中国人に対する「労働鎖国」のすすめ

  • 飛鳥新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864102346

感想・レビュー・書評

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  • 1989年に西尾さんが出版した「労働鎖国のすすめ」に一部加筆して再販したもの。20年前に既に現在の様子を見通していた西尾さんの眼力の凄さに敬服した。一方、お花畑の抽象論を述べる文化人と目先の利益しか考えられない経済人がいかに多いことか。中国の他国侵略の方法は軍事によらず、「洗国」にあり、ということを、全ての日本人は肝に据えて置く必要がある。

  • この本は二部構成から成っていて、前半が最近(2013)書かれたもので、タイトルにある通り、中国人に対して労働鎖国をすべきだというもので、後半が1989年の日本がバブル経済真っ盛りだったころに、安い労働力として外国人を安易に受け入れることに対して警鐘を鳴らした内容になっています。

    日本が労働鎖国(移民受け入れに慎重になる)すべきかどうか、この本を読んだだけでは判断できませんでしたが、特に後半において、移民を先駆けて受け入れてきた欧米諸国の状況は興味ある内容でした。つまりどの国も、最初は移民に本国人が嫌がる仕事をしてもらうために受け入れるが、ある時期でそれを制限しているという事実があるようです。

    また移民なしには、その国での暮らしが成り立ちにくくなっている状況(1989当時)も紹介されていました。日本は、移民を受け入れる前に、まず女性の活用、さらには中高年層を活用できるシステム開発(p261)という著者の意見も印象に残りました。

    以下は気になったポイントです。

    ・中国人の大規模デモ計画が懸念されたが、石原氏の電撃知事辞任で消えた、中国は2010年に「国家動員法」が施行され、48条の「国防勤務」では民間人が軍の作戦支援を行うことを義務付けられている。これは外国に居住する中国人にも適用(p13)

    ・中国には、檔案(ダイアン)という警察が管轄、管理している個人ファイルがある。清朝時代からあり、専制国家体制を維持するのに役立ってきており、全ての出来事が書き込まれている(p16)

    ・2012.5から法務省が「高度人材に対するポイント制度」を施行した、70点を超えた外国人には永住権等の優遇措置を与えるもの(p29)

    ・中国とは、清朝までの国家体制は事実上「古代」、中世・近世もなく、1911年にいきなり現代が始まる歴史である(p39)

    ・満州事変当時、中国軍の将校クラスは日本やドイツの士官学校で訓練をしていたが、兵隊は素人集団であった(p44)

    ・漢人はなぜ満州に集まったか、1)シナ本土が内乱で荒廃していた、2)盗賊団が民衆を苦しめた、3)バッタが穀物を食べ尽くした、4)軍閥が不換紙幣を作って流通させる、それを使って買い物をして釣りを正貨で受け取る(p56)

    ・移民受け入れにより、1)受け入れ国は被害者でなく、加害者になる、2)外国人受け入れ問題は、送り出し国の経済と民生に貢献すると限らない、3)受け入れ国は与える立場にいるつもりでいて、いつのまにか状況が逆転して与えられる側になる(p88)

    ・ロンドンには見えない地図が存在する、人種によって居住地区が限定されている人種地図がある(p135)

    ・西洋文明こそじつは「閉ざされた文明」である、自分の暮らし方を民主主義の最高形式と信じて、自分の正義を押し付ける外国語を学ぼうとしない等(p145)

    ・スペイン、ポルトガル人がやった「ヒトの移動の自由」の原則とは、武力による異民族征服と同義語である(p151)

    ・メキシコ人は国境付近の都市に集まって祖国と同様の生活習慣を守り米国社会に同化しない、彼等にすれば侵略でもなく、かつての戦争でいたずらに引かれた国境線こそ納得しがたいもの(p154)

    ・イギリスは60年代に移民流入を規制しはじめ、1971,81年の二度にわたる法改正で強めていった、現在では旧植民地から自由に入国できるのは、すでにイギリス本国に帰化して市民となった者等のみ(p161)

    ・イスラム時代には幸福で安定していたイベリア半島のユダヤ人は、キリスト教徒から国外追放されたのが1492年である(p166)

    ・江戸時代の日本のみならず、中国や李氏朝鮮も、時期にずれがあるものの同様の鎖国体制をとっていたと思われ、徳川政権の独創ではない(p181)

    ・人手不足が深刻になっている業種は、これまで労働者に好条件を与えずに努力を怠ってきた業界、看護婦は大都会の公立病院では不足していない、地方の個人医や人使いの荒い私立病院で不足している(p242)

    ・ローマ帝国衰亡の原因はいろいろあるが、ローマ人が働かなくなったこと、外国人プロレタリアートの集団を入れて、奢侈逸楽に耽ったことが大きな原因だろう(p244)

    ・スイスは、スペイン・ポルトガル・イタリア・ユーゴスラビアの4か国からのみ移民を受け入れる、但し外国人専用の宿舎、妻帯者の単身赴任、4年間単身赴任でまじめに働いたもののみ5年目に妻子の入国が可能(p288)

    ・日本の周辺諸国は戸籍制度が無い国(パキスタン、フィリピン等)があり、市町村で発行する身分証明書で簡単に旅券が手に入る(p295)

    ・ある民族が他の民族の言語を学ぶのは、自分にとり規範となる文化を相手の民族に発見した場合のみ(p300)

    2013年5月26日作成

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著者プロフィール

西尾 幹二(にしお・かんじ):1935年、東京生まれ。東京大学大学院修士課程修了。ドイツ文学者、評論家。著書として『国民の歴史』『江戸のダイナミズム』『異なる悲劇 日本とドイツ』(文藝春秋)、『ヨーロッパの個人主義』『自由の悲劇』(講談社現代新書)、『ヨーロッパ像の転換』『歴史の真贋』(新潮社)、『あなたは自由か』(ちくま新書)など。『西尾幹二全集』(国書刊行会、24年9月完結予定)を刊行中。

「2024年 『日本と西欧の五〇〇年史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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