米大統領選 全州大勢判明 激戦州すべて制したトランプ氏が大差

アメリカ大統領選挙は全米のすべての州の大勢が判明しすでに当選を確実にしている共和党のトランプ氏が激戦州すべてを制し、獲得した選挙人で民主党のハリス氏に大差をつけました。

今月5日に投票が行われたアメリカ大統領選挙についてABCテレビは9日、開票作業が続いていた激戦州のひとつ、西部アリゾナ州で共和党のトランプ前大統領が勝利を確実にしたと伝えました。

これにより全米50州と首都ワシントンのすべてで大勢が判明し、トランプ氏は事前に優勢が伝えられていた州に加え、選挙結果を左右すると言われた7つの激戦州すべてで勝利しました。

この結果にもとづき、トランプ氏は、全米の選挙人の過半数の270人を超える312人の選挙人を獲得することになり、226人だった民主党のハリス副大統領に大差をつけました。

またAP通信によりますと全米の総得票数は日本時間の午前11時半現在、トランプ氏が7464万4300票、ハリス氏が7091万573票となっています。

共和党の候補者が総得票数で、民主党の候補者を上回れば20年ぶりです。

アメリカメディアは今回の結果について「トランプ氏が国内のインフレや移民問題に対して有権者が抱える不満を追い風にした」と伝えています。

アメリカでは大統領選挙に合わせて連邦議会の選挙も行われ、これまでに議会上院で共和党が多数派を奪還することを確実にしています。

今後は、大勢がまだ判明していない下院でも共和党が多数派を維持し、大統領職と上下両院をすべて共和党が掌握するいわゆる「トリプルレッド」と呼ばれる状況になるかが焦点です。

パレスチナ暫定自治政府 アッバス議長 トランプ氏と電話会談

パレスチナ通信によりますと、パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長は、8日、アメリカの大統領選挙で勝利したトランプ氏と電話で会談しました。

アメリカのニュースサイト、アクシオスによりますと2人が電話で会談したのは2017年以来です。

トランプ氏は1期目の政権でエルサレムにアメリカ大使館を移転し、アッバス議長との関係は悪化していました。

今回の電話会談でアッバス議長はトランプ氏に祝意を示し、国際的な原則に基づいて包括的な和平をトランプ氏とともに目指していく考えを伝えました。

これに対し、トランプ氏はガザ地区での戦闘を停止するために取り組むとしてアッバス議長などと協力していく考えを強調したということです。

イラン外相「双方の信頼構築が必要」SNSに投稿

アメリカの大統領選挙でトランプ氏が勝利したことを受けて、イランのアラグチ外相は9日、SNSに「アメリカの人々が決断したことで、イランは彼らの選択を尊重する。双方の信頼構築が必要だ」と投稿しました。

また、イランのペゼシュキアン大統領は7日の演説で「誰がアメリカ大統領になっても違いはない。イランは他国との関係を発展させるうえで狭い考えを持っていない」と述べました。

イラン側はアメリカがトランプ氏の返り咲きでより強硬な対イラン政策を打ち出すことを警戒する一方、これ以上の関係悪化を望まない考えを示した形です。

トランプ氏「歴代で最も親イスラエルの大統領」みずから表現

トランプ氏は一貫してイスラエルを支持する立場をとっていて、みずからを「歴代で最も親イスラエルの大統領だ」と表現しています。

1期目の政権では、イスラエルとパレスチナで主張が対立するエルサレムをイスラエルの首都と認め、国際社会から反発や懸念の声も上がる中、商業都市テルアビブにあったアメリカ大使館をエルサレムに移転しました。

また、イスラエルと長年にわたって対立してきたアラブ各国との関係改善を進めようと、UAE=アラブ首長国連邦やバーレーンなどとの国交正常化を仲介しました。

今回の選挙戦ではイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘について、ハマスの打倒とイスラエルの自衛権を支持するとともに、「私が大統領だったら起こらなかっただろう」と述べバイデン政権の中東政策を批判していました。

また、ことし7月には、イスラエルのネタニヤフ首相と、9月にはイスラエルとハマスの停戦協議の仲介国のひとつカタールのタミム首長と会談したことを明らかにしていてみずからが大統領に返り咲けば中東地域で平和を実現できると意欲を示していました。

専門家「ガザ地区とレバノンの紛争 止める努力すると思う」

トランプ氏の中東政策についてアメリカの政治と安全保障に詳しい明海大学の小谷哲男教授は「トランプ氏は自分が大統領になったら紛争を止めると言っているのでまずはガザ地区とレバノンの紛争を何らかの形で止める努力をすると思う。一方で次のトランプ政権の閣僚候補として名前が挙がっている人たちは対イラン強硬派がかなりいるので1期目と同じくイランの封じ込めにより力を入れていくことになると思う」と指摘しました。

具体的な対イラン政策については「経済制裁の復活も含めて核開発を抑制しつつイランを経済的そして軍事的に封じ込めることにアメリカをあげて取り組んでいくことになると思う」と述べました。

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