<57>すし職人が手がけたフィッシュバーガーの新しいスタイル (フィッシュバーガー専門店「デリファシャス」)
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昆布〆フィッシュバーガー
いままで我々は、フィッシュバーガーを軽んじていなかったか。肉のハンバーガーばかりもてはやして、たまにフィッシュバーガーを食べるのもいいよねと、脇役の扱いをしていなかったか。
一食で手軽に、高カロリーを効果的に摂取するというハンバーガーの性質上、肉に傾くのは仕方ない。だが魚だって、もっと注目され丁寧に処理され、バンズに挟まれたい、という思いを高めていたはずだ。だがここに、その思いをかなえる男がいた。
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分厚いバンズに挟まれた豊富な具材(昆布〆フィッシュバーガー)
中目黒「deli fu cious(デリファシャス)」は、フィッシュバーガー専門店である。店主工藤慎也氏は、銀座の「青空」出身のすし職人で、ロサンゼルスなどで修行後、この店を開いたのだという。
毎朝築地に行き、魚を吟味し、フィッシュバーガーに仕立てる。代表的な「昆布〆フィッシュバーガー」の魚は、その日によって違う。メダイ、ヒラメ、天然マダイ、オナガダイ、サワラ、クロダイ、ニベ、シイラなどを、その日その日の状態やバンズに挟んでほどよい大きさを見極め、仕入れる。
1日から2日の間、昆布締めにした魚は、注文が入ってから、調理される。魚は切ってフライにし、バンズはバターしょうゆを塗って炭火で焼く。
しかるのち、焼いたバンズに、太白ごま油で炒めたキャベツにたくあんみじん切りをあえたものを乗せ、豆腐を裏ごしして一番だしと合わせたソースを流し、フライを乗せて、だしで炊いたレンコン薄切り、カイワレを乗せ、バンズをかぶせて完成である。
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西京焼きの最強バーガー
威風堂々たるお姿から、魚フライが顔を出して、「早く食べて」とささやく。たまらずかじり付けば、バンズに歯がめり込み、サクッとフライが割れる。昆布締めして余分な水分が抜け、甘みが膨らんだ魚の味に、顔が自然とほころぶ。
「うまいなあ」という言葉が、思わず口をつく。
キャベツやたくあん、レンコンの軽快な食感が、アクセントになって、柔らかな魚をもり立てる。やさしい甘みでそっと魚のうまみを支える、豆腐ソースの存在がいじらしい。タルタルソースなどに逃げない点が潔い。
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こちらもあふれんばかりの具材(西京焼きの最強バーガー)
あくまで主役は魚だよ、ということを主点において、魚フライの味をそっと引き立てるために、脇役たちが存在する。だからこそ、しょうゆや炭火の香りをまとったバンズと合うのだろう。
「デリファシャス」のフィッシュバーガーは、いままでのそれを進化させたバーガーではない。いかに魚たちをおいしく食べるかということから考えられた、新しい料理の発信なのである。
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出汁巻き卵ドッグ
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フレンチフライ
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コールスロー
deli fu cious(デリファシャス)
フィッシュバーガー専門店。「昆布〆フィッシュバーガー」1000円(税抜き/以下同)。そのほか、バンズ、キャベツ、たくあんあえ、西京焼き(メダイ、マダイ、サワラなど)、きんぴらごぼう、チーズソース、バター、さいの目に切ったプチトマト、ダイス切り玉ねぎ、バンズという構成で、これまた新しいおいしさの発見がある、「西京焼きの最強バーガー」1200円。分厚い出来立て卵焼きを挟んだ「出汁巻き卵ドッグ」800円。「えびしんじょバーガー」1100円、「江戸前アジフライバーガー」1000円などもある。淡い味付けの「コールスロー」300円や「フレンチフライ」500円もよくできている。*仕入れの関係で値段の変動あり
【店舗情報】
東京都目黒区東山1-9-13
03-6874-0412
東急東横線、日比谷線「中目黒」駅 徒歩8分
営業時間:12:00~21:00
定休日:水曜
ウェブサイト:http://delifucious.com/