複数の登場人物の語りで進行する現代怪談近畿地方でもそうだったが、読み進めるうちに読者が違和感や叙述的仕掛けに気づく楽しさがあるので、レビューの仕方に気を使う肝試し系の怪談ってこんなに面白かったっけ、と舌を巻く出来。しかも少ない文字数で見事に作品に昇華している
最初は何の漫画だろうと思って読んでいたが、この漫画が発表されることそれ自体に意味があると分かってからはもう星5を付けるしかなかった。お兄さんに届きますように。優しい気持ちになれる作品だった。
背筋がゾクゾクするような恐怖を期待すると少し物足りないが、世界観が魅力的で、伏線が山のように配置されては回収されるので、品質の良い物語を読んだ満足感は得られる。数十種類の怪異が登場し、しかも内容がダブらないのは素直に凄いと思う。それぞれの怪異にエピソードがあり、最終的にほとんどがリンクする。作劇の手腕はかなり上手い。ところで、この作品はSCPに似ている。自分はSCPファンなので、だからこそ分かることがある。SCPファンの中には、とても特徴的な価値観を持つ層が存在する。それは[SCPとは物語を感じさせない無機質な文章の羅列である]というもので、物語になっているドラマティックなSCP作品を[ラノベ(ライトノベル)]と、ネガティブな意味で称する層だ。右園死児報告はSCPに似ている。著者の真島文吉はライトノベルも執筆している。この作品に対する反応には不純なものが混じっているということだ。何も知らない読者は気に入らないホラー小説を批判する時に[ラノベ]などというワードは使わない。ラノベ自体に悪い意味はないからだ。しかも、SCPには実はかなり初期の頃から、物語性のあるドラマティックな記事が存在していた。無機質な記事は人気があるが、それがSCPの絶対条件ではない。SCPにあまり詳しくない層ほど、物語的記事をラノベラノベと強い語調で忌避していると言うのが実情だ。だいたい多くの人にとって、SCPとライトノベルの間に違いなどない。どちらも等しく創作物だ。SCPファンとして、右園死児報告は好きな作品に似た良い小説だと思う。ただ個人的には、もう少し恐怖を強めにした報告をもっと見たかったと思う。
当方筋トレできないマン。腕立て伏せをすれば肘が痛み、腹筋をすれば腰が抜け、ラジオ体操をすれば膝がパキパキ鳴る。高価なスポーツ用品をたまに買っては後悔する、筋トレと縁のない人類だった。この本を読んで、自分に必要だったのは情報と知識だったのだと思い知った。人体がどう言うふうにできていて、筋肉がどんな作用をするのか、それをわかった上でなければ安全な筋トレはできないのだと。小さな負荷の筋トレがたくさん載っていて、安全に筋肉を育てることができ、本日念願の肘が痛くならない腕立て伏せが実現。筋トレできるマンに。わかりやすい漫画形式なので本当におすすめ
なるほどこれは流行る読者を怪談に巻き込む作品はムラサキカガミやてけてけ、リングなどがあるが、この作品は巻き込まれる側が心地よく怖がることができる絶妙なラインを攻めてくるので、実にお手本的というか、見事だこの物語を読んだあなたの元に何かが起こりますとか、何かがやってきますという形式の話は、匙加減が難しい。たとえば何十年後に幽霊が現れるという話は読者が記憶が薄れるまで怖がらなければならないから敬遠されがちだし、かといってあまりにすぐに幽霊が訪問するという設定にすると、それはそれで何も起きなかった時に妙なガッカリ感があるこの作品はそのあたりを上手く設定していて、この話は本当なんじゃないのか、自分も巻き込まれてしまったんじゃないのかと信じつつも、それでもどこか満足感があって、読んでよかったなと思える面白さ、心地よさがあるこういう匙加減を上手にできる作家はけっこう少なくて、その点でもこの作品は怪談として理想的な、痒い所に手が届く、良作と言える作中の雑誌記事やインタビューの体裁がリアルで没入感が得られ、怪異に対する考察が楽しく進むし、提示される情報になるほどと膝を打ちながら最後まで楽しく読むことができたこの怪異は幽霊なのか?都市伝説の怪物なのか?それとも全く違う何かなのか?断片的な情報が少しずつ積み重なってリンクし、まとまった出来事と流れに収束していく構成が見事だ不気味で不条理な出来事、言葉が、情報を得た後では細くも鋭い説得力を内包してくる。あの時のあれは、こういうことだったのか。このセリフはこんな背景があったのか。ああ、このキャラクターはこうなって当然のことをしてしまっていたのか。これは当然の帰結だったのか。そんな風に過ぎ去ったイベントを思い返し、改めて理解できるのが楽しかったホラーでありながらミステリーでもあり、小説のギミックを最大限に活用した良質のエンタメだった個人的にはネット掲示板の体裁の箇所が臨場感があり怖かった実際にああいう安価スレを見た人、リサーチした人にしか書けない形式で、リアリティという面ではこれ以上ないそれがあったどこか80年代90年代の空気を感じる箇所があり、しかもその空気が本当にリアルに再現されていて、怪異と呪いの歴史を感じさせるのもこの作品の怖さの源泉の一つだと思うとにかく全てがリアルなのだ。実際事実かもしれないと思う心があってレビューを書きながら時々後ろを振り返っている自分がいるエピソードに出てくる人々の話もどこか等身大の生活感があって、生身の人間の温度を感じる。それがまた緊張感を生んで、心地よい。完全に受け身のホラーではなく、読者が色々と考えを巡らせたり考察したりできる、ある種の冒険のできる本だと思う最後に収録された資料もよくできていて、不気味で恐怖の後を引く。いかにもな怪異的資料ではなく現実感を纏ったものであるがゆえに、目が釘付けになった全てがノンフィクションであったならと想像すると怖すぎるので、よくできたフィクションという前提で感想を書いている人が多いのではないかと思うとても満足感のあるホラー作品だったまだ一読目だが、これは繰り返し読むことで新たな発見や感触が得られる本だと思う。この内容でこの値段は安い。本当にお世辞抜きでそう思う。エンタメとして非常に高品質で、よくぞこの才能を発掘したものだと思う新作の穢れた聖地巡礼と口に関するアンケートも評判が良いようなので購入しようと思うホラー小説は昔から大好きだが、この作風は初めて出会った