【NPB】WARで振り返る2008年ドラフト会議(12球団別)
はじめに
夏の甲子園も始まり、例年この時期になると、プロ野球ファンの間で話題に上るのがシーズンオフに控えるドラフト会議の動向。
今年のドラフトを追うのも楽しいですが、過去のドラフト会議について思いを馳せるのも一興ということで始めたのがこの企画。
2008年以降のプロ野球ドラフト会議を、WAR(Wins Above Replacement)をもとに振り返っていこうと思います。
12球団別にドラフト会議で獲得した選手のWARをまとめ、評価してみようという試みです。「こんな選手いたね」「この選手意外と活躍したね」と思い出にふけってもらえたら幸いです。
初回は、高卒・大社卒の区分けが撤廃され、ほぼ現行のドラフト会議と同じ制度となった2008年度ドラフトを見ていきます。
対象とするドラフト会議
2008年~2022年(予定)のドラフト会議
WARについて
WARについては、2022年シーズン分までを「NPB STATS」様より引用。「NPB STATS」様の更新が、2022年までとなっているため、2023年シーズンのWARは「ぼーの の日記」様より引用しております。計算対象とするのは、2023年シーズンまで。2024年シーズンのWARは含まれておりません。
表の見方
順位…ドラフト順位。育成の場合は、冒頭に「育」と表記(育成1位=育1)
守備…ドラフト時の守備位置
所属…ドラフト時の所属先
出身…高校、大学、社会人、独立など、アマチュア時の出身母体
競合…ドラフト時の競合有無。競合数は「回数-強豪球団数」で表記。1回目の指名で2球団競合した場合は「1-2」と表記。競合無しの場合は「無し」。
通算WAR…2023年までの通算獲得WARを表記。色は、「緑⇒赤」のグラデーションで、ドラフト年度内での傑出度を示す(緑色が濃いほど低く、赤いほど傑出度が高い)。
最高WAR…1シーズンに獲得した最高WAR。
起用…野手であれば1軍での守備位置、投手であれば、先発(SP)、中継ぎ(RP)、抑え(CL)などの起用法。
守備位置は、1B(一塁手)、2B(二塁手)、3B(三塁手)、SS(遊撃手)、OF(外野手)、IF(内野手)と表記。複数ポジションを守っていた場合、メイン守備位置を左に記載し「/」で区切って表記(2B/SS 等)。内野手で固定された守備位置がない場合は「IF」と表記。
一軍…一軍出場の有無を表記。
2008年ドラフト
横浜ベイスターズ
【総獲得WAR】-2.4
【最高WAR選手】藤江 均(2.0)
【寸評】獲得した選手は全て大卒以上という即戦力重視のドラフト。1位は、走攻守三拍子揃った左の好打者松本啓二朗。2位の藤江均は高い奪三振能力が魅力の即戦力右腕、4位の細山田武史は打撃は非力ながら頭脳面で高く評価され、こちらも即戦力捕手として注目されていた。
結果、2位の藤江がリリーフとして、プラスを稼ぐも残りはマイナス。2球団競合の末獲得した松本はレギュラーに定着できずに終わった。
福岡ソフトバンクホークス
【総獲得WAR】17.3
【最高WAR選手】攝津正(17.2)
【寸評】獲得した12人中8人が投手という投手偏重ドラフト。大田泰示の外れ1位で獲得した巽真悟は、1位指名確実と言われながらドラフト直前に成績を落としていた。2位の立岡宗一郎は、素材型の高校生野手として期待されていたものの、レギュラー定着はならず。
実績はありながらも、指名漏れが続いていた攝津正を、5位指名で獲得。26歳で入団と遅咲きながら2008年ドラフト組では3位のWAR(17.2)を稼いだ。一方、1位指名の巽は、在籍6年間で24登板と期待外れに終わった
東京ヤクルトスワローズ
【総獲得WAR】18
【最高WAR選手】中村悠平(13)
【寸評】1位赤川克紀、2位八木亮祐、4位日高亮の高校生左腕3名を獲得。赤川と八木は素材型の左腕として高く評価されていた。3位指名の中村悠平は、高校生No.1捕手と目され、特に高い身体能力が注目されていた。
中村悠平は日本代表捕手にまで成長。通算WAR13を稼ぎ、2008年以降のドラフトで指名された捕手としては、3位にランクイン。赤川、八木は短い期間ではあるものの、1軍レベルの先発として活躍した。
東北楽天ゴールデンイーグルス
【総獲得WAR】8.7
【最高WAR選手】辛島航(11.4)
【寸評】1位指名の藤原紘通は、完成度の高さが売りの即戦力左腕。2位指名の中川大志は、恵まれた体格を生かした長打が魅力の大型内野手。井坂亮平、井上雄介は、速球派右腕として注目されていた。
競合の末獲得した即戦力左腕・藤原は、まともに投げたのは2009年の1シーズのみ。中川、井坂、井上はいずれも大成せずに終わった。
一方、ドラフト時点では全く注目されていなかった6位指名の辛島航が先発ローテに定着。エース級の活躍とはいかないまでも、コンスタントに成績を残し続け、WAR11.4を獲得し未だ現役を続けている。
広島東洋カープ
【総獲得WAR】2.1
【最高WAR選手】岩本貴裕(1.5)
