示す証拠」とありますが、これは「直接証拠」という前提でいいますが、これは、証拠の内容が、証明したい事実そのものを表している証拠をいいます。
どういうことかというと、例えば、倉庫から壺を盗んだ窃盗の事件を考えます。
このとき、倉庫内の防犯カメラで、まさに、嫌疑をかけられている人が、壺を盗むところが撮影されていた場合、その動画は直接証拠となります。それが信用できれば、直ちに、壺を盗んだ、という目的の事実が証明されるからです。
同じく、壺を盗むところを目撃した人が、「壺を盗んだのを見ました」と供述した場合、これまた、直接証拠になります。直接証拠は、物的かどうかは関係ありません。この証言が信用できれば、ただちに、目的の事実が証明されるからです。
(・∀・)直接証拠の逆の概念として、間接証拠(間接事実、状況証拠ともいいます。事実ですが、証拠のように機能するからです。)があります。これは、証明したい事実そのものを直接に証明しないが、間接に推認させるものです。先ほどの泥棒の件で言えば、午前10時に盗まれたことがわかっている場合、午前11時に近所の古物商に壺を嫌疑をかけられた人が持ち込んで売却した場合、この事実は、間接証拠となります。
盗まれて1時間後に古物商に持ち込んだ事実が証明されても、それだけで、直ちに盗んだ事実は認定されません。しかし、これに経験則(常識)を当てはめる、この場合、「盗まれた直後に、それを古物商に持ち込めるのは盗んだ犯人くらいのものだ」という常識を当てはめて、事実を認定するわけです。
大抵の裁判では、事実は、もっぱら状況証拠に依存します。たとえば、ひき逃げであれば、衝突の痕跡とか、ブレーキ痕は、それぞれ、ひき逃げの事実を推認させますが、それだけで、ひき逃げの事実を直接証明させないからです。本人が自白しているとか、契約における契約書みたいなものが無い限り、状況証拠が中心に裁判がされます。
(・∀・)以上をまとめると、「直接に示す物的証拠」とは、不同意性交であれば、被害申告者が拒んでいるのに、無理矢理性交渉を強いる、その場面を撮影した動画が想定できます。そういう動画はなかった、という意味になります。逆に、それ以外の想定は難しいです。
(・∀・)逆に、直接に示す物的証拠以外には、直接の供述証拠や、間接の物的証拠があります。強制性交の場合は、被害者の供述とか、衣服とか、前後のLINEとか、そういうものが典型でしょう。これについては、仮に触れられていないのであるとすれば、それをどう考え、評価するかは、読み手の解釈次第、まさにメディアリテラシーの問題でもある、ということになるでしょう。