カスタマーレビュー

2024年11月9日に日本でレビュー済み
背筋がゾクゾクするような恐怖を期待すると少し物足りないが、世界観が魅力的で、伏線が山のように配置されては回収されるので、品質の良い物語を読んだ満足感は得られる。

数十種類の怪異が登場し、しかも内容がダブらないのは素直に凄いと思う。それぞれの怪異にエピソードがあり、最終的にほとんどがリンクする。作劇の手腕はかなり上手い。

ところで、この作品はSCPに似ている。自分はSCPファンなので、だからこそ分かることがある。

SCPファンの中には、とても特徴的な価値観を持つ層が存在する。それは[SCPとは物語を感じさせない無機質な文章の羅列である]というもので、物語になっているドラマティックなSCP作品を[ラノベ(ライトノベル)]と、ネガティブな意味で称する層だ。

右園死児報告はSCPに似ている。
著者の真島文吉はライトノベルも執筆している。

この作品に対する反応には不純なものが混じっているということだ。何も知らない読者は気に入らないホラー小説を批判する時に[ラノベ]などというワードは使わない。ラノベ自体に悪い意味はないからだ。

しかも、SCPには実はかなり初期の頃から、物語性のあるドラマティックな記事が存在していた。無機質な記事は人気があるが、それがSCPの絶対条件ではない。

SCPにあまり詳しくない層ほど、物語的記事をラノベラノベと強い語調で忌避していると言うのが実情だ。だいたい多くの人にとって、SCPとライトノベルの間に違いなどない。どちらも等しく創作物だ。

SCPファンとして、右園死児報告は好きな作品に似た良い小説だと思う。ただ個人的には、もう少し恐怖を強めにした報告をもっと見たかったと思う。
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