【寸評】1位指名の岩本貴裕は大学通算16本塁打を記録。左の長距離砲として期待されながらも大成せず。ドラ2の中田廉は活躍できたシーズンは少ないものの、便利屋リリーフとして重宝された。
千葉ロッテマリーンズ
【総獲得WAR】21.4
【最高WAR選手】西野勇士(12.9)
【寸評】2位指名の長野久義は入団拒否。ちなみに1位指名の木村雄太は、2006年に横浜ベイスターズから指名され入団拒否した選手である。
支配下登録選手は、ほぼ全滅となる一方、育成で獲得した西野勇士と岡田幸文がプロ入り後に飛躍。
育成5位の西野は、先発・中継ぎ・クローザーと異なるポジションでいずれもトップレベルの成績を残し、育成6位の岡田も高い守備能力でセンターのレギュラーとして定着した。
中日ドラゴンズ
【総獲得WAR】-1.9
【最高WAR選手】岩田慎司(0.5)
【寸評】競合の末獲得した即戦力外野手野本圭は、プロの壁を破れず撃沈。ライバルと目されていた長野久義とは明暗が分かれた。
5位指名の岩田慎司は、2012年シーズンに先発ローテ入りするも、そこからは鳴かず飛ばずに終わった。
北海道日本ハムファイターズ
【総獲得WAR】24.8
【最高WAR選手】中島卓也(12)
【寸評】大学No.1捕手、大野奨太を1位指名。大野は強肩とキャプテンシーに優れた守備型捕手として長年活躍し2023年に引退。2位指名の榊原諒は、社会人から大学を経てドラフト指名された変わり種。プロ入り前の評価は高く、リリーフとしてなら即戦力とされ、期待通り2010年に10勝を上げ、新人王に輝いた。だが、その後は怪我に泣き活躍期間は短かった。
5位指名の中島卓也は、まったくの無名選手だったが、プロ入り後に開花し遊撃手のレギュラーとして定着。7位指名の谷元圭介は、入団テストを経ての指名。167cmと小柄ながらリリーフとして、2023年に引退するまでフル回転した。この年のドラフトは、小粒ながらも後にチームを支えることになる選手を数多く輩出したドラフトとなった。
阪神タイガース
【総獲得WAR】12
【最高WAR選手】上本博紀(10.4)
【寸評】1位指名の台湾人右腕蕭一傑は、1軍でほとんど投げることなく引退。2位指名の柴田講平は、俊足巧打の外野手で「赤星二世」との呼び声もあったが、レギュラー定着とはならず。
3位指名の上本博紀は、小柄な体格から、プロで通用するか懸念があったものの、高い打撃能力を発揮。怪我に悩まされ出場機会は限られたものの、二塁手のレギュラーとして活躍した。
オリックス・バファローズ
【総獲得WAR】31.2
【最高WAR選手】西勇輝(31.9)
【寸評】最速151Kmの高卒右腕甲斐拓哉を1位指名。将来性を高く評価されていた甲斐だったが、1軍出場することなく2012年に引退。独立リーグを経て、現在は市役所職員として働いている。2位指名の伊原正樹は、関西国際大学出身で日本ハム2位指名の榊原と同期だった。長身から投げ下ろすストレートがスカウトの注目を浴びたが大成しなかった。
上位2名は不発に終わったものの、3位指名の西勇輝が大当たり。アマ時代から高く評価されていたが、その期待を上回る安定感抜群の先発投手へ成長。2019年にFAで阪神へ移籍し現在も現役を続けている。獲得したWAR31.9は2008年度指名選手では2位の数字。
この年のオリックスは、5指名中4名を素材型の投手で固めた結果、見事西勇輝を当てることができた。
読売ジャイアンツ
【総獲得WAR】10.7
【最高WAR選手】大田泰示(8.5)
【寸評】今ドラフト最注目の大田泰示を競合の末獲得。パワーが持ち味の大型内野手として期待された大田だったが、ジャイアンツでは芽が出ず、日本ハムへ移籍すると外野手のレギュラーとして定着。WARの大半は日本ハム時代に稼いだもの。
2・3位指名の宮本武文、齋藤圭祐はいずれも高卒投手。伸びしろに期待しての上位指名だったが、両者とも1軍に上がることなく引退。4位指名の橋本到は、レギュラー定着とはならなかったものの、守備の上手い半レギュラー外野手として重宝された。
埼玉西武ライオンズ
【総獲得WAR】61.2
【最高WAR選手】浅村栄斗(54.2)
【寸評】1位指名の中﨑雄太は、最速146㎞の高卒左腕。ドラフト時の評価は高かったものの1軍で投げることは、ほとんどなく引退。
2位指名の野上亮磨は、長年先発投手としてチームを支え、2017年はエース級の投球を見せ優勝に貢献。
3位指名の浅村栄斗は、2008年にドラフトされた選手では最高のWAR54.2を記録。浅村は2008年夏の甲子園で目覚ましい活躍を見せ、注目を集めていたが、ドラフト時点の評価では大田泰示の後塵を拝していた。プロ入り後は、大田に期待されていた成長曲線を描き、二度の本塁打王を獲得するなど、球界を代表するスラッガーへと成長した。また、プロ入り後9シーズンで全試合出場を果たしており、怪我をしない頑丈さも備えている。
お読みいいただきありがとうございました。
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