34年ぶりの「異変」 国民審査で浮かんだ「民意」の正体
毎日新聞
2024/11/12 05:30(最終更新 11/12 05:30)
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司法の最終判断を担う最高裁裁判官を辞めさせるべきか有権者が意思表示できる2024年の国民審査に、「異変」があった。
形骸化が叫ばれて久しい制度だが、辞めさせたいとする票の割合である罷免率が34年ぶりの高水準に達していた。
ウェブ、SNS(ネット交流サービス)、そしてドラマ――。裁判官や専門家への取材から、意外な理由がおぼろげながら見えてきた。
罷免率、急上昇の怪
11・46%、11・00%、10・52%、10・01%、9・97%、9・82%。
今回の国民審査は10月27日の衆院選と同時に投票された。
前回衆院選(21年10月)後に最高裁裁判官になった6人が対象となり、罷免率は4人が10%を超え、平均は10・46%だった。
国民審査は、有権者は辞めさせたいと考える裁判官に「×」を付け、×の数が有効票の50%を超えれば罷免される仕組みだ。
このため結果としては「全員信任」となったのだが、前回の国民審査より平均で3・68ポイント高かった。
罷免率が10%超の裁判官が出るのは00年以来24年ぶりで、11%超は1990年以来となる。
もっとも、49年の第1回から国民審査で辞めさせられた裁判官は一人もいない。
これまで罷免率が最高だったのは、外交官時代の保守的な発言が批判された72年の下田武三氏の15・17%。それでも罷免条件の50%には遠く及ばない。
「×を付けても何も変わらない」と有権者が受け止めてもおかしくはなさそうだ。
では、今回、罷免率が急上昇した「民意」の正体はどこにあるのだろうか。
最高裁も「国民の権利」
ある中堅裁判官は…
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