衆院選での「自公与党の過半数割れ」を受け、与野党は8日、衆院各派協議会で、委員長と審査会長のポスト配分を確定した。野田佳彦代表の立憲民主党は予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで確保した。自民党の党是である「憲法改正」が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する「選択的夫婦別姓」の審議が加速する可能性がある。石破茂首相のもと、自民党の支持基盤がさらに危うくなっている。
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「自民党の『終わりの始まり』ではないか」
政治学者の岩田温氏は、自民党が、憲法審査会長と法務委員長を明け渡したことについて、こう語った。
石破自民党が惨敗した衆院選によって、前向きな「改憲勢力」は国会発議に必要な定数の3分の2を割り込んだ。
こうしたなか、憲法審査会長に就く立憲民主党の枝野幸男元官房長官は、自民党が憲法改正の優先事項に据える「緊急事態条項の新設」に反対し、憲法への「自衛隊明記も不要」との立場だ。改憲慎重派に配慮した審査会運営が予想される。
さらに、野田氏は8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは「選択的夫婦別姓の実現」が狙いと明かした。野田氏は「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ。自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」と語った。